フリーアナウンサー宇垣美里さんの美容本「宇垣美里のコスメ愛 BEAUTY BOOK」が11月に発売され、発売前に重版が決まるなど話題になっています。

宇垣美里さん
2014年にTBSに入社し、2019年フリーに転身した宇垣さんは、自他共に認める美容マニア。今作は彼女のコスメへの想いをぞんぶんに散りばめた初の美容本となります。
セルフメイクのハウツーや自身の選んだベストコスメ、さらに第一線で活躍するへアメイクアーティストたちによる変身フォトなど、宇垣さん自身を丸ごと見せてくれる1冊。
これを記念して女子SPA!では宇垣さんへインタビュー。あふれるコスメ愛をぞんぶんに語っていただきました。

『宇垣美里のコスメ愛 BEAUTY BOOK』 小学館
◆メイクはそっと背中を押してくれる存在
――いきなりですが、本日のメイクのポイントを教えていただけますか?
今日はメイクさんにしていただいたんですが、今年っぽいワントーンメイクがポイントですね。渋めのカラーが可愛いですよね。色がオシャレだな~思ってます。

――「宇垣美里のコスメ愛 BEAUTY BOOK」でも、人気ヘアメイクアーティストさんたちに様々なメイクを施していただいてるんですよね。どれも全く印象が違っていて、改めてメイクってすごいと感動しました。
そうなんですよ!モデルは間違いなく私一人なんですけど、どのメイクも全然違いますよね。一人の人間がメイクでこんなにも表現や雰囲気を変化させられるって純粋に楽しいと思うので、ぜひこれは実際に見ていただきたいです。

宇垣さんが19体もの違うメイク・衣装で登場(画像:『宇垣美里のコスメ愛』小学館プレスリリースより)
――宇垣さんは以前、インタビューで「メイクは武装である」と語られていましたよね。この考え方は同じ女性としてすごくハッとさせられましたし、納得できました。今も同じ考えでいらっしゃいますか?
はい。やっぱりメイクとは、自分のモチベーションを上げるものであり、鼓舞するものではないかと思っています。一歩お家から外に出て、社会と対峙するときにそっと背中を押してくれる存在かなって。そして、なりたい自分になるために手助けしてくれるものでもあるんじゃないかと。
――では、ご自宅では「今日はこういう私にしよう」と思いながらメイクをされているのですか?
そうです。「今日は女友達と会う」という日には、褒められたいからモード系のめっちゃ攻めたメイクをしたり。「今日は年上の先輩と会う」日や「通したい企画がある」なんて日は、怖くならない程度にしっかりしたメイクにしようとか。
◆大学生になって茶髪にメイクをし始めたら痴漢にあわなくなった

――TPOに合わせているわけですね。では、こういう時にこんなメイクをして成功したという思い出はありますか?
大学生になって茶髪にしてメイクをし始めた時ですかね。その途端に痴漢に遭わなくなったという実体験があります。
――それってまさに、以前ラジオでお話されていた「メイクで威嚇する」「美は剣」に繋がるエピソードじゃないですか。
はい。効いたな!って(笑)。メイクは「ライオンのたてがみ」に近いものなんじゃないかと感じました。
あと、友達の子供と初めて会う時のことも印象深いですね。その子がくまのプーさんが好きって聞いていたので、茶色い服を着たりプーさんのネイルシールを貼っていったりとか色々工夫したんです。そしたらすっごく懐いてくれたんですよ。メイクやファッションの力を感じましたね。
――それは嬉しいですよね。「勝った!」みたいな気分になったのでは?
そうかも。あと、初めてセルフメイクで会った方に「そのメイク、すごくオシャレですね」「そのメイクはどんなアイテムを使ってるんですか?」とか言われるとヨッシャ!って気持ちになります。素直に嬉しいんですよね。
◆入社面接で東京に来たら「私だけぜんぜん違う!」
――逆に「あのメイクは失敗だった」と思う黒歴史はありますか?
黒歴史というか。今、大学の頃や入社したばかりの頃の写真とか見ると「なんじゃこりゃ!」って思いますよ(笑)。
私は大学まで関西在住だったんですが、関西ってメイクが全体的にかなり濃い地域だったんですよね。会社の面接で東京に出てみたら、私だけアイラインがっつりみたいな状態で。「私だけぜんぜん違う!」って、急いでメイクを直しました。
――そこはさすがに、周囲に合わせなきゃという意識が働いたんですね。
入社してからも試行錯誤の日々でした。テレビカメラ越しだと、メイクって見え方がぜんぜん違うんですよ。鏡では自然にツヤのある肌なのに、モニターだとすごくテラテラして見えていたり。テレビからの見え方には気を遣うようになりましたね。
――フリーになってから、局アナ時代とメイクの自由度は変わりましたか?
そうですね。局アナ時代は報道やプレゼンの時に「自分が綺麗に見えるかどうか」ではなく、仕事の邪魔にならないメイクが一番だと思っていました。その反動でプライベートでは凄く派手だった気がします。ピンクのつけまつげをしてたり。超攻め攻めでしたね。あれはあれで楽しんでいたので黒歴史では全くないんですが。

