婚活市場では"高望み"の部類だが...「年収500万円以上の未婚男性」が最も余っている皮肉な理由

婚活市場では"高望み"の部類だが...「年収500万円以上の未婚男性」が最も余っている皮肉な理由

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2022/11/26

「稼げない男、稼げる女」の生涯未婚率は上がっている

「金を稼げない男と金を稼ぐ女は結婚できない」と言われます。

これは、就業構造基本調査を基にした、年収別男女の生涯未婚率(50歳時未婚率)をグラフ化すれば明らかです。年収100万円未満の男性は約47%が生涯未婚ですが、逆に年収100万円未満の女性の生涯未婚率はわずか5%です。

個人の年収が上がるごとに、男性の未婚率は下がり、女性の未婚率は上がっていきます。ちょうど年収400万円を超えたあたりで男女の生涯未婚率の比率が逆転します。年収500万円以上では、男性は11%、女性は25%となります。

最新のデータは、2017年のものですが、それより10年前の2007年と比較しても、その傾向は同様で、男女ともむしろ生涯未婚率が全体的に上昇しています。逆に、高年収の男性と低年収の女性の未婚率は、10年前と比べてもほとんど変化はありません。

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さて、なぜこういう現象になるのかといえば、以前<「年収500万円の星野源似」を“普通の男”と考える婚活女性の悩ましさ>の記事でも解説した通り、そもそも相手男性に対する年収条件が現実と乖離(かいり)しているためです。

「平均年収でいい」のになぜマッチングしないのか?

結婚相談所の仲人さんの話を聞くと、年収500万円以上とまではいいませんが、「最低でも400万円」という条件提示をする婚活女性も多いようです。なぜなら、テレビやネットのニュースでも世の中の平均給料が400万円台だと聞いているし、実際、国税庁の民間給与実態調査での男性の全国平均給料は、25~29歳で404万円、30~34歳で472万円ですから、本人からしてみれば、決して無謀な条件提示をしているわけではなく、むしろ「高望みはしません。平均年収でいい」という妥協の意味合いが強いのかもしれません。

しかし、この民間給与実態調査の結果は、未婚も既婚もあわせての数字であり、決して未婚男性の平均給与ではありません。婚活女性が選択対象とすべき未婚男性の年収構造は思ったより低いものです。

簡単にいえば、男性の結婚適齢期年齢の25~34歳で見ると、全国平均では、年収500万円以上はわずか11%、400万円以上まで下げたとしても27%しかいません。結局、婚活女性の多くが年収400万円以上の未婚男性を希望したところで、3割程度しか該当者がいないわけですから、残り7割は「該当者がいません」と言われてしまうだけです。

年収同類婚が増えているならチャンスはあるはずだが…

それでは、未婚者の3割しか結婚できないのか? というと決してそうではなく、実際このアラサー年代で結婚している男性の多くは、年収300万~400万円の人たちです。

加えていうならば、現在の結婚のマッチングは、いろんな意味での同類婚が増えており、年齢も未婚時点での年収も同じくらいの者同士の結婚が以前よりは増えています。つまり、婚活女性の年収が300万円台なら、相手も300万円台の男性を希望したほうが結婚に結びつきやすいということでもあります。

とはいっても、晩婚化といわれる時代です。ある程度、仕事のキャリアを積んで、30歳を過ぎてから婚活を始めた未婚女性もいるでしょう。そして「自分の年収が400万円を超えているのだから、それと同等以上の相手を選んで何がいけないの?」と言いたい女性もいるかもしれません。

「それでなくても、日本の男女の賃金格差は世界的にも大きいのだから、少なくとも400万円以上の年収の男性は女性の数よりも多いはず。だから私が余るはずがない」と言いたい人もいるかもしれません。

「女性の上方婚、男性の下方婚」志向は根強い

確かに、それも未既婚あわせて総数で比較してしまうとその通り、男女で同年代でも男女の賃金格差は存在するのですが、こと未婚男女だけで比較すると、驚くほど男女平等です。

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つまり、この分布上で、世間的に同じ年収同士の経済力同類婚が進んでいるとするならば、400万円以上の年収の女性が余ることもないですし、低年収の男性が余ることもないことになります。が、現実はそうはなっていません。

もちろん、理由としては、「女性の上方婚志向、男性の下方婚志向」という影響もあります。これは、経済条件でいえば、女性は自分の年収よりも稼いでいる男性を求め、男性は自分の年収より下の女性を求めるという志向です。経済力同類婚が増えたとはいえ、全員が同じ年収同士で結婚するわけではありません。独身の恋人関係の時に同年収だったとしても、それが結婚後夫婦となった時も継続するかというとそうとも限りません。子がいない夫婦でも、結婚を契機に退職やパート勤務に変更する女性もいるからです。

では、未婚男性は低年収しかいないのか?

