
ピザ店従業員
「きょうはすごい忙しい。たくさん来ていただいている」
12日の日曜日、施設は人であふれていました。
北海道千歳市の道の駅「サーモンパーク千歳」。
今年度でテナント契約が切れる飲食店などが、営業を終えるよう告げられている「最後の日」です。
利用者
「残念ですね。(千歳市は)もう少しうまく解決できなかったのかな」
中華料理店オーナー
「本当にお客さんに感謝しております。涙が出るくらいうれしいし、温かい言葉もかけてくれる」
立ち退きを求められているテナントの苦渋の決断を、もうひとホリします。
ゴークーを運営するホッコーフーズ 河村美幸 代表取締役
「女性が作る中華は『優しい中華なのよね』と」
テナントの一つ、「ゴークー」は、札幌の名店「布袋のザンギ」を食べられる人気の中華店。
18人のスタッフが働いています。
ゴークー 本宮有香子 店長
「店が営業できなくなるだけではなく、そのあとの従業員も(再就職が)大変じゃないかと思う。千歳市が千歳市民を思っていれば、こういうことはできないのでは」
千歳市は、道の駅の運営を、民間企業の指定管理者に委託しています。
今の指定管理者、シダックスグループとの8年契約は今月末まで。
シダックスとテナント9店との契約も、今月末が期限です。
来月からの指定管理者は別の企業に変わることが、去年11月に決まりましたが、この時点でシダックスはテナントにこう説明していました。
ゴークーを運営するホッコーフーズ 河村美幸 代表取締役
「『皆さんは次の指定管理の下で契約していただくのに、シダックスとしては引き継ぎをやりますので、新しい指定管理さんと契約してください』と。私たちも次の指定管理者と契約できるものだとばかり思っていた」
しかし、新たな指定管理者の企業は、道の駅に直営店を入れ、テナントとは契約しない計画でした。
テナント側が、再契約ができず、今月中に退去しなくてはならないと知ったのは、1月末でした。
店長をはじめ、子どもを預けて働く母親が多いゴークー。
この先の不安に直面しています。
ゴークー 本宮有香子 店長
「学童保育は求職中だと2週間くらいで切られてしまうので、預け先が無くなると、(次の就職先が)採用してもらえない連鎖が出る」
千歳市議会では、この問題について市議が質問し、「市は知らぬ存ぜぬ」で済ませるべきではないと迫りました。
共産党 吉谷徹 市議
「(テナントの)別の場所への移転や移設、同敷地内での別形態での営業を含め、市内に残ってもらい、営業できるようにする手立ては取らなかったのか」
千歳市 山口幸太郎 市長
「サーモンパークの敷地をはじめ、市の行政財産等を公募等の手続きを経ないで、特定の利用者に貸し付けることは、公平公正の観点から今回の件では考えていない」
議会が開かれていた頃、道の駅は様変わりしていました。
地元の牧場が経営するソフトクリームの店など3店が前日の日曜日で閉店し、設備などを撤去する作業が始まりました。
営業を続けるテナントは、ゴークーのほか、ピザ店と野菜直売所の3店だけとなりました。
店のすぐ隣で進む、テナント撤退の工事。
ギリギリまで営業を続け、従業員を守りたいと考えていた河村さんですが、変わっていく道の駅の姿に心が揺らぎました。
ゴークーを運営するホッコーフーズ 河村美幸 代表取締役
「19日で閉店しようと思います。どこに店を出すなど、何も決定していないが、とりあえず店を閉め、ゆっくり考えたい」
まさに苦渋の決断。
19日日曜日の営業を最後に、店を閉めることを決めました。
さらに、ピザ店も同じ日に閉店することを先ほど決め、野菜直売所も足並みをそろえる方向だということです。
これで、すべてのテナントが退去することになります。
ゴークーを運営するホッコーフーズ 河村美幸 代表取締役
「千歳市もシダックスだけに責任を負わせるのではなく、自分たち(千歳市)の責任も少し考えていただきたい」
かつて「家族で訪れたい道の駅ナンバーワン」にも輝いたサーモンパーク千歳。この週末に大きな節目を迎えます。
3月17日(金)「今日ドキッ!」午前6時台で放送
HBC北海道放送