荷物の多いカメラマンに声をかけ...森保一監督の素顔は「“泣き虫”で、とてもいい人」

荷物の多いカメラマンに声をかけ...森保一監督の素顔は「“泣き虫”で、とてもいい人」

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/11/26

森保一監督は泣き虫だ。いくらなんでも泣き虫すぎる。ドイツ戦前、君が代が流れる中、森保監督は歌いながら目に涙を浮かべていた。就任から4年強、様々な思いが去来したのだろう。

【画像】国歌斉唱で涙ぐむ森保監督

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森保一監督

どたばたのスタートだった森保ジャパン

思えば、初陣から前途多難だった。2018年9月7日、森保ジャパンとしての初戦は札幌でチリを迎えて行われるはずだった。だが北海道胆振東部地震の影響を受けキャンセルされた。私自身も試合に向かうフライトが飛ばず、空港から引き返したことを覚えている。

続く11日、本来就任第2戦となるはずだったコスタリカ戦、開催地大阪は1週間前の台風の影響で大変なことになっていた。関西国際空港の滑走路は高潮で閉鎖、タンカーが衝突し連絡橋が損傷、空港は一時孤立した。試合こそ通常通り行われたが、関西空港から欧州に帰る多くの選手たちが、出発を中部国際空港などに振り替えねばならなかった。

とにかくどたばたのスタートだった。最終予選が始まる前には、コロナ禍がやってきた。何もジャパンのみがコロナの影響を受けたわけではないが、過去のW杯前に比べ思うような準備、チームビルディングができなかったのは確かだ。

そんなあれこれを思い出したのかわからないが、監督としてのW杯初陣ドイツ戦前の国歌斉唱を終え、森保監督は目元をハンカチで拭わねばならないほどの涙を流していた。

昨年10月12日に行われた最終予選第4戦オーストラリア戦前にも涙を見せている。同じく国歌斉唱中に感極まってのことだった。この時は森保ジャパン最大のピンチに陥っていた。最終予選初戦でオマーンに負け、第3戦までで1勝2敗。黒星スタートの最終予選は突破したことがないという過去のデータを覆すべく、何としても落とせなかったのがこの第4戦だった。その試合前に泣いたのだった。

海外メディアでも取り上げられた“森保監督の涙”

この時は多くの海外メディアから注目を浴びた。試合前に監督が涙を見せることは本当に珍しいということの証だ。今から1年以上前に森保監督の涙は世界に知れ渡ったのだ。

当時の東スポWEB(2021年10月13日)によれば、ブラジルの「グローボ」は涙を浮かべた森保監督の写真を大きく掲載し「国中からの重圧を背負った森保監督が国歌演奏中に泣く」と、涙はプレッシャーゆえだと説明を加えた。英国の「デイリーレコード」もまた森保監督の涙の写真を掲載。この試合では古橋亨梧が活躍したことから「セルティックの英雄・古橋が『弱音を吐くな』と涙する森保を救った」と説明が加わった。

記事には「国歌を歌う時、涙がこぼれそうになった」という森保自身のコメントも使われていた。また、中国の「新浪体育」でも“涙のエピソード”が大きく報じられた。

監督自身が語った「涙の理由」

森保監督自身はこのオーストラリア戦後こう説明している。

「感情的というか、毎回、君が代を歌って試合をできることを喜び、誇りに思っている。ホームで試合ができて、たくさんの日の丸を見られて、たくさんの応援を受けていると思って君が代を歌って、目頭が熱くなった」

森保監督はこの試合直前、第3戦サウジアラビア戦を終えた時に田嶋幸三会長に「いつでもクビを切ってくれ」と申し出ていた。この4年間で最も苦境に陥ったのがこの頃で、それを払拭する必要があるホームでの大一番だった。感極まるのはわからないではない。

森保監督の熱さ、涙もろさは伝わってくるし、ネットでは共感が寄せられているようだが、私自身は泣くのはせめて試合後、勝利した後でいいのにと思ってしまう。勝利の後の涙であれば、それほど世界からも注目されなかったはずだ。

スタッフの手を煩わせず…森保監督のいい人エピソード

そんな“泣き虫”森保監督は、とてもいい人である。いい人エピソードには事欠かない。いい人であり、とても普通の人だ。

例えば、だ。日本サッカー協会はドイツ・デュッセルドルフにオフィスを作った。森保監督はかなり長い時間そこを拠点に欧州各地で選手の視察を行っている。遠方の視察であれば飛行機で行き来することになる。その際、森保監督はデュッセルドルフ空港から、普通に一人でバスに乗りオフィスに戻ってくるのだそうだ。サッカーの世界で代表監督ともなれば、それなりの地位である。おつきの専用車があっても、迎えのハイヤーがあっても誰も文句は言わないはずだ。だが、森保監督は一人で空港からバスでオフィスに戻る。スタッフの手を煩わすこともないのだ。大人としては当たり前の普通のことが普通にできる。周囲からしてみればありがたい人物である。

「カメラの荷物が大変そうだから」

またある時は、欧州のスタジアムでは入場の際の手荷物検査が大変で時間がかかるから、と荷物を駅のロッカーに詰めてから視察に向かったこともある。たまたまその場にいあわせたカメラマンが驚いていると「カメラの荷物が大変そうだから」とタクシーに同乗させてくれて、一緒にスタジアムまで向かったのだそうだ。ものすごく懇意なカメラマン、というわけではないのにだ。

自分だったらもし関係者と駅かどこかで会って、同じ行き先を目指すことがわかっていても、相手がさほど親しくない人物だった場合一緒のタクシーに乗るだろうか。乗らない気がする。そう考えると、森保監督がいかにいい人かが伝わってくる気がする。

泣き虫で、特殊な仕事をしているのに普通の感覚を持ち合わせ、とてもいい人。全前回大会王者ドイツを撃破した森保一監督とはそんな人物なのである。

(了戒 美子)

了戒 美子

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