――では、今は仕事でもプライベートでもあまりメイクは変わらないのでしょうか?
局アナ時代はセルフでのメイクだったのですが、今はメイクさんがついてくださるのでちょっと違っているとは思います。でも仕事内容が以前と変わった分、フラストレーションはありませんし、今のプライベートでは本当の意味で自分のしたいメイクを楽しんでる感じがしますね。
◆モテメイクで釣れるような男性にウケても…
――メイクやファッションで「男ウケは狙っていない」とのことですが、異性の目は本当に全く気にしてないのですか?
それで釣れるような男性にウケても……って思ってます(笑)
――ズバっと斬りましたね(笑)。でも、メイクって大抵の女性の場合は男ウケがゴールのような風潮がありますけど。そういうスタイルでメイクをする女性についてはどう思われますか?
その姿勢が良いなって思います。だって自分じゃなくて他の人に可愛いと思われたいってことでしょう?そうやってする努力って素敵じゃないですか。
――意外にも肯定的なのですね!男ウケについては、それはそれでいいと。
友達にそういうのがすごく得意な女の子がいるんです。「これが男にはウケるんだ!」って道を貫いてるタイプ。私はそれを見ていて、好きな人に好きって言ってもらいたいという気持ちがとても愛おしく感じるんですよ。私は同じことはしませんけど「可愛いな」って思ってます。

◆アンプリチュードのカラーアイライナーがお気に入り
――今、一番好きなメイクやブランドがあれば教えてもらえますか?
わりと国内ブランドのものが好きですね。ドラスティックというか、ニュアンスがあるというか、絶妙な色合いが好みなんです。
ディオールやシャネルのような海外ブランドもバーンって気分が上がるので当然好きなんですが。つまりコスメに関してはぜ~んぶ好き(笑)。
――結果「全部」という答えになりましたね(笑)。では、その中で敢えて最近の推しアイテムをひとつ挙げるとしたら?
アンプリチュードのカラーアイライナーかな。色のバリエーションがたくさんあって、それがすごく可愛いんです。肌に馴染みやすくてオシャレ。緑を使ったりブルーを使ったり、その時々でカラーを変えて楽しんでます。
――色展開しているものは、同じアイテムでもたくさん買ってしまう方ですか?
そうですね。リップやマスカラ、アイライナーはつい色んな色を買ってしまいます。あとは季節ごとにとか、特に12月ならクリスマスコフレもそれはそれで欲しくなるし……。本でもそうなんですが、私は根本的に収集癖があるんですよね。

