日本のコロナ対策は最初から間違っていた...「最大の問題」はこれだ!

日本のコロナ対策は最初から間違っていた...「最大の問題」はこれだ!

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/09/18
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コロナ時代、大転換を迎える日本・東京はどう動くべきなのか? ジャーナリスト田原総一朗氏と元厚生労働大臣・元東京都知事の舛添要一氏が大激論!(構成:本郷明美/写真:林直幸)

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田原総一朗氏と舛添要一氏

「最初からボタンを掛け違えていた」

田原 新型コロナウイルス問題は、日本、いや世界にとって「戦後最大の大事件」と言ってもいいと思います。今日は、厚生労働大臣や東京都知事を歴任された舛添さんに、日本が今後どうすべきかとことん聞きたい。

安倍首相(当時)は、5月29日に緊急事態宣言を解除しました。しかし、7、8月と、解除前より感染者がはるかに多い。この現状を、舛添さんはどう見てらっしゃいますか?

舛添 最初からボタンを掛け違えていたことが、現在の「第二波」につながっていると考えています。

田原 日本は、どうボタンを掛け違えたんですか?

舛添 一つは、情報公開をきちんとしていなかったということです。

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田原 2月に設置された、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議専門家会議が記録を取っていない、ということが明らかになりましたね。

舛添 ええ。感染症管理の大原則は情報公開なのに、それがまったくできていないんです。そして、「最大の問題」は検査数が全然足りていないことです。

感染症の実態がどうであるかは、まず検査をしないとわかりません。検査をして、感染した人を隔離する。検査と隔離は、ペストが流行した時代から基本中の基本です。

中世にペストの封じ込めに成功したケースというのは、やはり完全に街を閉鎖していますね。検査と隔離という大原則は中世から変わっていないのに、日本はそもそも検査をしっかりやっていない。

田原 今は多少増えましたけど、5月の時点では、韓国の50分の1、ドイツの17分の1です。なんでこんなに少ないんだ、と。厚労省の許可がないとPCR検査できなかったんですよね。

舛添 そうです。今でも事実上変わっていません。PCR検査が感染研の委託業務となっている。つまり、PCR検査が「感染研」の独占体制なんです。

田原 「感染研」とは、国立感染症研究所のことですね。厚労省の管轄だ。

舛添 はい。感染研の源流は、陸軍軍医学校。大日本帝国陸軍で、生物化学兵器を研究する部署ですから、徹底した情報隠蔽体質ですよ。それが今もなお続いている。

そのうえ感染症というのは、医学部の中であまり人気がない分野なんです。私は東大医学部で10年間教えてきましたが、優秀な学生はなかなか感染症分野には進みません。

優秀ではないが、権力を持つ人たち

田原 どうして優秀な医学部生は感染症に興味をもたないの? 感染症はもう終わったと思ってるんですか?

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舛添 終わったというわけではないんですが、やはり心臓外科、循環器系、ガンの最新治療などが花形なんですね。だから感染症分野に優秀な人が少ない。それは、厚労省の技官も同じです。はっきりいえば、東大を出て研究をしようという人は、厚労省の役人なんかになりません。

また第二次安倍内閣で、「民主党政権に協力した」といって、次官候補だったような優秀な官僚がみんな飛ばされてしまっています。

田原 官僚なんだからその時代の政権のために働くのは当たり前だ。むちゃくちゃですね。

舛添 はい、ひどいです。だから厚労省には優秀な官僚がほんとうにいなくなった。

田原 なるほど、厚労省、感染研に優秀な人材がいない。

舛添 コンプレックスだらけの人ほど、権力志向が強くなる。感染研の研究者も、厚労省の技官も、自分たちより優秀だった人たちに対してコンプレックスがあります。たとえば、もし厚労省の医政局長になったら、かつて自分を見下した東大出の優秀な医師が医学部長になることを阻止できる。リベンジを果たせるんです。

田原 優秀ではないが、権力を持っている。

舛添 はい。それが厚労省の医系技官、薬系技官です。一方、感染研の研究者には、権力はありません。しかし、情報の独占をすることによって力を発揮できます。

田原 そうか、それでPCR検査が感染研の独占体制になってしまっていると。

なぜPCR検査は増えないのか?

