大分トリニータに重く響いた主力流出 名将・片野坂知宏監督でも補い切れなかった「得点力不足」【J2降格大分、陥落への道】(1)

大分トリニータに重く響いた主力流出 名将・片野坂知宏監督でも補い切れなかった「得点力不足」【J2降格大分、陥落への道】(1)

  • サッカー批評Web
  • 更新日:2021/11/27
No image

片野坂監督の下での躍進も、ついに幕を閉じた 撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)

2021年のJ1リーグは、早々に川崎フロンターレの連覇が決まった。一方で、J2降格チームも2試合を残して決定した。大分トリニータベガルタ仙台横浜FCは、来季をJ1で戦うことはできない。
クラブの行く末を大きく左右するJ2降格は、なぜ避けられなかったのか。さまざまな角度から検証する。
今回の対象は、3年ぶり4度目のJ2降格の悔しさを味わった大分トリニータ。

関連:【J1考察】大分トリニータを苦しめる「ケタ違い」の収益の少なさ!浮上の鍵は「収益・選手育成・チームスタイル確立」の「三位一体」向上【J2降格大分、陥落への道】(2)

■J1最少にとどまった得点力

大分トリニータが紡ぐストーリーは、常にドラマチックだった。

初めてのJ2に挑戦した1999年から2年連続で、わずか「勝ち点1差」でJ1昇格を逃した。2008年にはJ1でクラブ史上最高の4位フィニッシュとナビスコカップ(現ルヴァンカップ)優勝を成し遂げたが、翌年にはJ2降格を味わった。2012年には、劇的な展開でプレーオフを制してJ1に復帰。2016年にはJ3から再スタートし、3年でJ1へとたどり着いた。

そしてまた、J2降格が繰り返された。

ピッチ上の問題点は明らかだ。降格が決まった第36節までのチーム通算得点は、今季J1で最少となる26ゴールにとどまっている。

J3からの3年でのJ1到達には、片野坂知宏監督の手腕が大きく影響した。J1に復帰した2019年には、GKも含めて後方から丁寧にパスをつなぎ、プレスに出てきた相手の裏を突く「疑似カウンター」とも呼ばれたスタイルで序盤の台風の目となった。

だが、2年も対戦していれば、当然相手は対応を施してくる。今季は開幕から、目に見えてシュートの本数自体が減っていった。

■「属人的」なマネジメント頼りの限界

大分復活のストーリーには、常に優秀な指揮官の名前があった。2012年のJ1昇格には、田坂和昭監督の存在が欠かせなかった。もちろん今季のJ1を戦えたのも、片野坂監督あればこそ、である。

躍進には、こうした名将の存在が欠かせないが、監督個人に頼り切る「属人的」なチームマネジメントには、どうしても限界がある。田坂監督も就任から5年目のシーズン途中で解任の憂き目に遭い、片野坂監督の下での奮闘も、6年目の今季、ついに「不発」の時期を迎えた。

痛手だったのは、主力選手の流出だ。昨季の3バックの中心として、フィールドプレーヤーで最長の33試合2970分間ピッチに立った鈴木義宜が、清水エスパルスへと移籍した。チーム最多の8ゴールを挙げた田中達也浦和レッズへと移り、生え抜きの岩田智輝横浜F・マリノスでの挑戦を選んだ。

■足りなかった選手の「質」

さらに今季は、選手の負傷が相次いだ。相手に警戒されて対策される上に、手持ちの駒がパワーダウンするのでは、苦戦するのは当然だ。そのダメージが、特にチャンスの創出、さらに決め切る力の不足となって露呈されたということなのだろう。攻撃のセンス、さらに決定力というものは、選手のクオリティに負う部分が大きい。だからこそ、世界を見渡しても、最も高値で取り引きされるのはFWの選手なのだ。

降格の決まった鹿島アントラーズ戦の後、片野坂監督は「前線の質や、フィニッシュに至るまでの個の能力の部分でも上回っていくことが必要となってくる、ということは感じている」と話している。ここまで組織の力を最大限に引き出してきた指揮官の言葉だからこそ、重みはさらに増す。

主力選手の流出。これもまた、大分トリニータで繰り返されてきたストーリーである。

いま一番読まれている記事を読む

サッカー批評編集部

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加