
7回、ルイス・グスマン(手前)からダウンを奪う那須川天心(撮影・伊藤笙子)
「ボクシング・8回戦」(18日、有明アリーナ)
那須川天心(25)=帝拳=はルイス・グスマン(27)=メキシコ=との8回戦で初KOこそならなかったが、3-0の判定でデビューから2連勝を飾った。
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天心を密着指導する元世界2階級制覇王者の粟生隆寛トレーナーがデイリースポーツの取材に応じ、神童の強さの秘けつについて、極度の“ビビり”でありながら鋼のメンタルも持ち合わせる特殊な性格が影響していると明かした。
全勝のキックボクシング時代から決定的なパンチを受けずに勝ち上がってきたが、その素顔は「まあ、ビビりです」。練習の休憩中、粟生氏が驚かせようと物陰に隠れ大声で飛び出すと、オーバーアクションで逃げ回るという。「臆病というか、ただ、そういう面がボクシングに生きているところがあって、危険なにおいは瞬時に感じてるんです」と“臆病=危険回避能力の高さ”と分析する。
デビュー戦では経験十分の与那覇勇気にほとんどパンチを浴びなかった。練習スパーでも決定的なパンチを浴びることはほとんどない。「相手がどう動くかの察知力に優れ、格闘技、ボクシングを戦うためのIQが非常に高い」。臆病な性格が天心の格闘家としての能力を引き出しているのかもしれない。
お化け屋敷が大の苦手な天心だが、SNS上での誹謗(ひぼう)中傷には全く動じない。デビュー戦後「KOできなかった」などの書き込みもあったが「なんとも思ってない。『言わせとけばいいんです』と笑ってました。そういう部分もすごく大事」。世界の頂点を知る粟生氏は、深くうなずいた。