
3月7日、千葉県市川市の市議会で、カキ殻などの不法投棄を罰則付きで禁止する条例案が可決・成立した。市によると、貝の殻に限定し不法投棄を禁止する条例は、全国でも異例だという。
【画像】中国語・韓国語の注意書きを見せると「わかりました」 女性はバケツを持ち川へ
なぜそのような条例ができたのか?背景には、数年前から後を絶たない「カキ殻のポイ捨て」問題があった。
椅子や軍手も…「5万円以下の過料」対象区域は
千葉県市川市を流れる江戸川は、天然のカキが採れる場所。カキを採ること自体は禁止されていないのだが、問題はその場で身を取った後の殻。持ち帰るのがルールだ。
しかし、殻のポイ捨ては後を絶たない。2月27日、不法投棄された現場を「妙典河川敷の環境を守る会」の会長に案内してもらった。
妙典河川敷の環境を守る会 藤原孝夫会長:
カキをとってきて、むいてるんですよね。むいて中身だけ持って、うちに帰るみたいですね。
中身をとられた大量の殻が、川岸を埋め尽くすように散乱している。
カキの殻の上には、中国語で「オイスターソース」と書かれた空き缶も捨てられていた。
そして、空き缶の向かい側には椅子も。その近くには、カキをむく時にケガをしないためか、軍手まで。“殻のポイ捨て”の痕跡が残されていた。
今回成立した条例では、「カキの殻などを捨てた人には5万円以下の過料を科す」としている。対象となるのは、江戸川放水路の行徳可動堰から、首都高速湾岸線にかけての約2.7kmの区間だ。
今もなお、殻のポイ捨てが続いているが、数年前はもっとひどかったという。
妙典河川敷の環境を守る会 藤原孝夫会長:
もっと上流のほうに、たくさんありましたよ、何回か掃除してきれいにしてなくなったけど、これ以上ありましたね。
2017年には、河川敷に散らばる無数のカキ殻を総勢80人のボランティアが回収。撤去したカキ殻は約30トンにのぼった。
殻は持ち帰りますか? 注意すると驚きの行動に
これは2021年5月、同じ江戸川の河川敷を撮影した映像。
取材班:
あちらの女性、かごの中にカキがいっぱい入っていますね。
かごいっぱいに入ったカキ。これだけの量をどうやって持って帰るのか?
女性は川岸へ移動すると仲間と合流し、カキの身を取り出して殻を捨て始めた。
さらに2022年5月に取材した際は、ポイ捨てを注意したところ、やめるどころか…。
取材班:
カキを採るのはいいんですが、殻を捨ててはいけないのは知っていた?
女性:
分かんない。知らない。
取材班:
殻は持ち帰りますか?
女性:
日本語分かんない。
そこで、中国語と韓国語で書かれた注意書きの看板を見せると。
女性:
分かりました。
ルールを理解し、片付けを始めたと思ったその時…。
取材班:
ちょっと待ってもらっていいですか。それを捨ててはいけないんです。
女性は無言で、大量の殻を入れたバケツを持って川の中へ。そして、殻を全て川に投げ捨てた。
取材班:
ストップ、ストップ!家に持ち帰ってください。ストップ!ストップ!ストップ!
取材スタッフの制止を振り切り、再び川の中へ。結局、採ったカキの殻は全部、川に捨ててしまった。
看板設置も不法投棄続出 「あわやケンカに」
地元住民らによると、その多くは中国人によるものだという。
2022年7月には、約10kgのカキの殻を不法投棄した疑いで、20代から50代の中国人の女5人が摘発された。
市は看板を設置するなど対策をしていたが、不法投棄は後を絶たず。
妙典河川敷の環境を守る会 藤原孝夫会長:
やめないから何回も注意すると、ケンカになるような時もありましたけどね。「なんで採っちゃいけないんですか」「採るのはいいけど、殻は持ち帰ってください」って言うんだけど、それでも言うこと聞かないで、むいて捨てていく人多いからね…。
ポイ捨てされた殻が原因で、子どもがケガをしてしまい、救急車で運ばれたケースもあったといいう。市は、そうしたケガなどを防ぐため、2022年から2023年にかけて撤去作業を4回に渡り行った。
今回、新たに成立した罰則付き条例は、ポイ捨ての抑止効果となるのか。条例は4月1日から施行され、10月以降は違反した人に5万円以下の過料が科せられる。
まもなく迎える潮干狩りのシーズン。市川市は、条例施行後も職員によるパトロールを予定してるということだ。
(「イット!」3月7日放送)
イット!