
" 2023年3月19日、米韓両空軍が実施した訓練には米軍の戦略爆撃機「B1B」などが参加した=韓国軍提供"
19日午前11時5分ごろ、北朝鮮が北西部の平安北道東倉里(トンチャンリ)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射した。韓国軍の合同参謀本部が発表した。北朝鮮は米韓が実施中の合同軍事演習に強く反発しており、対抗措置として弾道ミサイルの発射を繰り返している。
韓国軍や日本の防衛省によると、ミサイルは最高高度約50キロで、約800キロ飛行して日本海に落下したという。日本の排他的経済水域(EEZ)の外側だったとみられる。井野俊郎防衛副大臣は同日午後、記者団に「(迎撃が難しい)変則軌道で飛翔(ひしょう)した可能性がある」と語った。
北朝鮮は9日に「新型戦術誘導兵器」と呼ぶ短距離ミサイルを、6台の移動式発射台から同時に黄海に向けて発射。12日には北朝鮮沿岸の日本海で潜水艦から「戦略巡航ミサイル」を発射した。
米韓演習が始まった13日以降も、14日に短距離弾道ミサイルを、16日には大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」を通常よりも高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で発射し、北海道・渡島大島の西約200キロの日本海に落下させた。
金正恩(キムジョンウン)総書記は16日、朝鮮半島で演習を続ける米韓に対し、「我が共和国を露骨に敵対視し、朝鮮半島で大規模な軍事演習を頻繁に行う無謀さを認識させ続けるだろう」と警告。今後も軍事的な対抗措置を続ける考えを示唆した。
米韓は19日に、米軍の戦略爆撃機「B1B」が参加した訓練も実施した。北朝鮮は従来、朝鮮半島周辺に米軍の戦略爆撃機や原子力空母などが展開する米韓演習の期間中は挑発を控えてきたが、昨年から演習期間中にもミサイル発射を繰り返すようになった。韓国・梨花女子大の朴元坤(パクウォンゴン)教授は「米軍基地のある韓国や日本、グアムを打撃できる戦術核能力を備え、北朝鮮が自信をつけた」とみる。(ソウル=鈴木拓也)