韓国大統領選の与党候補、李在明氏につきまとうあり得ない醜聞

韓国大統領選の与党候補、李在明氏につきまとうあり得ない醜聞

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  • 更新日:2021/10/15
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韓国与党「共に民主党」の候補に選出された京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

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早くも分裂の兆しが見える与党陣営

2021年3月の次期大統領選挙が近づく中、韓国与党「共に民主党」の候補として現・京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏が選出された。今後、野党側も正式な候補を選出した上で、本格的な選挙活動が始動することとなる。

李氏の選出を巡って、日本では李氏を有力候補と目し、早くも警戒や日韓関係のさらなる後退を危惧する見方が広がっているが、ここ韓国では、必ずしも李氏が有力、安泰とは言い切れない状況である。

韓国の大統領選挙では、投票までに疑惑や党内分裂など毎回波乱がつきものだが、李氏の選挙戦も、不透明で混乱を予感させるものとなりそうだ。

韓国では、今年前半から与野党ともに大統領選挙を見越した動きが始まっている。これまで大統領候補として名が挙がっていたのは李氏の他に、同じく与党の李洛淵(イ・ナギョン)氏、そして野党は元検察総長の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏、洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏である。

先日、与党「共に民主党」の公認候補を選出する投票で李在明氏が選ばれたものの、李洛淵氏の善戦により、辛うじて過半数を獲得した。この結果に対して、李洛淵氏は無効票が含まれていたことに言及。「結果を受け入れない」とした上で、再度「決選投票をすべき」と主張した。

本来、大統領選挙では保守(右派)対革新(左派)という構図があり、そこに中道が票を分けるというのが通常の展開である。ただ、与党内では李在明氏の醜聞や疑惑の多さなどから反感を持つ者も多いとされる。野党の政権奪還を阻止するためには与党内での連携が不可欠だが、早くも不協和音と波乱を予感させている。今後、李洛淵氏がどのような対応をしていくかも与党内では頭の痛い問題だ。

盧氏、文氏、李氏に共通する苦労譚とその経歴

李氏が正式な大統領候補になったことで注目されているのが、その生い立ちである。

李氏は1964年に、韓国中部・慶尚北道の安東(アンドン)で7人兄弟の5男として生まれた。家は貧しく、小学校を卒業するとソウル近郊の城南(ソンナム)市で少年工として工場勤務などの肉体労働に従事した。李氏は労働の傍ら、中学・高校の卒業検定資格を取得し、大学への進学を目指す。そして、ソウルの中央大学で法学を学び、1986年に修士課程の修了とともに司法試験に合格、弁護士となった。

小学校卒業と同時に社会に出て、勉学に励みながら弁護士という職に就いたということだけ聞いても、相当な根性の持ち主で、努力家であることは間違いないであろう。

経歴に多少の違いはあれど、現大統領の文在寅氏を含め、盧武鉉氏、李氏ともに苦学の末に司法試験に合格をしたこと、人権派の弁護士及び市民活動家を経て政界へと転じたことなど何かと共通点が多い。

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苦学の末に司法試験に合格し、人権派弁護士を経て政界に転じた盧武鉉元大統領(写真:Chien-Chi Chang/Magnum Photos/アフロ)

今回、与党の候補として選出されたことで、文氏の政策路線をほぼ継いでいくと思われる。特に注目すべき点は日本に対する発言で、大統領候補となる前から李氏は度々、挑発的な発言を繰り返してきた。

李氏と言えば過激な発言が波紋を呼ぶことなどから、米国のトランプ元大統領になぞられて「韓国のトランプ」などと称される。日本に対しても度々発言しており、最近も「日本を追い抜かす」とコメントしている。その内容から「反日」と目される。

「反日」と言われることに対して、李氏自身は「私は日本を敵視したり憎んだりしていない」と語っているが、過去にはお膝元の京畿道の学校が保有する特定の日本企業の製品に対し「戦犯ステッカー」を作成、添付する案を出すなど物議をかもした。

もっとも、実際には言動ばかりが注目されていて、国民の関心が高い経済や外交など肝心の政策については具体的に語られておらず、その手腕は未知数である。文氏と同じ自身の保身のために「反日」を再び推し進めれば、さらに日韓関係の悪化は免れず、国際社会でも孤立するのは必至であろう。

