トラストバンクがコロナ禍で困窮する遺児家庭を支援するあしなが育英会に1000万円を寄付

トラストバンクがコロナ禍で困窮する遺児家庭を支援するあしなが育英会に1000万円を寄付

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  • 更新日:2021/01/14

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

2020年は50年活動してきた「あしなが学生募金」がコロナで初の中止に

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは、あしなが育英会が実施している、新型コロナウイルスの影響で生活が困窮する遺児と家族に「年越しの緊急支援金」を届ける活動に賛同。2020年12月の1か月間、ふるさとチョイスにて寄せられた寄付1 件につき、トラストバンクから10 円をあしなが育英会に寄付する取り組みを実施した。上限としていた金額1000 万円に達し、寄付の贈呈式が行われた。

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「2020年は100回目となる学生の街頭募金をする予定だったが、コロナで2021年春を含め3回の街頭募金が中止になった。あしなが育英会では50年間街頭で募金してきたが、全国で学生が募金をして報道してもらうことで、多くの寄付が寄せられてきた。3回も街頭募金をやらないとなる世間の人たちには忘れられてしまう。

トラストバンクさんに寄付いただいた10円が集まることで1000万円になったというのはすごいこと。トラストバンクさんの取り組みはとても有意義なことで感謝している。今回の寄付であしなが育英会の名が報道されれば寄付が増えるが1週間もすると熱が冷めてきて寄付が減ってしまう。継続して取り組みを知っていただくことが大事だが、その意味では、街頭で募金活動ができないコロナは大敵。コロナによって最底辺で生きている人たちの生活をさらに追いこんでいる」(あしなが育英会 会長 玉井義臣さん)

「トラストバンクではふるさと納税に限らず、社会課題の解決するための寄付も行っている。医療従事者、中小企業など、国や行政の支援が行き届かない方々に対して、コロナ給付金寄付実行委員会、パブリックリソース財団、ヤフー、トラストバンクの4社にて、10万円の給付金から寄付を募る『コロナ給付金プラットフォーム』を立ち上げた。今後も多くの皆さんに現状を知ってもらうと共に、ほんの少しの金額でもいいので行動できる一歩を知っていただき、日本にも寄付の文化を根付かせたい」(トラストバンク 会長兼ファウンダー 須永珠代さん)

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長引くコロナ禍で苦しむ奨学生とその家庭に一時金を支給

病気や災害、自死などで親を亡くした子どもたちや、障がいなどで親が十分に働けない家庭の子どもたちを、奨学金、教育支援、心のケアで支える民間非営利団体「あしなが育英会」は、50年の活動で延べ1100億円の寄付を集めてきた。資金基盤となっているのは1970年から毎年春と秋に行ってきた「あしなが学生募金」。春秋に各4日間、全国の主要駅前など約200か所で行っており、参加者は年間延べ約2万人に達している。

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街頭での学生募金で遺児の窮状を訴え、支援者、賛同者から寄付を募ってきたあしなが学生募金は2020年4月、第100回を迎える予定だったが、参加する遺児奨学生やボランティアへのコロナウイルス感染や拡散の恐れを考慮して、初の中止を決定。

あしなが学生募金を資金基盤とする「あしなが奨学金」の利用者は、2018年度に返還不要の給付型を新設したことで急増しており、2019年度は、高校、専門学校、大学、大学院を合わせて6551人、奨学金交付総額は 48億2000万円に上る。2020年度の申請者はさらに増える見込みで、交付総額は60億円近くになると予想されている。街頭募金中止はあしなが育英会始まって以来の大打撃となり、あしなが奨学金制度は危機的状況になっている。

2020年4月に新高校3年生になる553世帯に緊急アンケートを行った結果、新型コロナウイルスの感染拡大で「職場を失った」「食費にも困っている」「路上生活をするしかない」という窮状を訴える遺児家庭もあり、全奨学生約 6500人を対象に「遺児の生活と教育の緊急支援」15万円の給付を行った。

遺児家庭の1か月の平均月収は14万6000円で、なんとか1か月は生き延びてというメッセージも込めてこの金額になったという。給付総額は10億円。記者会見で玉井会長の「どんなことがあっても君たちを守る」との力強いメッセージが全国に流れたこともあり、大きな反響を呼んだ。政府の支援策に先駆ける形での民間団体の支援金発表は、国会でも取り上げられるほど大きなうねりとなった。

2020年10~11月には全奨学生と保護者1万1789名に緊急アンケートを行い、6241名から回答を得た。アンケート調査で50%以上の回答率は初めてのことで、裏返せばそれだけ困っているということが数字に表れているとあしなが育英会では見ている。自由記述欄にも窮状を訴える声が多数寄せられ、調査で浮かび上がった深刻な状況を踏まえて、4月に続き全奨学生に対して返還不要の「年越し緊急支援金」20万円の給付金を決めた。給付総額は15億円。

