「今でも許せません」“わきまえる女性”橋本聖子会長がスケート界の怒りを買う理由 小池、丸川との関係も...

「今でも許せません」“わきまえる女性”橋本聖子会長がスケート界の怒りを買う理由 小池、丸川との関係も...

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/03

東京オリンピック界隈が騒々しい。

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橋本聖子氏(68)が会長を務める東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に対して大会期間中に看護師500人の派遣を要請したニュースが流れると、SNSは批判一色に染まった。

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橋本聖子氏 ©JMPA

しかも今回は、政治家まで参戦したことで騒ぎは一層大きなものになった。丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当大臣(50)は、記者会見で東京都に対して牽制の言葉を発した。

「医療の現場を預かるのは東京都。ですので東京都がまず自分たちが一方では大会の主催者としての責任。そして一方では、医療の現場を預かる者としての責任。この両方の責任をどのように果たすのかということについて、明確な発信なり方向性なりをお示し頂かないと。私たちもそれをどのようにお教え申し上げればよいのかということについて、非常に戸惑っているという状況です」

それに対して小池百合子都知事(68)は、「確認します」と冷たく対応。2020年の都知事選では、再選を狙う小池都知事への刺客として丸川大臣の出馬が噂された因縁もある両者の間で、緊張感あふれるやりとりが交わされた。

「聖子ちゃんはすごかったよ」

そんな女の戦いが繰り広げられる中で、めっきり存在感が薄いのが組織委員会の橋本聖子会長。前任の森喜朗氏(83)はよくも悪くもニュースに名前が出ることが多かったが、橋本氏は会長就任以降も発言に注目が集まる機会が少ない。アスリート出身で知名度は2人に負けないはずだが、小池都知事や丸川大臣と比べると主張も個性も一般層に浸透しているとはいいがたい状態だ。

そもそも、橋本聖子という人はどういう人間なのだろう。スピードスケートと自転車の二足の草鞋をはいていた現役時代を知る元新聞記者は、当時の橋本氏についてこう語る。

「現役時代の聖子ちゃんはすごかったよ。実績はもちろん人気もすごかった。聖子ちゃんを嫌いだっていう人に会った記憶がない」

経歴をたどれば、その言葉が嘘でないことは納得できる。

橋本氏は、東京オリンピックが開催された1964年に北海道で生まれた。スピードスケートで早くから頭角を現し、中学3年生で全日本選手権を初制覇。1984年のサラエボ大会でオリンピック初出場を果たすと、その後もカルガリー、アルベールビル、リレハンメルと4度の冬季オリンピックに出場している。

それと並行して、自転車競技でも1988年のソウル、バルセロナ、アトランタと3度夏季オリンピックに出場している。夏季と冬季両方のオリンピックに出場したのは日本人として初で、合わせて7度の出場は日本人女子として史上最多。前代未聞のスーパーアスリートなのだ。

1992年のアルベールビル冬季オリンピックでは、スピードスケート女子1500mで銅メダルも獲得している。名前の「聖子」も聖火にちなんでの命名であり、オリンピックとこれほど縁のある人生を送っている人はそういない。

政治家としての経歴も華々しい。1995年に参議院議員選挙に立候補し、初出馬で当選。最後のオリンピックとなったアトランタオリンピックへの出場は1996年なので、その時はすでに国会議員でもあった。

それ以降、現在まで当選回数は5回。すべて参院選比例区への立候補で、獲得票数は常に上位で危なげなく当選を続けている。

2016年には、女性として初めて自民党参議院議員会長に就任。そして2019年にオリンピック・パラリンピック担当など複数の役割を担う立場として初入閣。森氏の後を継いで組織委員会会長に就任したのは記憶に新しい。

典型的な“わきまえる”タイプ?

