息するように嘘を...2ヵ月分の年金を1週間で使いお金をせびる母を見て知ったこと

息するように嘘を...2ヵ月分の年金を1週間で使いお金をせびる母を見て知ったこと

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2023/01/25
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ボディポジティブなメッセージをSNSや記事で発信している、プラスサイズモデルの吉野なおさん(モデル名:Nao)。外見にコンプレックスがあったり、食べ物とうまく付き合えない摂食障害に悩む人だけでなく、恋愛や人間関係、親との関係性など、様々な悩みがなおさんのところに届くという。

そんななおさん自身も悩みを抱えている。それは自身の母親との関係性だ。お金にルーズな性格の母親との関係から「お金のトラブルを抱える人」の問題点をなおさんなりに探り、寄稿してくれた。

吉野なおさんの今までの記事はこちらから

以下、吉野なおさんの寄稿です。

金銭トラブルメーカーの母

お恥ずかしい話だが、私の母は金銭トラブルメーカーである。母の日や誕生日にプレゼントを贈っても「こんなのよりお金の方が欲しいんだけど」と言われる上に、物を大事にできないので、もう何もしなくなってしまった。

そして母からくる電話の99.9%は、「お金が欲しい」という話と、愚痴である。そんな母に対して、私は素直に感謝することができないでいる。「おめでとう」「ありがとう」も言えない。親不孝かもしれないが、私のような複雑な親子関係に悩む人は、実は結構多いのではないかと思う。恥を忍んで、そんな母とお金についての話をシェアしようと思う。

たとえば、先日は「風邪っぽくて病院に行きたいから、2万5千円ぐらい欲しいんだけど……」という電話が母からかかってきた。国民健康保険を使えば、自己負担額は少ないはずだし、薬代も含めていくらなんでも数千円のはずだ。そこで1万円を送金したところ、「ねぇ、振り込まれていたのは1万円なんだけど!? なんで言った通りの金額を振り込んでくれないの! 2万5千円じゃないと困るんだけど!!」と、怒りの電話がかかってきた。母が通っているのは、一体どんなタイプの病院なのだろう。しかもなぜ、2万5千円という、はっきりした金額なのだろう……。

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借金があるからなのか常にお金がない状態だ。photo/iStock

実は、以前にも同じように「病院に行きたいから、まとまったお金が欲しい」という電話が来て、言われた通りの金額を振り込んだことがある。そのときは、それほど体調が悪いのだと心配した。しかし後日確認すると、病院へは行かなかった上に、さらにお金が欲しいと言ってきた。よく聞けば、すでに送金したものは知人への借金返済に使い、今度は生活費がほしいという。病院に行く話は嘘だったのだ。しかも知人への借金があったとは……。そんな風に、母は四六時中人の心配を裏切り、信頼を失くすような言動をとるのである。

たった1週間で2ヵ月分の年金を使い切る

母は年金暮らしだが、水道光熱費など住居に関わる固定費は、私が兄妹で管理しているお金から支払っているため、母が自分の年金で支払うのは、せいぜい日々の食費や生活費ぐらいのはずである。にも関わらず、その年金をわずか1週間ほどで使い切ってしまう(ちなみに年金は2ヵ月分が1度に支給される)。そのお金を数日で使い切るには、旅行にでも行かないと使い切れないような金額である。

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2ヵ月分の年金をあっという間に使い切ってしまう。photo/iStock

母に何にそんなにお金を使うのか問いただしてもはっきり答えず、節約を促しても、のらりくらりと言い訳の嵐。「あの時の◯◯に私はお金を出したんだから、今手元にないのよ!」など、もう既に終わった過去の話を持ち出したり、「お父さんのせいよ!」と亡き父の愚痴で怒り出し、会話が成り立たないこともある。ついついお金を使ってしまう性分も、借金してしまうのも、反省にはならず、他責思考なのだ。

