「ビジネスオンチはついやってしまう」新事業立ち上げで絶対やってはいけないこと

「ビジネスオンチはついやってしまう」新事業立ち上げで絶対やってはいけないこと

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2021/06/10

事業縮小や撤退のニュースが日々流れ、社会に停滞した雰囲気が流れる中、50以上の新規事業立ち上げの実績がある守屋実さんは「商機と勝機が大量発生する時代が到来した」と言います。ウィズ・コロナ時代の「起業・新規事業」のチャンスは、どこにあるのでしょうか――。

※本稿は、守屋実『起業は意志が10割』(講談社)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Alina555※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alina555

商機と勝機の大量発生

新型コロナウイルス感染症の蔓延で、全世界全世代同時多発的に「不」が起きた。「不」というのは、不便であり不足であり、不利益であり……すべてにおけるマイナスの圧力のことを意味する。こんな事態は、そうあることではない。今の時代に生まれ、「なんて運が悪いんだ!」と嘆く人もいるかもしれないが、僕はそうは思わない。

僕はむしろ、今、商機と勝機が大量発生する時代が到来したと考えている。そして、ウィズ・コロナの時代においては、誰もが商機と勝機の波に乗る可能性を持っている。

多くの人が今起きている状況について、「どうしよう」「大変だ!」と騒ぎ立てて傍観者になってしまっている。しかし、その立場で居続ければ、「勝つ」ことはできない。いや、それどころか現状維持もままならず、ある人はジリジリと、そしてある人は急激に没落への道をたどることになる。

あらゆる人が「不」を経験すると同時に、あらゆる人が解決の可能性を握るキーパーソンとなりえるのがウィズ・コロナの時代だ。誰よりも早く「不」に気づき、その解決に挑むアイデアを出し、そして実行に移す。そんな「意志あるスピード」がものをいう。

語弊を恐れずにいうならば、むしろ今は「チャンスの時代」だといえるのだ。

窮地で思考停止してはならない

では、具体的に見えやすい「不」を抱えた業界には、どういったところがあるだろう。

たとえば、外食産業の窮地は続いている。一斉休業の時期よりはマシな状態になったかもしれないが、気軽に外で食事をする人は明らかに減った。飲食業界の中には、いつ晴れるかわからない暗い状況に苦しい思いをしている方々が少なくない。

しかし、そこで思考停止してはいけない。

「不」が生まれたということは、必ずそこに商機と勝機が発生する。つまり、新規事業が求められるようになるのだ。

ウィズ・コロナでも腹は減る

飲食業界を襲った不況の問題において忘れてはいけないのは、新型コロナウイルス蔓延下だからといって人間の胃袋の数が減るわけではないということだ。ビフォー・コロナの時代もウィズ・コロナの時代であっても、人間の胃袋の数は同じ。みんな同じように、腹も減る。

窮地にあることは事実だが、食の市場がゼロになるわけではない。外食をしていたのが、自宅での食事に移行しただけである。そして、ここに「不」が発生した。日頃外食をしていた人が、自宅でしか食事をしなくなれば、必ずストレスが溜まったり不便が生じたりと「不」を感じるようになる。だからこそ、たくさんの「おうちごはんビジネス」が生まれたのである。これは、外食産業の新たな進化、ともいえる。

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写真=iStock.com/filadendron※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

オンラインあるあるから生まれる「新ビジネス」

他にも挙げればキリがない。たとえば、コロナ禍となり、ミーティングの多くがオンラインとなった。そして「オンラインあるある」として、移動時間を考慮する必要がなくなったことによる休憩ナシの打ち合わせマラソン状態となった。これは一見、効率的に仕事ができるようになり不便がなくなったかのように見えるが、心身の疲労の観点から見るとそうではなかった。

これまでの生活が変われば、さまざまなしわ寄せが出てくるもの。実際に新型コロナが感染拡大してすぐのタイミングで僕の身に何が起きたかというと、急激に腰痛が悪化したのだ。対面で打ち合わせをしていた時は、複数の企業を訪問し、一日平均1万4000歩ほど歩いていた。それが、自宅で仕事をする生活になってから、一日せいぜい500歩ほどに落ち込んだ。毎日の習慣が崩れることにより、明らかに健康状態に「不」をきたしたのだった。

僕と同じようなビジネスパーソンが続出し、たくさんの「自宅トレーニングビジネス」が生まれたのである。これは、健康産業の新たな進化ともいえる。

不便や無駄の解決にトライするのがこれからの新規事業

ウィズ・コロナにおけるさまざまな「不」に、あなたはどう対峙するだろうか。あなたが生活する日常の中で、「不」は簡単に発見することができる。たとえば、新型コロナウイルス蔓延当初、マスクやうがい薬が店頭から消えた。医療現場におけるフェイスシールドや使い捨てのガウンの不足が日々報道されていた。また、巣ごもり需要の話は枚挙にいとまがない。