橋本氏のキャリアを見れば、アスリートとしても政治家としてもエリートコースを完璧に走り切ってきた姿が見えてくる。にもかかわらず、人間としての個性が見えてこないのはどうしたことだろうか。

「森さんの言葉を借りれば、典型的な“わきまえている”女性だよね。言葉の力があるわけではないし、絶対にこうしたいと強く主張するタイプでもない。彼女に強いリーダーシップを期待するのがそもそも間違っていると思う」

前出の元新聞記者はそう言いつつも、橋本氏をかばってみせた。

「だからこそ、組織の中でうまくやって来られた部分は否定できないでしょう。スポーツしかやって来なかった彼女が政界入りしてどうなるかと思ったけど、森さんを筆頭に長老たちに可愛がられてここまで来た。とんがってもいないし、周りを見てスタンスを調整しながら、与えられた職務はそれなりに果たす。今も会長としての仕事を真面目にやってるんじゃないかな」

しかし、橋本氏の出世を苦々しく思う人もいる。橋本氏はスピードスケートでの絶大な実績によって、2006年から2019年まで日本スケート連盟の会長を長く務めていた。しかしスケート連盟はスピードスケートだけでなく、フィギュアスケートも管轄していた。そのフィギュア界では、橋本氏の評判は極めて悪いのだ。フィギュア取材が長い現役の中堅新聞記者は、「あのときのことは今でも許せません」と怒りを露わにする。

「あのときのこと」とは、2014年ソチオリンピックの打ち上げパーティーで高橋大輔にキスを強要したとされる事件だ。

「当時の橋本氏は日本選手団の団長も務めていて、選手から見れば決して機嫌を損ねてはいけない存在だった。その立場を利用して、公衆の面前で口と口のキスですからひどいですよ。さらに問題が発覚した後も、謝罪は書面だけ。逆に、高橋選手が『大人と大人がハメを外しすぎたということで、お酒が入ってしまい、はしゃぎすぎてああなった。反省してます』と謝罪に近い言葉を発する羽目にまでなりました。フィギュアファンは決してあの事件を忘れません」

2014年のソチオリンピック関連では、浅田真央への“安倍総理(当時)とのハグ強要事件”も起こしている。

「ソチから帰国したあとの記念品贈呈式で、明らかに戸惑っている真央ちゃんに何度も総理とハグするように促していました。安倍総理が気を使って一度は断ったものの、橋本さんが強要するようにハグさせた。しかも流れの中で羽生結弦さんが真央ちゃんにハグを勧める形になって、羽生さんにまで批判が及びました。ただ、どう考えても悪いのは橋本さんです」(前出・中堅記者)

さらに最近では、水泳業界からの評判も芳しくないという。日本水泳界の至宝である池江璃花子の白血病公表に対する発言がきっかけだという。池江が診断を公表した2019年2月12日の4日後に、オリンピック関連のイベントで橋本氏が「オリンピックの神様が池江璃花子の体を使って、オリンピック、パラリンピックというものをもっと大きな視点で考えなさいと言ってきたのかなと思いました」と発言したのだ。

「白血病は競技復帰どころか生命の危険さえある病気。しかも池江選手は当時18歳です。そんな彼女が苦しみ抜いて白血病を公表した直後のあまりにも無神経な発言に周囲は驚きました。発言の真意を問われて『私たちこそが、池江選手の治療できる環境、頑張ってもらえる環境を作らなければならない』と釈明しましたが、まったくアスリートファーストじゃないですよね」(前出・中堅記者)

直前には「私も高校3年生の時に(腎臓の)病気をして、立ち直ることができた一人であるなというふうに思っております」と自分の体験に重ねてエールを送っていたが、この時も“神様発言”への批判が巻き起こった。

橋本氏自身は小学生の時から腎臓の持病を抱えてアスリートとして活動を続けて、輝かしい実績を残した。そのことは誰にも否定されるものではない。その背後には、芯の強さや粘り強さといった性質があるのだろう。

しかし現在は、肝心の“芯”がどちらを向いているのかが見えない状態だ。一見物腰は静かだが、その“芯”が国民の意志と相反するものだった場合、大きく国民の期待を踏み外す危惧も感じる。

前任の森氏の危うさはわかりやすかった。しかし橋本氏の存在感のなさは、もしかするとそれ以上に危ういものなのかもしれない。

(小野 歩/Webオリジナル(特集班))

小野 歩

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