母は昔から、お金の管理がずさんで浪費癖があった。すぐに人の持ち物が羨ましくなり、たいして使わない服やバッグを衝動買いしたり、見栄を張るための身だしなみや娯楽にお金を費やすことが好きだった。しかし、本当に必要なものの支払いが遅れ、実家のインフラが止まってしまうことも頻繁に起きた。

昨年亡くなった父は真逆の倹約家で、職人気質の仕事好きなタイプ。母はいつも、お金に困る状態を父の稼ぎのせいばかりにしていたが、父の亡き今その言い訳の壁が崩れ落ち、正体が明らかになってきた。母はお金が無いと嘆く一方で、すぐに人に奢ったり何かを買ってプレゼントしたり、タクシーに乗った時には「お釣りはいらないです」と言って気前の良いフリをしてしまう。お金があったらあるだけ使ってしまう母自身も大きな問題だったのだ。

今ではほぼ毎週、母からお金を無心する電話がかかってくる。サブリミナルのように「お金がない」「お金が欲しい」と言われ続けることは、かなり気が滅入るしストレスだ。マインドコントロールのようにもなってくる。しかもこちらが仕送りを渋ると、逆ギレする上に知人や友人に借金を重ねてしまう。こんな風に書くと、派手な浪費家でトンデモナイ風貌の母親を連想するかもしれないが、そんなことはない。母は一見すると人当たりがよく社交的でいい人にみえる側面があるため、正体を知らない人はお金を貸してしまい、大きな迷惑をかけまくっている(信頼は失っていると思う)。本当に申し訳ないし恥ずかしい。

昨年の夏、仏人のパートナーの帰省を兼ねてフランスに2ヵ月滞在していた時は、母からの電話がなく、心から解放された。幸いにも、母はガラケーでLINEもメールも出来ないタイプの人だ。日本を長期間離れていると、ホームシックで家族を恋しく思ったりするのかもしれないが、私は一切そのようなことがなく、むしろ気楽だった。

帰国間際、「母が心配しているので、帰国したら電話してあげて」と兄弟から連絡があったので空港から電話したところ、またいつものように「お金が欲しい」と言われ、まくし立てるように言い訳と亡き父の愚痴が始まったときは、「ああ……日本に帰ってきてしまった」と、失望で成田空港で倒れるかと思った。

ちなみに、私の誕生日にも母はお金を無心する電話をかけてきた。また、パートナーとの婚約報告をしたときには、「ああ、そうなの」と、お祝いの言葉もなく、いつものように最終的にお金を送って欲しいという話になった。

自分の娘に対して、どんなにひどいことをしているのか、母には自覚がないのだ。それなのに、私自身、母にこんなにもむげにされて怒りが湧くということは、心のどこかで母に対して「変わってくれるのではないか」という期待がまだあるのだと思う。

母がお金に依存し続ける背景にあるものは……

母のように、すぐに浪費と借金を繰り返すタイプの人には、現実的にどう対処したらいいのだろう。

調べてみても「とにかくお金を貸さない」という話ばかりだった。他人であれば単純に縁を切ればいい話だが、親の場合は難しい上に、母は無視しているとどんどん他人への借金を重ねてしまう。借金しても放っておけばいいと思うかもいるかもしれないが、それは稼ぎがある親の話で、高齢で仕事をしていない母の借金は、私を含めた子どもたちに結局は降りかかってきてしまうのだ。

これがもしアルコール依存やギャンブル依存ということであれば、本人や家族も参考になる書籍や相談できる専門機関はいくつかある。でも、浪費癖や借金癖の家族について相談する場所や解決のヒントがわからないのだ。試しにとあるお悩み相談ダイヤルに電話した時も、困った様子で「お母様にお金を貸している人に、もう貸さないように頼んでみてください」というような話をされた。常識的に考えれば、確かにそうなのだ。

