「音良い」7インチ好き 矢部のレコード店が5周年〈相模原市中央区〉

「音良い」7インチ好き 矢部のレコード店が5周年〈相模原市中央区〉

  • タウンニュース
  • 更新日:2023/03/21
No image

2万枚のレコードを扱う専門店の店主早川さん。手にするのは「在庫の中で最もレアかな」という浜村美智子さんの7インチ(1957年もの)

今ではすっかり珍しくなった「レコード」を専門に扱う店舗が矢部にある。「7inch早川」(矢部3の20の16)は店名通り、7インチの中古レコードに特化した品揃え故に遠くは京都、山口から足を運ぶ人がいたり海外から買い付けに来たこともあったそう。5周年を迎えるにあたり店主の早川信彦さん(60)にその魅力などを聞いた。

市内在住早川さん

市内出身在住の早川さんは幼い頃からレコードに親しんでいた。小学3年生のときテレビで見たコーラスグループ「鶴岡雅義と東京ロマンチカ」の楽曲に、幼いながら「衝撃を受けた」のがそのきっかけだそう。当時は商業施設の一角に専門店があるなどレコードは身近な存在で、早川さんは小遣いを貯めて好みの楽曲を購入していた。

CD聴かない

一方、1980年代、新しいメディアとしてCDが登場すると、レコードは淘汰されていった。「でも自分は(CDを)聴こうとは思わなかった。いまだに持っていない」。CDに手がのびなかった理由について早川さんは「自分はレコードで育ったから。温かみや深みが違う」ときっぱり。

店舗で7インチを中心に扱うのは、早川さんの「好み」。LP(12インチ)が1分間に33回転するのに対し7インチは45回転。LPに比べ回転が速いことで「同じ時間の中で伝わる情報量が多い。つまり、音が良くなる」と説明する。DJとして活動することもあり、その際の「コンパクトで使い勝手が良い」のも好きな理由の1つだ。店頭在庫は7対3の割合で7インチ。歌謡曲からジャズ、クラシックなどおよそ2万枚を揃えている。

置き場なく開業へ

会社勤めを続ける中で、「いずれは好きなことをやりたい」という気持ちが芽生えていった。気が付くと子どもの頃から集めていたレコードが1万枚以上になり家に「置き場所がなくなった」こともあり、「じゃあ、やろうかな」と思い立ったそう。知人の紹介で矢部の一軒家を借り2018年に開業。2年前、通りに面した場所からおよそ10メートル、「奥に入った」ところに引っ越し。6畳と4畳半の2間を通しで使い、レコードだけでなくVHSビデオ、プレーヤーなども販売している。

文化の継承

かなり「ニッチ」なビジネスで当初は不安な面もあったが、始めてみて大きな気づきがあった。「家で眠っていたレコードを自転車で売りに来てくれる人が少なくない。あと、車で15分程度の距離にいる人がほとんど」。買い手は全国から訪れるが、売り手は意外なことに近隣の人がほとんどだったのだ。「おかげで続けられている」と笑顔。

改めてレコードに惹かれる点について早川さんは「同じ曲でもCDやサブスクリプションでは『違う曲』に聞こえるくらい、音が異なる」と語る。かつて淵野辺・矢部エリアの国道沿いにあったディスクユニオンは多くのレコードを扱い、その文化の継承に貢献していた。偶然だが同じエリアにできた早川さんの店は現在、同じ役割を担っているようでもある。「もっと多くの人に楽しんでもらいたいですね」

25日に記念ライブ

なお開店5周年を祝い3月25日(土)にはメイプルホール(千代田)でトランペット奏者こだま和文さんのバンド=下画像(提供)=を招いてのライブを企画している。

No image

店舗の入り口。看板が目印

No image

VHSコーナー。この日はTHE WHOが流れていた

No image

VHSコーナー。この日はTHE WHOが流れていた

No image

知人がデザインした店舗のシール

タウンニュースさがみはら中央区版

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加