大坂なおみ、苦難の1年経て全豪登場 目標は「コートで楽しむ」

大坂なおみ、苦難の1年経て全豪登場 目標は「コートで楽しむ」

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/01/15
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全豪オープンテニス開幕を前に記者会見する大坂なおみ=メルボルンで2022年1月15日、AP

テニスの4大大会、全豪オープン(17日開幕)で、世界ランキング14位の大坂なおみ(フリー)が再起を懸けて2連覇に挑む。昨年は「うつ状態」を告白して一時休養したほか、東京オリンピックでは自国開催の重圧と闘い、昨秋の全米オープン後は無期限での休養を発表した。曲折の1年を経て、再び大舞台に帰ってきた。

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記者会見、最後まで笑顔で

「間違いなくとてもポジティブな気持ちです」。開幕を2日後に控えた15日、記者会見に臨んだ大坂の表情は明るかった。質問には時折、冗談も交えながら最後まで笑顔で応じた。

大坂は2021年5月の全仏オープンに向けて、精神的な負担を理由にトップ選手に義務づけられている試合後の記者会見を拒否することを表明した。1回戦は勝ったが、会見は拒否。その後、SNS(ネット交流サービス)で初めて4大大会を制した18年の全米オープン以降、うつ状態に苦しんでいることを明かし、大会を棄権した。その後、ツアーの一時休養に入った。

2カ月後、東京五輪で復帰。大会ビジョンの一つである「多様性」を象徴する存在として聖火リレーの最終走者を務めたが、プレーでは本来の実力を発揮できず、3回戦で敗れた。全米オープンでも3回戦で敗れ、「いつ試合に戻ってこられるかわからない」と無期限の休養を宣言。そのままシーズンを終えた。

重圧解消へ日記やアロマ

22年1月、大坂は全豪オープンの前哨戦となる大会で、4カ月ぶりに実戦に臨んだ。復帰戦を勝利で飾ると、会見では復帰への道のりを振り返り、「(休養期間は)正直、思っていたよりも短かった。22年はほとんどプレーできないと思っていた」と打ち明けた。休養期間中、心掛けたのは友人と一緒に過ごし、家族ともよく話をすること。それが「重圧を解消する方法だった」という。

全豪オープンでも自分を見つめようと工夫を凝らす。「今回はこれまでの大会とはアプローチが少し違う」。日記を持参し、毎日自分の気持ちを書くことで客観的に心の動きを見つめたり、アロマキャンドルをともしてリラックスを心掛けたりした。

体も復調してきたようだ。前哨戦はけがと疲労のため準決勝で棄権したが、コートでは本来の姿も垣間見えた。元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんは「休んでいる間も準備しているから、しっかり実力を見せてくれた。ボレーの処理もうまくなり、成長を見せている」と分析する。

ただし、「心の健康」を取り戻すのは簡単なことではない。大坂も「昨年抱いた感情や気持ちについて問われたら、答えは複雑でまだ言えない」と語る。さらにかつてのように年間を通じて戦えるかどうかと言われたら、大坂も「まだ確信を持てない」と認める。それでも、「テニスが好きだという気持ちを少しずつ取り戻していった」と復調の確かな手応えを口にする。

得意の大舞台、新たな姿は

2回の優勝経験を誇る全豪オープンは得意の舞台だが、大坂は勝利ばかりを追い求めた自らの姿勢を見直そうとしている。大坂は「今年の目標は一つだけ」としてこう語った。

「コートに立ったら毎回楽しみ、たとえ負けても全力を尽くしたと思いながらコートを去りたい」

大坂は20年の全米オープンで人種差別に抗議するため、試合ごとに別の黒人犠牲者の名前入りマスクを着けて登場して優勝。新たなロールモデル(模範)としての姿を体現したことは記憶に新しい。全豪オープンでは、アスリートとしてどんな新境地を切り開くのだろうか。【川村咲平】

毎日新聞

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