貯蓄がある人の保有している資産

金融広報中央委員会の2022年度調査によると、全世帯のうち貯蓄がある世帯は73.1%、ない世帯は26.9%です。
社会人になりたての20歳代では貯蓄がない世帯の割合は40.6%と高くなりますが、30歳代以降のすべての世代でも貯蓄なし世帯が20%以上を占めます。
2023年も残すところ3ヶ月半となりましたが、年始に立てた貯蓄目標などは達成できているでしょうか。
9月10月も物価上昇が控えていますが、その中で上手なやりくりが求められます。
本記事では、貯蓄のある人とない人の違いについて解説します。
貯蓄がある人がどんな資産を保有しているかも紹介するので、資産形成を考えるときに役立ててください。
【一覧表】収入が少ないと「貯蓄ゼロ」は増える?年収300万円未満世帯では37.5%が貯蓄ゼロに
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貯蓄のある人とない人の違い

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まず最初に、貯蓄のある人とない人の違いについて解説します。
家計収支の状況
当然のことですが家計の収入が支出を上回れば貯蓄できますが、収入が支出を下回れば貯蓄できません。
収入が多いほど家計収支は黒字になりやすいため、貯蓄している人の割合は高くなります。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)」によると、世帯収入別の貯蓄なしの世帯の割合は次の通りです。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)を参考に筆者作成
支出は家族構成や生活スタイルなどによって世帯ごとに大きく異なりますが、収入が少なければいくら節約しても家計収支がプラスにならないこともあります。
一方、収入が1000万円を超える世帯でも、支出がそれを上回れば貯蓄できません。
支出に対する計画性
会社員ならば収入はある程度決まってきますが、同じ収入でも支出は人によって大きく異なります。
新入社員で収入が低くても支出を抑えて貯蓄する人がいる一方、勤続年数を重ねて給与が高くなっても浪費が多くて貯蓄できない人もいます。
両者の主な違いは、支出に対する計画性の有無によります。
次のように計画性なくお金を使う人は貯蓄が難しいでしょう。
1か月の支出金額を決めていない
収入に見合わない高額のモノやサービスに支出する
欲しい物があったら支払いのことはあまり考えずにクレジットカードで買う
お金に余裕ができたら貯蓄しようと考えている
貯蓄のある人の多くは、給与天引きや口座引き去りなどで毎月貯蓄し、残ったお金の範囲内で生活しています。
一般的に収入が増えると支出も増えるため、収入からまず貯蓄分を差し引いて生活費を考えることが貯蓄のポイントです。
貯蓄がある人の保有している資産
貯蓄がある人は何を利用してお金を貯めているのでしょう。
前述の金融広報中央委員会の調査では、貯蓄がある人の保有資産は金額の多い順に次の通りです。
()内は、全貯蓄額に占める割合です。
第1位:定期性預貯金(21.9%)
第2位:株式(20.1%)
第3位:生命保険や個人年金など(18.8%)
定期性預貯金
定期性預貯金とは、1年や5年など一定期間後に満期を迎える預貯金のことです。
安全性が高い反面、低金利が続く現在では利息はあまり期待できません。
一括してお金を預ける定期預金のほか、毎月一定額を貯める積立定期預金などもあります。
途中解約して簡単に換金できるため、急な出費に対する備えにもなります。
株式
株式投資には値下がりリスクなどがありますが、定期性預貯金と比較して高い利回りが期待できます。
貯めるだけでなく、運用によってお金を殖やす役割もあるからです。
また、分散投資によってリスクを抑えた投資信託を利用するという方法もあります。
緊急時の資金を預貯金など換金性の高い金融商品で準備した上で、余ったお金を株式や投資信託で殖やすのがおすすめです。
生命保険や個人年金など
生命保険や損害保険にも満期時に満期金が支払われる商品があります。
また、個人年金は、年金で分割、または一時金でお金が受け取れます。
主な商品は、養老保険や学資保険、個人年金保険などです。
長期にわたり計画的に資金準備ができる一方、途中解約すると損をする可能性が高く、予定利率が低位にあるため利回りはあまり高くはありません。
貯蓄達成に向けて
貯蓄のある人とない人の違いの1つは、家計の収支状況です。
収入が高く家計収支が黒字なら貯蓄できる一方、収入が低ければ節約しても赤字になる可能性があります。
ただし、浪費癖があったり計画的に支出できない場合、収入が高くても貯蓄できないケースもあります。
収入から貯蓄分を差し引き残ったお金を生活費に当てることが、貯蓄のポイントです。
緊急時の資金を預貯金などで準備した上、余ったお金を投資に回すのがおすすめです。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和4年)各種分類別データ」
西岡 秀泰