舛添 厚労省、つまり保健所が「田原さん、濃厚接触者なので検査しましょう」となると無料です。しかし、自費で受けようとすると4万円もかかる。無料か4万円——この2つしかないのはおかしいから保険適用しようということで、3月6日に決まりました。PCR検査の原価は1万8千円くらい。保険適用すれば自己負担5、6千円で受けられます。

田原 それならがんがん検査すればいいのに、なんで増えないの?

舛添 増えないのは、相変わらず感染研の委託業務というかたちをとっているからです。

田原 どういうこと?

舛添 私たちがインフルエンザにかかったかなと思ったら、病院で検査をして、陽性であれば「はい、タミフル」となりますね。新型コロナの場合には、その病院が感染研から委託業務を受けていないと検査できないんです。

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田原 たとえば、5月に京大の山中伸弥教授が、安倍前首相と対談したとき、「京大にPCR検査の機械はいっぱいある。検査できますよ」と言いましたね。

舛添 東大にもあります。

田原 そう。東大や京大といった大学、あるいは民間の研究機関などでPCR検査をすれば、検査数がぐんと増えます。

舛添 設備はあるし、検査はできるんですが、「委託」というネックがあるわけです。全部準備して、感染研の支部として検査をするという書類を作って、印鑑を押して戻ってくるのに1ヵ月かかるんです。

田原 1ヵ月も?

舛添 そんな体制ですから、検査数が増えていないんです。感染研の「お墨付き」なしで、東大、京大、民間の研究所などが検査をし始めたとしましょう。情報は拡散し、感染研が情報独占という体制ではなくなり、権力を失ってしまうんです。感染研に聞かないとわからない、検査できないという体制を守りたいのです。

「無症状」という困難

田原 しかし、今は感染研の許可がなくても検査できるんでしょう?

舛添 はい、ただし自費になります。4万円出せばできますが、それでは私も行きません。けれど、保険が適用されて5、6千円なら受けたいと思う。3月6日に保険適用されることになったと思ったらそうじゃなかった。相変わらず「委託業務」というかたちでブレーキをかける。それが彼らのやり方なんです。

田原 東京都医師会の尾崎治夫会長も、安倍内閣の政策を批判し、「日本全体が感染の火だるまに陥る」と訴えています。

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舛添 私は尾崎会長を存じ上げていますが、東京都の医師会として「こりゃたまらん」となったのでしょう。そしてもう一つの問題は、こうした政策を、国会で審議できるかたちではなく、すべて「通知行政」でやっていることなんです。

田原 「通知行政」とは、どういうこと?

舛添 感染症対策については、厚労省健康局結核感染症課という部署が担当しています。その結核感染症課長という担当課長の名前で、病院や保健所に通知を出す。すると、それは厚労大臣にも、国会議員の目にも触れません。当然、その政策は論議も評価もされないわけです。しかし、その通知に病院や保健所すべて従うしかありません。

田原 しかも、日本の感染症対策は、130年も前に制定された法律のもとで行われているんですよね。

舛添 時々は変わっていまして、私が厚労大臣のときも変えています。論点は、新型コロナウイルスについて、現在の法律のどこを変えなくてはならないか、ということなんです。

私はSARS、MERS、新型インフルエンザと対策してきましたが、これはらすべて症状が出るんです。症状が出ているから、感染している人を避けられる。

ところが、今回の新型コロナウイルスは、東京で感染した若者たちの4分の1は無症状です。天理大学のラグビー部でクラスターが発生しましたが、彼らもみんな無症状なのです。

田原 症状がないから、練習もする、試合までしていた。

舛添 そこで何が起こっているのか。無症状でふつうに日常を送る感染者によって、新型コロナウイルスはこんなにも広まってしまっているのです。ですから、検査をして無症状の感染者をつかまえるしかない。

SARS、MERS、新型インフルエンザと、いままではすべて症状が出る感染症でしたから、「症状が出たら検査をする」という感染症対策法になっている。

今回のように、症状がない、あるいは症状が出たとしても2週間も潜伏期間があるためどんどん広まるウイルスに応じて、法律をすぐ変えなければなりません。

だから私は、国会を開いてすぐに法律を変えるべき、と言っているのですが、まったく国は動きません。

(つづきはこちら:日本が新型インフルは抑えた一方で、コロナには苦戦する「これだけの理由」)

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