でもそれは、アルコール依存の人に「体に悪いので、もうお酒はやめるよう伝えてください」と言っているようなもので、根本解決にならないのではないだろうか。アルコール依存の人なら、スイッチが入れば、どんな手段を使ってでもお酒を飲もうとする。同じように母も、あらゆる手を使って浪費と借金を繰り返す。満たされない気持ちがあるのだろうと思い、母の愚痴を穏やかに聞いてみたこともあるが、「だから仕方ないのよ!」と言うかのように金銭トラブルを起こす状況は変わらず、私はただのサンドバッグ状態だった。

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きちんと支払えないので、支払い関係はすべてなおさんが請け負っているという。photo/iStock

また、本人に「治したい」という自覚があればまだしも、他責思考なので改善しようとする自覚がない。しかも母は「お金さえあれば解決する問題だ」と思いこんでいるが、実はお金がいくらあっても解決しない問題だと思うのだ。あらゆる依存症がそうであるように、なんだかもっと深い問題があるような気がするし、母の行動などを見ていると発達障害などの特性があるようにも感じる。

視点を変えて母の言動を見ているうちに、実はそうしてお金を軸に私や人を頼り、「依存すること」が、母なりの甘えであり、コミュニケーションなのではないかと思うようになった。人は誰でも「これが欲しい」と言って、相手がその通りのものをくれたらうれしいはずだ。お金をせびったり、「私はこんなにもひどいことをされた!」と愚痴をぶつける行為が、無意識に「可哀想な私を助けてくれるかどうか」を試す行為になっていて、癖になっているのではないだろうか。

先日母に、「そうやっていつも私にお金をせびるけど、一体いくらあれば満足するの? いくらあっても満足できないんじゃないの?」と問いただしたところ、黙ってしまった。

おそらく母は、お金が十分にある状態だと『被害者』になれず、人に頼り、依存することができない。表面的には困っていても、ある意味で『お金がない』という状態の方が甘えられて都合がいいから依存し、繰り返しているのではないかと思えるのだ。

それに、後悔するものの、お金を使うその瞬間だけは、気分が良い。だから、お金がなくなる不安を埋めるためにお金を使っているような感じもする。矛盾しているようだが、お金の余裕が無いのに目先のことに目が眩み、ついつい無駄なものを買ってしまったという経験を持つ人は結構いるはずだ。

金銭トラブルを起こす人にもパターンがある

借金癖や金銭トラブルを起こす人には言動の共通点やパターンがあるような気がしたので、私自身のInstagramで「金銭トラブルメーカーのエピソードあるある」と題してアンケートをとってみた。すると、共感しすぎてもはや笑ってしまった。特に多かったのが、下記のような特徴である。

・息をするように嘘をつく
・言い訳が多い
・プライドが高い
・見栄っ張り
・第一印象はいいから人に好かれやすい
・逃げ癖がある
・人の話を聞かない
・身の丈に合わないような買い物をする
・キレやすい

なかには、「子供の奨学金をくすねて証拠隠滅までバッチリやる」「子供や家族の名義でローンや車を買おうとする」「勝手に家を担保にされていた」という衝撃エピソードもあった。

いずれにしても、こういったタイプの人は信用を失くすため、まともな人ほど周りから遠ざかってしまう。そしてその孤独感や被害者意識を安易な浪費や虚栄心で埋めようとするため、金銭トラブルを繰り返し続けてしまうのではないだろうか。

あるとき、「いつもこうやってお金をせびられることも嫌だし、なんで私に愚痴ばかり話すの?いい加減にしてよ!」と母に言ったところ、「だって……あんたしか話す人がいないんだもん」という答えが返ってきた。母の満たされない気持ちや寂しさのピースを私がなぜ埋めねばならないのか……。

先日、成人の日で母親に感謝するコメントがニュースでもSNSでも数多く見られた。5月の母の日もそうだが「お母さんに日頃の感謝を伝えましょう」「お母さんありがとう」というメッセージが世の中にあふれるたびに、私はひっそりとモヤモヤしてしまうのだ。

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フランスにあるパートナーの実家で実母のことも忘れてのんびり過ごしていたときのなおさん。写真提供/吉野なお

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