Question
スミス=ロウの動きからアーセナルはどう崩したか?
◆【動画】プレミアリーグ アーセナルvsレスター ハイライト (オーバメヤンの先制点は0分24秒〜57秒)
ミケル・アルテタ体制2年目となった今季のアーセナルは、一時公式戦4試合で勝ち星なし(そのうち3敗)と不振にあえいでいた。そして迎えた第15節、チェルシーとのビッグロンドンダービーで、アルテタは若手起用に舵を切った。
その起用に応えたのがエミル・スミス=ロウだ。それまでアーセナルの攻撃が停滞気味だったところ、トップ下のスミス=ロウが巧みにボールを引き出し、リズムを生み出した。チェルシーに3-1で快勝すると、それをきっかけに公式戦4連勝と波に乗った。
しかし、2月に入って連敗。第24節は直近4試合で3勝と好調のリーズと対戦した。この試合をアーセナルは4-2で勝利し、悪い流れを断ち切ることに成功した。そのゴールラッシュのきっかけを演出したのも、スミス=ロウだった。

左前から斜めに下りてきたスミス=ロウ。ここからアーセナルはどう崩したか
前半13分のプレーだ。センターバックのガブリエウが持ち上がり、ハーフウェイラインを越えようというタイミングで、前方左サイドのスミス=ロウがボールを受けに下りてきた。
次の瞬間、アーセナルはどのようにしてリーズの守備を崩したか?
◆超先鋭的。アーセナルのアルテタ監督の難解な戦術を読み解いてみた>>
Answer
サイドバックを釣り出し、スペースに走り込んだオーバメヤンが突破
左サイドにポジションを取ったスミス=ロウが、斜めに下りて相手のライン間に入り、ガブリエウからの縦パスを呼び込んだところで、アーセナルの攻撃のスイッチが入った。

スミス=ロウが空けたサイドのスペースにオーバメヤンが入り、そこにボールを入れる。エースが得意のカットインシュートを決めた
リーズの守備は、マンツーマンが原則だ。この時もスミス=ロウの動き出しに右サイドバックのジェイミー・シャクルトンはピタリとついていった。これにより、サイドにスペースが生まれた。
同じタイミングで裏に動き出していたピエール=エメリク・オーバメヤンは、すぐに空いたスペースにポジションを取る。ガブリエウのパスをスミス=ロウがグラニト・ジャカに落とすと、それをワンタッチでオーバメヤンの足元へ。
これが描いた絵だったのだろう。オーバメヤンは前を向いてボールをキープ。対応するリーズのルーク・アイリングは、中央を空けられず深追いできなかった。
すると最も得意とする形ができあがっていた。オーバメヤンはドリブルでペナルティーエリアに入ると、鋭いシザーズをかけてカットイン。すかさずアイリングとリアム・クーパーの間を抜くシュートでフィニッシュ。
スミス=ロウがボールを引き出し、スペースを空け、エースに最高の形をプレゼントした。この得点を皮切りに、オーバメヤンはアーセナルでの初のハットトリックを記録。連敗脱出だけでなく、エースに復調のきっかけをつくるシーンとなった。
篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko