堤礼実アナが語る希代のトップジョッキーの引退「私の競馬人生は福永祐一騎手なくして語れない」

堤礼実アナが語る希代のトップジョッキーの引退「私の競馬人生は福永祐一騎手なくして語れない」

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  • 更新日:2023/03/19
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堤 礼実連載:『華麗なるウマ話』第49回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、堤礼実アナウンサーの連載『華麗なるウマ話』。今回は、この2月でジョッキー生活からピリオドを打った福永祐一騎手について語ってもらった――。

◆美女馬券師が魅せる、可憐な一枚

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2月25日深夜、中東サウジアラビアから大偉業達成のニュースが飛び込んできました。

パンサラッサがサウジカップを優勝! 日本馬初の快挙を達成しました。

昨年のドバイターフに続いて2度目の海外GI制覇となりますが、今回は世界の強豪が集った賞金額世界一のレースで勝ったのですから、パンサラッサやその関係者はもちろんのこと、日本競馬界にとっての偉業だと思っています。それが成し遂げられたことには、ただただうれしいのひと言です。

今年のサウジカップには6頭の日本馬が出走していたので、勝利への期待は高く、日本馬が勝つかどうかだけでなく、どの馬が勝つのだろうというワクワク感もありました。そして、パンサラッサがギリギリで逃げ切れるかどうかというレースでしたから、興奮とともに歴史的勝利を味わうことができました。

ちなみに、パンサラッサが得た賞金は、なんと1000万ドル。日本円でおよそ13億円!

そもそも競馬界は、私にとっては途方もない金額が動いている世界ですが、それにしてもひとつのレースで13億円とは......。自分のお金でもないのに、自分ならどう使うかと考えてはみたものの、ちょっと想像がつきませんでした(苦笑)。

サウジカップと同じ日に行なわれた他のレースでも、バスラットレオン(1351ターフスプリント)、シルヴァーソニック(レッドシーターフハンデキャップ)が勝利。これでまた日本競馬の強さやすばらしさが世界により広まったと思うと、誇らしい結果となりました。

さて、パンサラッサの快挙達成の一方で、このサウジカップデーでの騎乗が現役最後の騎乗となったのが、福永祐一騎手です。帰国後の3月4日には阪神競馬場で引退式も行なわれ、今後は技術調教師として来年の厩舎開業までの準備を進めていくそうです。

思えば、私が日本ダービーというレースの意味を理解したうえで、初めてダービーを生観戦したのが、2018年。そう、福永騎手がワグネリアンで初めてダービーを勝った時のレースだったのです。

福永騎手はその後、2020年にコントレイルで三冠を成し遂げ、2021年にはシャフリヤールでダービー連覇を達成。私が競馬番組を担当する以前から、福永騎手がトップジョッキーだったことは言うまでもありませんが、さらにもう一段上のレベルへと駆け上がっていく姿を競馬番組のMCという立場で目の当たりにさせてもらったことは、アナウンサーという職に就く私にとって大きな財産となっています。

私の"競馬人生"は、福永騎手なくしては語れません。

ですから、福永騎手の引退は私にとって感慨深い......と言ってしまうと、一方的で失礼な言い方にはなるのですが、振り返ってみるとさまざまな記憶が蘇ります。

『みんなのKEIBA』のなかでも、福永騎手の引退に際しては、過去のいろんな映像が流されました。キングヘイローで初めて挑んだダービーでは、2番人気に推されながら14着と大敗。福永騎手のダービーへの挑戦は屈辱的な経験から始まり、「もうダービーは勝てないのではないか」と心が折れかかったこともあったと聞きます。

私は福永騎手がトップにいる姿しか見ていませんが、これだけのことを成し遂げた人でもそれまでにはたくさんの挫折や失敗があり、そこからいろんなことを吸収して今がある。そんなことに、改めて思いを馳せる機会にもなりました。

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私が競馬番組を担当するなかでは、多くの騎手が活躍する姿を目にしてきました。それぞれが印象深い記憶です。とはいえ、最も印象に残る騎手をひとりだけ挙げるとするなら......私の場合、やはり福永騎手になるのかもしれません。

コロナの影響もあって、私が直接厩舎を訪れて取材をすることはほとんどなくなってしまいましたが、そのなかで数少ない、実際に会って取材できた馬がコントレイル。彼に騎乗していたのが福永騎手ということにも、勝手に縁を感じています。

福永騎手が騎乗したレースのなかで最も強く印象に残っているのは、先にも触れた2018年の日本ダービーですね。

競馬番組に携わるようになった当時、私はまだダービーというレースがどれほど重要なものなのか、正直理解していませんでした。ですが、徐々に競馬のことがわかってきて、ダービーの重さをようやく理解できるようになって見たのが、2018年のレース。

その際、福永騎手だけでなく、父である洋一さんが達成できなかった"福永家の夢"を叶える瞬間を見させてもらいました。レース後のガッツポーズも、頬を伝った涙も、今でもはっきりと記憶に残っています。

もちろん、当時の私は競馬に関してまだまだズブの素人で、わかったふりをしていた部分もありました。それでも、あのダービーから感じるものはすごくありましたし、福永騎手の悲願達成からいろんなものを教わった気がします。

その福永騎手が、今度は調教師としての道を歩み始めます。

これまでに番組のなかでも、福永騎手のインタビューを聞く機会は多かったのですが、ジョッキーでありながら、常に調教師目線というか、馬を育てることへの気持ちが強い方なのだな、という印象を持っていました。だからでしょうか、今回の騎手引退、そして調教師転身の話を聞いた時も、きっとこの方なら魅力たっぷりの馬たちを育ててくれるのだろうなと感じました。

これまでに福永騎手は、自分しか見たことのない景色をたくさん見てきたはずです。その景色を知るトップジョッキーがどんな調教師になっていくのか。イチ競馬ファンとして本当に楽しみにしています。

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Profile
堤 礼実(つつみ・れいみ) 2016年フジテレビ入社。
1993年11月23日生まれ、米国カリフォルニア州サンノゼ出身。
血液型:O型。趣味:ミュージカル鑑賞、ダンス。
好きなもの:東宝ミュージカル、宝塚歌劇、ハプスブルク家、
パクチー、チーズ。
モットー:「一瞬一瞬を大切に」「意志のあるところに道はある」

『みんなのKEIBA』(毎週日曜・午後3時00分~)
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