当然のことながら、現在存在する商品・サービスのほとんどがビフォー・コロナ時代の産物だ。パソコンでオンラインミーティングをしていても、相手と目が合うことはなく、資料を投影すれば毎回「今、見えていますか?」と質問する。マイク付きイヤホンは、いい音で音楽を聴くには適しているが、雑音をカットして打ち合わせするには不向きである。これはそもそも、今ほど盛んにオンラインミーティングがおこなわれていなかった時代に作られた商品だからだ。

新たな生活となり、既存の商品やサービスに対して、不便なことや無駄なことが山積状態だ。この状況を「いやだな」「不便だな」「元に戻ればいいのに」と愚痴をいっているだけでいいのだろうか。あなたがどうしても解決したいと思う「不」にパワーを注げば、自分の問題も解決でき、誰かの役にも立ち、ビジネスとしての勝機も見出すことができる。

そんな「不」の解決にトライするのがこれからの新規事業である。

事業の主語はいつも「お客様」に

ただし、「不」の解決への向き合い方で一つだけ注意してほしいことがある。それは、「減った売り上げを穴埋めする」ために新規事業を作ろうとしてはいけない、ということだ。新型コロナウイルス蔓延の影響で多くの業界や企業が、厳しい局面に立たされている。その辛い心情は、僕も十分に理解しているつもりだ。

しかし、自社の穴を「補塡」するために、新たなことを始めようと考えると間違いが起こってしまう。「補塡」するという時の主語は、「自社」になる。でも、本来事業でしたいことはお客様にとっての「不」の解決のはず。お客様に自社の穴を埋めてもらうのではなく、喜んでもらうことを最大の目的にしなければ事業の道がそれていく。

新規事業はそう簡単なものではない。ビジネスを作っていく中で、何回も窮地に立たされるので、強い信念がなければ絶対に続かない。目的をズラして、自分や消費者をごまかすようなことをすれば、どこかで息切れしてしまう。そして何よりも、そもそもそんな事業では、お客様の心をグッと摑むものなどできるわけがない。

勝者が毎日入れ替わる熾烈な戦い

商機と勝機が乱立するこのウィズ・コロナ時代では、大量の勝者が生み出される。さらにいうと、今日の勝者と明日の勝者がどんどん入れ替わっていく。今日はAさんが勝者だったのに、明日はBさんが勝者になっているという熾烈な戦いになるはずだ。

これは企画や計画を机上でじっくり練ったうえでの勝負というよりは、気づきを素早く行動に移すことによる勝負である。しかも現代は、オンラインで呼びかけて人材を集められるなど、事業に必要なツールを簡単に手にできる時代だ。

つまり、誰もが勝機をつかむ可能性を持っている、ということである。商機と勝機を目の前にしながら、動かないでいることは非常にもったいない。あなたには、この商機と勝機の波に乗ってほしい、と切に願っている。

「動かない」という思考を捨てる

最後に、「新型コロナウイルスとは何だったのか?」と投げかけたい。

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守屋実『起業は意志が10割』(講談社)

数年先か数十年先に「今」を振り返った時、僕らはこの2020年を「辛かった時代」「大変だった時期」という印象よりも、「時代が大きく前に進んだ瞬間」と総括するかもしれない。

では、「時代が大きく前に進んだ瞬間」に生きる僕らは、どう生きればよいのだろう?

僕は、

「時代が進んだ以上に進まないと遅れる」
「思い切って進んでようやくトントン」
「留まっていたらたちまち遅れる!」

──そんなことを思っている。

当然これは、僕自身にも当てはまる。「動け」と伝えている僕が、大して動いていないようでは説得力がない。だから僕自身、これまでにも増して、「動く」ことに重きを置くようにしている。

あなたは、どうだろうか? 平時でも動かないできた人たちからは、「この逆境に、どうやって動けというのだ」と、100も200も反論の声が聞こえてきそうだ。そう思ってしまう気持ちもわからないではない。しかしながら、数年後、「後悔」するのは動いたほうだろうか? 動かなかったほうだろうか? そう考えるとおのずと答えは見えるように思う。

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守屋 実(もりや・みのる)
新規事業家
1992年ミスミ(現ミスミグループ本社)入社、新規事業開発に従事。2002年に新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げおよび売却を実施。2010年守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を務めた後、博報堂、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA、AuB、みらい創造機構、ミーミル、トラス、JCC、テックフィード、キャディ、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、JAXA、セルム、FVC、日本農業、JR東日本スタートアップ、ガラパゴス等の取締役などに加え、内閣府有識者委員、山東省人工知能高档顧問を歴任。2018年にブティックス、ラクスルを、2カ月連続で上場に導く。著書に『起業は意志が10割』(講談社)『新しい一歩を踏み出そう!』(ダイヤモンド社)がある。
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守屋 実

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