
“愛用者に聞く”令和のイマこそ新鮮でカッコイイ ロマン派カバン旅行記
使い勝手に関しては正直他にも優秀な鞄はたくさんあります。でも、佇まい自体に何とも言えない味があり、携えると気分もアガる……。安・近・短な旅だからこそ、便利さよりも浪漫優先で鞄を選ぶのも一興。長年の実践者の声を聞きました!

シップス 銀座
雨宮教夫さん
18歳でシップスの前身である「ミウラ&サンズ」のアルバイトを始め、大学卒業後に入社。多くの顧客、後輩に慕われるレジェンドスタッフだ。インディアンジュエリー、ターコイズをこよなく愛する。
43年間グルカを愛用する雨宮さんは語る…… 「毎日使っても丸洗いしても壊れたパーツはない」
シップス 銀座店がオープンしたのは1977年ですが、グルカはその直後から扱っています。もっともその頃はグルカではなくトラファルガーと呼んでいました。というのも元々グルカは米国の革小物ブランドであるトラファルガーの鞄シリーズの名称。それが後にブランドとして独立したんです。
この「No.5」は6〜7万円ほどだったかな。当時としてはかなり高額でしたが、頑張って手に入れました。当時シップスはアメリカントラッドベースのスタイルを提案していて、私もネイビーブレザーにオックスフォードBDシャツとチノパンを合わせるような格好をよくしていた。足元はローファー、腰にはリボンベルトを締めて。
そこにこの鞄はぴったりじゃないかと一目惚れしたわけです。以降もトラッドなジャケパンスタイルによく合わせてきました。カジュアルに合わなくはないんですが、そっちはトートを持つのが自分の中の線引きだったんです。
ショルダーストラップが付いているので、旅行や出張はもちろん、仕事終わりに山梨の実家に帰省するときにも重宝しました。さほど大きいわけではありませんが、中に仕切りがないので、仕事道具を除けば1泊程度の着替えなら十分入りますから。
何より無骨でノスタルジックなデザインが旅の気分に沿うんですよ。キャンバスとレザーのコンビだから、総革の鞄より軽く持てるというのも、当時の私には旅向きに感じられた部分。これを持って帰省すると、電車の中で「それはグルカ?」なんてオシャレな少年から言われたりするのも、鼻が高かったなぁ(笑)。
それにしても頑丈な作りですよね。端のステッチがちょっとほつれていますが、ハンドルやストラップ、金具などの要所は壊れる気配がない。じつはネットに入れて洗濯機で洗ったこともありますが、生地が多少よれたぐらいでどうということはなかった。もちろんおすすめしませんが(笑)。
使わない時期もありましたが、街で年季の入ったNo.5を見かけるとまた使いたくなり、気づけば40年以上共にある。そういう意味では買って正解。そろそろほつれたところを修理に出して、これからも旅の相棒として頑張ってもらおうと考えています。

GHURKA[グルカ]
No.5
グルカ兵の古い革製品からインスパイアされた鞄ブランドの代表作。デザインはブリーフだが、無骨かつシンプルゆえ小旅行もこなす。グルカレザー×コットンツイルの堅牢コンビは使うほどどんどん味を増すのも魅力。写真は雨宮さん私物。
イマ、コットン×レザーの味出しを楽しみたいなら……

GHURKA[グルカ]
No.97
外側にポケットを持たない昔ながらの正統派ボストンバッグ。手持ちはもちろん、付属のショルダーストラップで斜めがけした姿もじつに絵になる! W50×H25.5×D24.5cm。12万1000円(シップス 銀座店)
まだまだロマンチックは止まらない…… 英・米 旅カバンCATALOG

フィッシングバッグの原型とも言える傑作 (イギリス)

Brady[ブレディ]
アリエル トラウト ラージ
ブランドの原点であるフィッシングバッグ。厚手のコットンを使用し、トップとポケットのフラップをブライドル革で補強したスタイルは誕生時のままだ。金具は馬具用の真鍮。W40×H29×D10cm。6万1600円(ビショップ)
クラシックなカメラバッグをルーツとする機能派 (イギリス)

Billingham[ビリンガム]
タットントート
カメラバッグで名高いブランドがアーカイブから復刻させたモデルで、日常使いから小旅行にぴったり。収納ポイントが多いため、ビジネスで使うのもありだ。W45×H31×D28cm。7万4800円(グリニッジ ショールーム)
とにかくタフな鞄が欲しいならコイツが最強 (アメリカ)

FILSON[フィルソン]
スモール ラギッドツィル ダッフルバッグ
撥水&耐摩耗性に優れるワックス加工ツイルを用い、天部にはフラップも備えた全天候型トラベルバッグ。ハンドルと着脱可能なショルダーストラップはブライドル革。W45.7×H27.9×D25.4cm。8万8000円(アウターリミッツ)
ラグジュな雰囲気を放つイタリア製のHW (アメリカ)

HUNTING WORLD[ハンティング・ワールド]
サファリトゥデイ1997 ダッフル
97年に展開されていた耐久性と防汚性を兼備したポリエステルキャンバス素材の鞄をイタリア製でアップデイト。随所に厚手のヌメ革を贅沢に使用。W49×H34×D23cm。13万2000円(ハンティング・ワールド帝国ホテル店)
※表示価格は税込み
[ビギン2023年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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