あしなが奨学生の応募者は年々増加しており、現在は全奨学生7621人で奨学金は60億円だが、2025年には奨学生が1万人に増えると見込まれ、70億円の奨学金が必要になってくる。路上募金活動実施の見通しは立たない中、同会ではウエブサイト、オフラインでの寄付を広く呼び掛けている。

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会見では奨学生を代表して、大学生の伊藤麻亜矢さんと菅原祐輝さんの2名が現状を語った。

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「芸術系の大学は多額の学費がかかり、私の家は母子家庭で学費を払う余裕はほとんどないが、高校在学中にあしなが育英会の存在を知り、奨学生として採用されて今は大学で学ぶことができている。

小学校3年生のときに父親が自死で死別。母と兄と3人暮らしで母は非正規雇用で働いており収入面では苦労してきた。北海道出身のため私は大学進学で上京したが、兄は地元の理系の大学に通い、私の一人暮らしの生活費、実家の生活費、2人の大学生の学費を、母の収入と奨学金だけで賄っている。母は朝から夕方まで働き、夕方からは別の仕事に出て帰宅するのは深夜12時から1時。子どもの私にとっては、働きづめの母親の姿を見るのは心苦しく、学費は奨学金と収入の一部で賄っているが、豊かな暮らしとは言えないのが現状。

低収入の遺児家庭にコロナが追い打ちをかけた。コロナによって収入が減った家庭が3人に1人で、生活難に追い込まれているというデータがあしなが育英会のアンケートから出ている。学生も4人に1人が退学を考えている。退学まで至らなくても、アルバイトが減った関係で食費を削っている学生も多い。

私はあしなが育英会が運営している学生寮で暮らしているが、寮の中でもアルバイトをして生活を立てている人が何人もいて、アルバイトが激減してしまい、生活費が足りていない状況に陥っている。

収入が少ない中でも大学に通えているのは、あしなが育英会へのご寄付、ご支援があってこそ。ご支援がないと通学はおろか、生活さえが困難になる人がたくさんいる。ご支援いただいている方には心から御礼を申し上げる。学びたくても学ぶことが叶わない学生もたくさんいる。遺児家庭の現状を理解していただきご支援いただけるとありがたい」(伊藤さん)

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「新型コロナで大学生は3つの課題を抱えている。オンライン授業による引きこもり状態での精神的な負担は、出会いの場、議論の場を失ったことが大きく影響している。施設利用費をオンライン授業なのになぜ払うのかと不満に思っている学生も多くいる。もし大学でクラスターが発生すれば大学名が公表され、世間の厳しい目にさらされることを不安に思う若者も多い。これらに加え、あしながの奨学生は経済的困窮を抱えて暮らしている。

4月の緊急事態宣言後はアルバイトの募集がまったくなくなったが、あしなが育英会の緊急給付金の35万円でなんとか生活ができた。

あしなが奨学生は、ほとんどがあしなが学生募金事務局に所属している。2020年は100回目の街頭募金を行うはずだったが中止となってしまった。しかしこんな中でも我々学生はオンラインで募金活動を行っている。あしなが学生募金事務局の学生が先頭に立って、大学生、高校生の若者を引っ張っていき、世の中をもっと明るくしたい。

ご支援をいただいているあしながさんのためにも、寄付をいただくだけでなく将来きちんと還元できるように誇りをもって活動を続けたいと思っている」(菅原さん)

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【AJの読み】本来は公助によって救援すべきことを善意の寄付で賄っている状況に憂い

長引くコロナ禍により、仕事を失い路上生活を余儀なくされる、食費が尽き餓死寸前の状態に陥るといった困窮者が増加している。公助が行き届かない現状で、「新型コロナ災害緊急アクション」のように貧困問題に取り組む団体の支援により、なんとか命が保たれる事態になっている。

昨年末に労働政策研究・研修機構が発表した、新型コロナ感染拡大によるひとり親へ影響をまとめた調査結果でも、年末に向けた暮らし向きが苦しいと回答したひとり親は60.8%、直近1か月に食料が買えないことがあったと回答した人は35.6 %に上る。

50年に渡り遺児家庭の学びと生活を支援してきたあしなが育英会でも、メインの活動である街頭募金の中止により、奨学金の確保に苦心している。

振り込みや現金書留といったオフラインで寄せられる寄付は1か月で1.8億円。11月30日の緊急支援金の記者会見により翌月は倍近い3.4億円に増えたが、2週間を超えるとだんだん関心が薄まるというのが多いパターンになっていることがデータからわかる。

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あしなが育英会を支援する「あしながさん」には、寄付だけでなく、ボランティアやインターネット上で寄付を募るなどさまざまな支援方法がある。自分にできる一歩からまず始めたい。

文/阿部純子

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