皆さまコンニチハ、旅きのこです。
今日は屋久島旅語り・第6話をお届けします。
クロノスタシスって知ってる?
どうぞ最後までお楽しみ下さい。

屋久島でのメインイベント、往復10時間の縄文杉トレッキング。森での滞在時間が長くなるにつれて、だんだんと森と肌が馴染んできます。
最初はガイドさんの口から「この木はだいたい樹齢1000年くらいですね〜」という言葉を聞く度に、え〜1000年!?と驚いていましたが、進むにつれてそのスケールにも脳が慣れてくる。1000年前がつい先程のような感覚に・・・
時間ってなんなんだろうという疑問すら湧いてきます。
人間社会が捉えている”時間”というのは、宇宙が本来刻んでいる”時”とは似て非なるものなのではないか・・・この森では普段の生活で感じている時間とは全く異なる、時の流れと重なりを体感しました。


木々の表情が、まるで生き物のように見えてきます。私はこれを偶然や目の錯覚では無くて、ある種の生命の法則だと思っています。命を持つものは全て同じ構造に引き寄せられるのではないかと・・・

屋久島固有種の”かえで”

屋久島花崗岩
この花崗岩(かこうがん)は屋久島を語る上で非常に重要な存在です。なぜなら屋久島の大部分が花崗岩でできているから。
海の底でマグマがゆっくりと冷え固まって、約1600万〜1500年前に形成されたと言われています。大きな正長石結晶を含んでいるのが特徴的。写真で長方形の白いブロックのようなものが岩に入っているのがわかりますか?

こんなに大きな結晶ができるのは非常に珍しいため、屋久島花崗岩と呼び分けられているのです。
またこの地質は屋久杉の長寿にも良い影響を及ぼしています。
花崗岩が風化してできる土というのは、栄養が乏しいのだそうです。更に屋久島は1ヶ月で35日雨が降ると言われているほど雨量が多い。その雨が花崗岩の岩肌を洗い流し、栄養のある土壌が堆積しにくいのです。
なのに何故、長寿の大木が!?と思いますよね。
このような貧栄養の環境は杉の成長が遅く、年輪の幅が狭くなり、丈夫で折れにくい木質になる。だから雨風台風にも負けることはなく、長い長い年月をかけて、巨木に育つことができるんだそうです。

貧しく厳しい環境のもとでも、だからこそゆっくりと長い時間をかけて自分を育てる。それが強さと、豊かさをもたらし、更に長い命へと繋がる。
なんと素晴らしい大自然の物語なのでしょう・・・
なんでも急成長、急拡大が良しとされるファスト文化の人間界とは正反対の世界観です。
そう言う私も、過去にセカセカと生き急いでいた時代がありました・・目まぐるしく流行が移り変わるファッション業界に身を置いていた頃。
忙しい毎日を満身創痍で頑張り続けた結果、私はポキッと音を立てて折れてしまったのです。屋久島を訪れた約1ヶ月後のことでした。
まさか自分が折れるなんて・・・

ちなみにですが、花崗岩が風化して砂になることを「マサ化」と言います笑
森でガイドさんがそう説明してくれた後、一瞬訪れたシーンとした空気。
「ここでまさか〜!って言ってくれないと困るよ〜!」とセルフツッコミを入れるガイドさん。
長時間のトレッキングで少し疲れが出始めたツアー参加者の心に、親父ギャグが染み渡る〜!最高の瞬間でした。

今振り返ると、屋久島には不思議なくらい絶妙なタイミングで導かれたなぁと思います。
宇宙の計らいというものがあるならば、こういうことなのか・・・
どんな本を読んでも、誰に相談しても解決しなかった心の渦に対して、何も言葉を発さずその存在だけで何もかもを教えてくれた屋久島の森。
あの頃はまだ、自然とは対極の生き方と時間の使い方をしていたので、余計に森での体感が衝撃的だったのかもしれません。
あまりにファストな日常から、1000年単位のスロウな時が流れる森へ・・・ゆっくりすぎて時が止まっているかのような体感。
それはまるでクロノスタシス・・・
クロノスタシスって知ってる?知らないときみが言う時計の針が止まって見える現象のことだよ
名前ギリシア語の「クロノス(時間)」と「スタシス(持続)」に由来する言葉。速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が、長く続いて見えるという現象。よく知られる例として「時計の針が止まって見える現象」がある。アナログ時計に目を向けると、秒針の動きが示す最初の1秒間がその次の1秒間より長く見えるというもの。
✳︎✳︎今日はここまで✳︎✳︎
次回、巨大な切り株の中へと入っていきます・・
引き続きお楽しみ下さい。
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