宇垣さんのお気に入りアイテムを著書ではたくさん紹介(画像:『宇垣美里のコスメ愛』小学館プレスリリースより)
◆カードの明細は見ないようにしてます
――ぶっちゃけた話、自腹で月にどれくらい買ってるんですか?
カードの明細は見ないようにしてます(笑)。でも、良いと思ったものを値段が高いから買わないってことはないですね。最悪、塩舐めて生きりゃいいじゃんって。食費とか、他のとこで切り詰めればいいかなって考えです。
――本当にコスメが好き、というか、これぞマニアの感覚ですよ(笑)。では、「こういうアイテムは使わない」とか「こういうメイクは嫌い」はありますか?
それ、メイクさんにも聞かれることがありますけど、正直言って「ないで~す!」(笑)。私はメイクそのものが好きだし、自分ではしないメイクをしてもらうことは楽しいと思う方です。

――なるほど。「このメイクが絶対」みたいなこだわりも逆に言えばないわけですね。
ないですね。全部が楽しいです。おそらく、もともと私には変身願望があるんだと思います。セルフメイクも「へ~んしん」って頭の中で唱えながらやってます。
――魔法少女みたいな(笑)。宇垣さんにとっては、コスメのひとつひとつが変身アイテムといえるのですね。
あと「これが宇垣美里」とか、むしろ思われたくない。「宇垣さんってこうだよね」なんて断定的に言われると真逆のことがしたくなっちゃう。天邪鬼(あまのじゃく)なところがあるんです。
◆局アナ時代も紫や緑のマスカラでニュース読んでました
――だからこそ、さまざまなメイクにチャレンジできるんですね。メイクテクニックはどういう風にアップデートしているんですか?
昔はアナウンサーの先輩を見て勉強してました。今はメイクさんにメイクしていただくメイクの様子をガン見して研究してます。「ここにこれ入れたんですか?」「ここどうするんですか?」とか質問攻めをしすぎて「見ないで~!」と言われたり(笑)

宇垣さん愛用アイテムを使用してのメイクのプロセスHow toも(画像:『宇垣美里のコスメ愛』小学館プレスリリースより)
――そこまでやれるなら、自分が周りにメイク方法を教えたりしたくなりません?
それぞれにメイクの仕方はあるから、そこに言及することはないんですよね。ただ、教えることはありませんが、布教はします。「このアイテム、いいよ!」とか。
――でも別にメイクの教祖になりたいわけではない、と。
はい。私って教祖というか、情報屋なんですよ(笑)
――それは言えてますね。では、情報屋さんとしての宇垣さんにひとつ質問です。仕事や家庭の事情であまり自由にメイクができない、する勇気がないという女性に宇垣さんからオススメできるアイテムはありますか?
それなら、カラーマスカラですね。カラーマスカラって今、いいものがすごく出ていて。発色が凄いものもあるんですが、パッと見だと色がついているのかわからないものも多いんです。
例えば、普通のブラウンなのに光に当てるとボルドーだったり緑だったり。これなら仕事にもしていきやすいですし、それでいて節目がちになった時に「あっ、そんなマスカラしてたんだ」ってなりますよ。そういうさりげなさが一番オシャレな気がするし、トライしやすいのかなと思います。

――宇垣さんも使ったことはありますか?
もちろんです。局アナ時代も紫や緑のマスカラでニュース読んでました(笑)。でも、怒られたことがないですし気づかれていない。だから「私、実はすごい色のマスカラを使ってるんだぞ」って思うだけでもテンションがぜんぜん変わるのでオススメします!
◆ 一人の人間がこんなに百面相できるんだ
――では、最後にこのインタビューを読んでいる方にメッセージをお願いします。
今回発売になった「宇垣美里のコスメ愛 BEAUTY BOOK」、メイクが好きな人はぜひ参考にしていただければと思います。メイクが得意じゃなかったり興味がない人も、一人の人間がこんなに百面相できるんだってことを面白がってくれたらいいですね。
メイクのこと以外にも、好きな本や映画についても書いてあるので、私をまるごと知っていただける内容になっています。ぜひお手にとってみてください!
――ありがとうございました!

<宇垣美里 文/もちづき千代子 写真/我妻慶一>
【宇垣美里】
’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。