
コロナ禍で人々がクルマに求める価値も変わってきた。単なる移動の手段というだけでなく、快適性、安全性、そして、気持ちよさ。新しい時代のクルマ造りを模索するSUBARUの意欲作を紹介したい。
10月にデビューしたのは2代目で、フロントマスクを中心によりシャープなラインを強調し、精悍なスポーツSUVに仕上がった。ただ、同社は、女性ユーザーからも支持されるクルマを目指し、ハンドルの操舵力を軽めに設定した「コンフォートモード」を用意するなど工夫を重ねた。だが、乗ってみると、中身はあくまで硬派なスポーツワゴンに仕上がっている。
走行性能に関していうと、細部までフロントサスペンションにこだわったり、リア周りのボディー剛
性は大幅に改善されており、後席の乗り心地と静粛性はスバル車の中でもトップレベルだ。また、アイサイトも全面刷新し、操作の扱いやすさも加わって本当に使いやすくなった。Withコロナの時代、他人と接触することのないクルマでの移動は間違いなく重要になる。安全性、快適性が備わったこのクルマは時代に合致したクルマであることは間違いなさそうだ。
気持ちいい走りと先進安全性能をハイレベルで両立
スバル『レヴォーグ』
Specification
■全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
■ホイールベース:2670mm
■車両重量:1580kg
■排気量:1795cc
■エンジン形式:水平対向4気筒DOHCターボ
■最高出力:177PS/5200〜5600rpm
■最大トルク:300Nm/1600〜3600rpm
■変速機:無段変速(8速AT)
■燃費:13.6km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:409万2000円
※STiスポーツEX

ヘッドライトから下にグリル開口部を設け、フロントノーズを低く見せようとするデザインはある意味、スポーツモデルの定石。ボンネットの空気取り込み口もスバルらしいデザインだ。

ホイールベースは長く、全高は50mm低い。ロングルーフのワゴン造りは『レガシィツーリングワゴン』からの得意技だ。

全幅は両車ともに1795mmだが幅が広く見える。これはテールランプの横長形状に起因している。ゲートの開口部の高さは620mmと低く荷物の積み降ろしもラク。
長時間乗り続けても全くストレスを感じないクルマ造りを体現

エンジンルーム

新開発の水平対向4気筒1.8Lガソリンターボは1500回転からスムーズに上昇し、4000回転でも静粛性を保つ。エンジンの完成度は高い。
運転席と各種装備

テスラ車にも採用されている縦長の液晶パネルが印象的。この大画面パネルで各種設定や操作ができるよう集約されており、使いやすい。
シートスペース

前席のスポーツシートも新たに開発されたもの。本革はメーカーオプション。後席はやや高めの着座位置で天井、足元ともに広い。
ラゲージスペース

開口部は低めで、ゲートの左右幅も広い。奥行きは約1060mm、荷室幅は1070〜1600mm。後席背もたれは4/2/4で3分割で倒れる。
【 ココがポイント!】誰でも簡単に使える安全運転支援機能

ハンドルスポークにインフォテインメントやドライブモード、運転支援システムのスイッチを内蔵。これらとメーター内の表示がとても見やすく、簡単に先進安全機能が操作できる。
【 ココがポイント!】ディテールまで徹底的に走りと乗り心地を改良

リアバンパーにスバル初の空気排気口やマッドガードにスリットを入れて、車体の揺れやリフトを抑えた。同時に後席の乗り心地や音の侵入も軽減し、静粛性も向上した。
すべてにおいてレベルアップした『レヴォーグ』
[運転性能]新開発の水平対向エンジンは少しトルク不足だが、スムーズに上昇する。クルーズコントロールの作動も絶妙。19点
[居住性]前席のスポーツシートはホールド性がよい。後席もやや高めの着座で前方視界もよい。足元、頭上空間も余裕あり。18点
[装備の充実度]新世代アイサイトもさらに性能が向上。ハンズオフやレーンチェンジアシストの時のメーター表示が見やすい。18点
[デザイン]フロントマスクとテールのデザインはワイルドな印象。女性好みのカラーがあれば新しいファンを獲得できるのでは?17点
[爽快感]2Lのトルクは太くないが、マニュアルモードの8速へは90km/h以上でないとシフトしない。高速走行も気持ちいい。18点
[評価点数]90点
取材・文/石川真禧照