2018年の内閣府の「少子化対策に関する意識調査」では、20~40代の子無し夫婦の年収分布が掲載されていますが、これによれば、ボリュームゾーンが夫は400万円台、妻が100万円未満となっており、やはり結婚においては「結果としての女性の経済力上方婚」は健在だといえるでしょう。だからこそ、冒頭のグラフ(図表1)のような、「金を稼げない男と金を稼ぐ女が生涯未婚」という結果となるわけです。

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しかし、そもそも年収別の生涯未婚率のグラフだけを見ていると勘違いしてしまいがちなので注意が必要です。低年収男性の未婚率が高いからといって、世間の未婚男性は低年収だらけなわけではないのです。これは割合の話であって実数ではありません。

実数では「年収500万円以上」がもっとも余っている

生涯未婚率対象年齢である45~54歳男女の未婚人口を年収別にみると、未婚男性でもっとも人口が多いのは500万円以上の年収層になります(2007~2017年の10年推移)。これは2007年も同様で、比率にしてしまうと小さくなるのですが、実数としては「婚活女性が高望みといわれてしまう年収500万円以上の未婚男性」がもっとも余っていることになります。

一方、女性の場合は、未婚率と同様に400万円以上の未婚人口がもっとも多くなっています。つまり、未婚率ではなく、未婚人口実数だけでみてしまうと、むしろ「金を稼ぐ男女は結婚できない」ということになってしまいます。

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どうしてそういうことになってしまうのでしょうか。

当然ですが、そもそも全員が「結婚したい」と思っているわけではありません。<岡村隆史さんの「年の差婚」を羨ましがる中年男性に降りかかる現実>の記事でもご紹介した通り、18~34歳までの年齢でも「結婚に前向き」なのは、男性4割、女性5割程度で、これは1980年代から変わっていません。そして、結婚意欲は、加齢によって下がっていきます。

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写真=iStock.com/PeopleImages

年収が増えても結婚意欲は下がっていく

2020年1都3県の未婚男女に対して私が実施した調査によれば、20代では「結婚意欲」は男性44%ですが、50代では24%に低下、女性も20代では59%も「結婚したい」と思っていますが、50代になると15%になってしまいます。

もちろん、これは、さんざん今まで婚活したけれどマッチングしなかったという諦めの人もいるでしょうし、そもそも最初から結婚しないという選択的非婚者もいます。

そして、年齢だけではなく、結婚意欲は年収によっても変わります。ご覧の通り、男性は400万円台までは、年収増に応じて結婚意欲は高まりますが、500万円を超えると急降下します。特に、初婚の多い20~30代で顕著です。女性も男性ほどではないですが、20~30代で500万円を超えると結婚意欲が下がります。

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結婚したいなら、金を稼ぐ前にしたほうがいい

巷(ちまた)では「金がないから結婚できない」や「結婚には年収300万円の壁がある」などの言われ方もします。確かに、結婚は経済生活ですから、そういう側面は事実としてあります。低年収では結婚できないと考えてしまう若者もいるでしょう。

しかし、だからといって、自分でお金を稼ぐようになってしまうと、男性はそのお金の使い方の自由さを手放したくなくなり、女性は結婚しなくても自分の稼ぎで生きていけると確信し、男女とも結婚する必要性を感じなくなってしまうというのも否定できません。

身も蓋もない言い方ですが、金があろうがなかろうが、結婚の減少は進むのでしょう。

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写真=iStock.com/gilaxia

かつて、女優の樹木希林さんは結婚に対して以下の名言を残しています。

「結婚なんてのは、若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから」

それに乗っかるとするならば

「結婚なんて、金を稼ぐ前にしなきゃダメなの。自分で金を稼ぐようになったら結婚する必要性なんてなくなっちゃうんだから」

とでもいえるでしょうか。

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荒川 和久(あらかわ・かずひさ)
コラムニスト・独身研究家
ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会―「独身大国・日本」の衝撃』(PHP新書)、『結婚しない男たち―増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』(ディスカヴァー携書)など。韓国、台湾などでも翻訳本が出版されている。新著に荒川和久・中野信子『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
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荒川 和久

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