大統領候補の甥が殺人事件で服役中の衝撃

そのサクセスストーリーや過激な発言で知られる李氏だが、数多くのスキャンダルが絶え間なくつきまとっており、大統領候補としての適性を疑いたくなるのも事実である。

過去、京畿道城南(ソンナム)市長時代には、自らの立場を利用して兄を精神病院に強制入院させたという疑惑を巡り、虚偽の証言を行ったことで公職選挙法違反に問われた。この他にも、兄の妻(義姉)に対する暴言の音声が流出し謝罪に追い込まれたり、飲酒運転で摘発されたりした過去もある。

また、ゴシップネタとしてにぎわせたのが不倫である。女優で社会活動家としても知られるキム・ブソン氏が、李氏と過去に不倫関係にあったことを暴露し、韓国社会に衝撃を与えた。李氏はキム氏との関係を認め、以後、キム氏は李氏をことごとく非難し続けている。

最近も、「李氏の甥はかつて別れ話のもつれから交際女性とその母親を殺害し、現在は無期懲役で服役中だ」との発言をして波紋を広げた。

この件に関して李氏自身は沈黙を続けているが、甥が犯した殺人事件の第一審と控訴審を元弁護士である李氏が担当していたという事実をソウル新聞が報じている。

自身が起こした問題ではないにせよ、大統領候補者の身内が殺人事件を犯して服役中という事実だけでも衝撃だ。また、裁判で李氏は甥の心神喪失を理由に減刑を訴えていたが、交際女性と母親には二十数カ所もの刺し傷があるなど現場は凄惨な状況だった。

その事実を知った世間は普段、凶悪犯罪に対し厳罰を訴える李氏に対し、「凶悪犯に対する厳格な物差しは自分の甥には適用されないのか」と非難の声が上がっている。

私情を全面に出して李氏を攻撃するキム氏の言動に世論は冷たい視線を注いでいるものの、常にダークなスキャンダルがつきまとう李氏に対して、不快感や嫌悪感を持っている国民も多いのも事実だ。キム氏から李氏にまつわる爆弾発言が出ることを期待する向きもある。

そして現在、検察の捜査対象となっている大庄洞(テジャンドン)開発不正疑惑では、李氏を筆頭に側近などが検察の捜査対象となっている。文政権下で相次ぐ土地開発を巡る疑惑に国民の不信感はさらに高まっており、先日の世論調査では、文氏の支持率は再び下落へと転じている。

文氏は「捜査には極力協力し、真相を解明すべきだ」との声明を出しているが、捜査の行方次第では与党のみならず、野党、さらには大統領選挙全体への影響が懸念されている。

それでも、李氏が自身や身内でこれだけの問題を抱えながらも、堂々と大統領選挙の候補者に擁立されてしまうところ、それを問題視する動きが見られないところも理解しがたい。

大統領選の波乱要因となった李氏のスキャンダル

噂の域を出ないものまで含めれば、李氏のスキャンダルはかなりの数に上る。当然、それを知った国民からは、「常に世論調査で李氏がトップであることが信じられない」「与党は野党候補の尹氏のスキャンダルを必死に探しているが、李氏のスキャンダルとは比較にならなのではないか」など疑問の声が上がる。

韓国人が敏感に反応する「反日」を掲げる李氏のように、威勢よく相手を牽制すれば、強いリーダーシップやカリスマ性を持ち合わせており、頼もしく感じるかもしれない。米国のトランプ元大統領も過激な物言いが人々に新鮮に映り、「何かを変えてくれるかも」という期待感から支持を広げ、大統領の座を手にした。

日本でも、自民党の河野太郎氏や小泉進次郎氏のはっきりした物言いに当初は期待感を持っていた人も多い。しかし、どれもその後の実績につながったとは言いがたい。

中身を伴わなければ「口だけ」で終わるのは目に見えている。それだけを理由にリーダーを選べば、後々の大きな失望感に跳ね返る。文氏も何かにつけて「パフォーマンスだ」と批判されているが、李氏も再び同じ過ち繰り返すことになりかねない。

李氏やその周辺で物議をかもすような疑惑やスキャンダルが続出している展開を見ると、大統領候補という以前に人間性に問題があるということではないか。現段階でもこれだけの醜聞があるのであれば、今後、大統領選挙が進むにつれてさらなるスキャンダルが発覚するという可能性も否定できず、与党内、ひいては選挙戦全体に混乱を与えることになりかねない。

李氏の大統領候補選出はかなりリスクが高く、場合によってはさらに韓国の国政と品格を低下させることとなり得よう。

田中 美蘭

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