『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』レビュー:「雌雄を決しようじゃないか」に込められた意味

『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』レビュー:「雌雄を決しようじゃないか」に込められた意味

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  • 更新日:2021/06/11
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2021年6月11日より、『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』が公開されます。

結論から申し上げれば、本作は「爽やかなサッカーのアニメが観たい!」「面白いアニメ映画が観たい!」という方に、存分におすすめできる良作でした。予備知識も全く必要とせず、老若男女が楽しめるでしょう。

誰もが楽しめる理由の筆頭が「サッカーが大好きで天才的な資質を持つ中学生の女の子が、男子たちに混じって挑戦と努力をし続ける」という、シンプルでわかりやすく、同時に青春スポーツものの王道であり、しかも「男女差」にまつわる物語が綴られていることにあります。

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主人公はかつて試合で負ったケガを理由に、監督から試合のレギュラーメンバーになかなか選ばれません。そして、久しぶりに再会した幼馴染の男の子にこう言われるのです。「サッカーはフィジカルだ。身体のデカい俺に、女のお前が敵うわけがない。男というだけで俺は、お前を超えたレベルにいるんだ」と。

なでしこジャパンの活躍でもわかるように、今のサッカーは女の子でも「戦う場所があれば輝ける」ことが証明されているスポーツです。しかし、この映画の主人公は試合そのものに出ることができない上、同一の試合で戦う男女の体格差を事実としてはっきりと突きつけられてしまいます。この状況に彼女がどう立ち向かい、そして克服するのか?というのが見所になっているのです。

面白いのは、主人公がある場面で「雌雄を決しようじゃないか」と口にすること。男女の体格差のために悔しい思いをしてきた彼女が、逆説的に「雌雄」という言葉を使って、戦いの場でこそ、実力でこそ勝敗を決めようとすることに、痛快さがあるのです。

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総じて本作は、スポーツにまつわる女性差別などの諸問題を扱うというよりも、あくまで「男子に混じってサッカーで大活躍する、カッコいい女の子」の物語を、エンターテインメントとして描くことに主眼を置いた作品と言えるでしょう。コミカルなシーンも楽しく、終盤では「えっ!?」と驚ける展開、迫力の試合シーンもありますよ。

なお、この『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』が原作としているのは、10年以上前に連載されていたマンガ「さよならフットボール」。現在テレビアニメ化もされているマンガ「さよなら私のクラマー」の「前日譚」にあたる内容なのです。

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そのため、『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』は、そのタイトル通りに「最初に触れる」ことをおすすめします。映画のほうが時系列が先であり、同時展開しているテレビアニメ版は思いきり「続き」なのですから。ここから、ぜひ『さよなら私のクラマー』のシリーズにハマってみてほしいです。

(文:ヒナタカ)

--{『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』作品情報}--

『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』作品情報

ストーリー

女子中学生サッカープレイヤーの恩田希(声:島袋美由利)は、誰よりも練習に励み、誰よりも努力を重ねてきた。それでも、彼女はなかなか試合に出してもらえなかった。藤第一中学校、男子サッカー部。それが彼女の今いるフィールドだ。中学2年生になった希は、監督に“新人戦の1回戦に出たい!”と何度も頭を下げる。その理由は、対戦相手にあった。その相手とは、一緒にサッカーを続け、小学4年生の時に転校していった幼馴染の“ナメック”こと谷安昭(声:土屋神葉)がいる江上西中学校なのだ。“サッカーはフィジカルだ。身体のデカイ俺に、女のお前が敵うわけがない。男というだけで俺は、お前を超えたレベルにいるんだ”。再会したナメックに浴びせられたその言葉を、希は試合に出て勝つことではねのけたかったのだ。“上等だわ。見せてやろうじゃない。私に何ができるのか”。希の孤独なチャレンジのホイッスルが鳴る……。

予告編

基本情報

声の出演:島袋美由利/若山詩音/内山昂輝/逢坂良太/土屋神葉/白石涼子/遊佐浩二

監督:宅野誠起

公開日:2021年6月11日(金)

製作国:日本

ヒナタカ

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