会社の業務中に貸与パソコンで「Dappi投稿」給与1割カットの懲戒処分に疑問点、原告側が裁判で指摘

会社の業務中に貸与パソコンで「Dappi投稿」給与1割カットの懲戒処分に疑問点、原告側が裁判で指摘

  • BuzzFeed
  • 更新日:2022/11/25

Twitter上で野党批判を繰り返し、不正確な情報や誹謗中傷が問題視されていたアカウント「Dappi」の発信元が、東京都内のWEB制作会社だった問題。

立憲民主党参議院議員の小西洋之氏と杉尾秀哉氏が「Dappi」のツイートで名誉を毀損されたとして、WEB制作会社と社長ら役員2人に計880万円の損害賠償などを求めた訴訟の弁論が11月25日、東京地裁(新谷祐子裁判長)であった。

WEB制作会社側はこれまで、投稿は1人の従業員が業務中に私的に行っていたもので、会社側は把握しておらず無関係であると主張していたが、両議員側は「業務として行っていた」と改めて反論した。

また、「Dappi」がツイートしていた作家・門田隆将氏のコラム記事について、両議員側が掲載先の産経新聞と同氏を訴えた訴訟では、名誉毀損との主張を認め、両者に損害賠償計220万円の支払いを命じる判決が11月9日に出ており、この日の裁判でも証拠として提出された。

まず、経緯を振り返る

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Twitterより

フォロワー数17万人以上と、拡散力の大きいTwitterアカウント「Dappi」。

主に野党やマスコミ批判の文脈から、国会答弁を編集した動画や、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」の動画、インフォグラフなどを公開。その発信内容には不正確な点や誹謗中傷と批判されるものもあり、問題視されてきた。

訴状などによると、「Dappi」は2020年10月、森友学園の問題に関連し、両議員について、産経新聞に掲載された門田氏のコラム記事を引用しながら、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などとツイート。

これについて両議員側は、亡くなった職員に説明を求めたり面談を求めたりした事実はないとし、ツイートにより名誉を毀損されたと主張している。

WEB制作会社の法人登記によれば、同社はサイト制作やコンサルティング、インターネット広告の運営管理などを担っている。民間の信用調査機関によると、得意先の一つは「自由民主党」。政党支部や大臣経験者との取引も確認された。

同社の社長が、「自民党の金庫番」「影の幹事長」の異名を持つ党本部事務方トップ・元宿仁事務総長の親族であることや、農水相や金融担当相を歴任した山本有二衆院議員(比例四国)と「友人関係」にあることが、BuzzFeed Newsのこれまでの取材で明らかになっている。

なお、両議員は一連の事案の発端となったコラム記事について、産経新聞と門田氏に対しても訴訟を起こしていたが、東京地裁は11月9日の判決で、両議員が「『つるし上げ』という集団的な批判や問責を行うことによって当該職員を自殺に追い込んだと受け止められるおそれがある」などと指摘。

両議員の「政治活動の当否のみならず資質や人間性も含めた国会議員としての社会的評価に多大な影響を与えるおそれがあることが認められ」るとして、同社と同氏に対し、両議員それぞれに110万円の損害賠償を支払うよう命じた。

両議員側が求めていた謝罪広告などの掲載は退けた。同社と同氏は控訴しているという。

「私的な投稿」に対する両議員側の反論は

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Twitterより 裁判でWEB制作会社側は、当該従業員が2021年1月18日に「Dappi」に投稿された国会中継の切り取り動画(画像上)の作業を再現をしたところ、動画のダウンロードから投稿まで20分ほどで作業ができた、と主張している。

WEB制作会社を相手にした両議員側の裁判に戻れば、その争点は、「Dappi」が会社の業務として運用されていたのか、いち従業員の私的な投稿だったのか、否かだ。

会社側の主張では、従業員は業務時間中に会社からの貸与パソコンを使って投稿を繰り返していた。また、動画の制作時間は1本あたり20分程度であることから業務時間でも可能であり、テレワークが中心であることなどから、ほかの従業員が気づくこともなかった、ともしている。

25日の公判では、会社側の「Dappiアカウントの投稿は、従業員が業務時間中にしていた私的なもの。発覚から7ヶ月後に懲戒処分した」とする趣旨の主張について、両議員側が「業務として行っていた」ものだと改めて反論をした。

その要旨は以下の通りだ。

(1)ほかの従業員が気づかないということはあり得ない

・「Dappi」は2019年6月から5137件の投稿をしており、1日平均6件の投稿時間は平日午前9〜午後10時に集中している。貸与パソコンを利用して相当程度の手間がかかる投稿をしている

・2020年11月17日から2021年1月27日までの3ヶ月間で、同社から「Dappi」アカウントへのアクセスは37日分あった。土日と年末年始を除いた48日のうち77%は当該従業員が同社オフィスに滞在していたことになる

(2)投稿までのプロセスが膨大、長時間におよぶ

・会社側の主張する「動画制作の作業時間20分」のためには、事前にDHCテレビ「虎ノ門ニュース」や国会中継など、長時間にわたる動画を閲覧視聴し、選択する必要がある

・2020年11月2〜6日の衆参予算委における各政党の質問テーマの時間割合について、6日中に分析・グラフ化する投稿をしているが、特に膨大な作業が必要になる

・平日の日中にこれら膨大な作業を、業務の合間に、周りの従業員に気づかれず、会社端末と回線を使って行うことは困難

(3)懲戒処分の説明が不合理

・会社側は2021年4月にプロバイダ側から意見照会があったことで投稿を知り、社長による聞き取り調査と注意があったが、10月まで懲戒処分の決定が出されていない。この間も「Dappi」の投稿は継続されていた

・通常の従業員であれば、業務関連性のない作業を業務時間中に行ったことが発覚し、注意を受けた時点で作業を止めるはずだが、投稿者は作業をその後も継続したことになる

・会社側は懲戒処分まで7ヶ月要したことについて、報道関係者らの問い合わせや「押しかけ」で営業活動が著しく害されたため、減給10%(3ヶ月)の懲戒処分に切り替えたとしているが、9月にIPアドレス使用者の契約者である同社名が開示決定され、その後公になったからと考えるのが合理的

会社側は次回期日で再反論

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Twitterより

なお、懲戒処分に関連する証拠資料として提出されていた給与明細については、会社側による閲覧制限の申し立てが11月4日、東京地裁に却下された。

両議員側の弁護団が明らかにしたところによると、2020年12月〜21年2月までの間、月額110万円だった給与が99万円に減給されていたという。

こうした一連の両議員側の主張に対し、会社側は次回期日(1月23日)までに反論をする方針。同社の代理人弁護士は「必要があれば会社や従業員にも聞き取りをする」としている。

Kota Hatachi

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