コロナ禍で外食企業は家庭用冷凍食品に活路 内食市場への新規参入が急増

コロナ禍で外食企業は家庭用冷凍食品に活路 内食市場への新規参入が急増

  • 日本食糧新聞電子版
  • 更新日:2020/06/01

外食企業が家庭用の冷凍食品(冷食)市場へ熱視線を送り始めた。新型コロナウイルスとの共存として新生活様式で店舗運営は再開させたが、消費者の自粛意識と席数間引きにはテークアウト・デリバリーだけでは厳しく、元の数字へ戻すには時間を要する。これまでも内食・中食・外食のボーダレス化は進んでいたが、コロナ禍を契機に冷食を活用して内食市場へ参入する動きが相次ぐ。

看板メニューをブランド化

外食企業の顕著な冷食成功事例と言えば「大阪王将羽根つき餃子」で知られるイートアンド。飲食店と食品販売の両輪経営を着実に進め、家庭内で看板商品が食べられるようにと冷食事業へ参画し、約22年後の2019年度には単品売上げ100億円突破を実現。このビジネスモデルに追随する外食企業が後を絶たない。

かつやなどを展開するアークランドサービスホールディングスは5月8日に業務用冷食メーカー2社の買収を発表し、冷食事業への参入を表明。業務用の豚カツ、メンチカツ、ハンバーグなどを製造する2社の売上げ合算は約40億円。

今後は既存ルートの販路拡大に加え、商品開発に力を注ぐ。高齢化社会に必要な油調なしの豚カツで実存品質以上の商品を開発し、家庭用市場も視野に入れる。すでに5月18日から「かつや」店頭で「築地銀だこ」の冷凍たこ焼きも販売するなど、外食と冷食とのリンクを始めている。

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大戸屋ブランドの冷凍食品

大戸屋ホールディングスも冷食で大戸屋ブランドの人気メニュー8品を5月20日から首都圏22店舗で販売した。高齢者の毎日通えないとの声や未出店地域からの要望を受けて約1年前に開発に着手し、今後はオリジナルメニューの追加などで7月にECサイト、9月に全国の大戸屋約350店舗と量販店へ販路を広げる予定。「冷食事業で3年後には現在の店舗売上げ(242億円)規模を目指す」と目標は高い。

ロイヤルホールディングスは創業の機内食事業から派生させ、1950年代から持つ冷凍技術を生かし、「家で楽しむレストラン時間」として2019年末に家庭用冷食ブランド「ロイヤルデリ」を立ち上げた。ショートパスタやカレー、煮込みなどのレストラン品質の洋食25品を自店とオンラインで展開。家庭では時間がかかって作れない味で勝負し、10年で事業化を図る。

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家庭用冷食ブランド「ロイヤルデリ」

関西では、1997年から冷食販売を始めていた千房もメーカー機能の拡充に乗り出す。今後1年で自社製造への切り替え計画を練り、海外展開も計画。看板商品のお好み焼き、焼そばなどで展開する冷食事業は全社売上げの約16%だが、同社も長期的には外食と冷食の売上げ同率を狙う。

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千房のグルテンフリーお好み焼

回転寿司や持ち帰り寿司を約70店舗展開する大起水産も2019年末に自社製造で冷凍棒寿司3種類の販売を開始。コロナ禍で需要が高まり、5月販売実績は2000本超となった。品揃えを増やし、国外展開も積極的に狙う。

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大起水産の焼きさば押し寿司

店舗との両立課題

一方、国内で本格的グローサラントにいち早く取り組んだきちりは、「他業界との取組みを深めるほどに小売や内食の参入障壁の高さを実感した。だからこそ、外食業態にしかできないことに挑戦していきたい」と、中食や内食市場参入の難しさを語る。

さらに外食と内食での同一ブランド・同一メニューの展開は、客数減を招く懸念もある。仮に商品の支持を得ても、それ以上に店舗で大きな集客策を打たなければ、ブランド自体の魅力が薄れる可能性もある。かつて冷食に興味を示した大手外食企業が静かに方向転換したように、家庭用冷食市場での成功と人気外食店運営の両立は簡単ではない。飲食業としての根幹と、しなやかな変化が求められる。

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