
逆転優勝した青木瀬令奈(中央)。馬場(左)らにフラワーシャワーで祝福された=鹿児島高牧CC(撮影・中島信生)
Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント最終日(19日、鹿児島高牧CC=6419ヤード、パー72)トップに4打差の2位から出た青木瀬令奈(30)=リシャール・ミル=が8バーディー、ボギーなしの64で回り、通算17アンダーで優勝した。残り13ホールで首位に8打差をつけられていたが大逆転。娯楽を断ち、ゴルフに全てをささげた〝侍女子プロ〟が、ツアー通算4勝目を挙げた。単独首位で出た上田桃子(36)=ZOZO=は74と崩れ、通算11アンダーの3位。アマチュアの馬場咲希(17)=代々木高=は16位だった。
奇跡の大逆転だ。青木が最大8打差をひっくり返して優勝。自信に満ちた表情で歓声に応えた。

パーパットを沈め大逆転で優勝した青木瀬令奈(撮影・中島信生)
「3戦目で優勝できてホッとしています」
前日に鹿児島神宮で必勝祈願し、首位の上田に4打差から出た。しかし上田は5番まですべてバーディーのロケット発進で差は8打に拡大。勝負は決したかに見えたが、青木の思いは違った。
「後半に伸ばせばチャンスはあると、あきらめずにやった」。5、6、8、10、12番とバーディーを重ね、1打差に接近。一方で上田は乱れ、13番(パー5)で11番に続くダブルボギー。ここで青木は2メートルを決めるバーディーで、一気に逆転した。15、16番も伸ばし、勝ち切った。
史上15人目の3日間ボギーなし。通算17アンダーは大会記録だ。この日のパット数は22で全体トップ。開幕から芝の種類や感覚に合わせて、大会ごとにパターを変更。今回はセンターシャフトのパターが大活躍した。
口癖は「最大の敵は自分自身」。さらに「好きなことを我慢して苦しい選択をした方がゴルフのためになる」と言い、大西翔太コーチが「武士みたい」と表現するストイックな生活を送る。大好きな宝塚歌劇団の観劇は封印。ネイルサロンにも行かない。それどころか最近2年間は美容室に行かず、髪は自分で切っているという。
厳しい〝禁欲生活〟で勝利を目指す理由に、同い年の親友の存在があった。ツアー通算13勝を誇りながら、近年不振で昨季終了後に休養を発表した成田美寿々だ。元気づけたい一心で、踏ん張ってきた。「私の優勝や頑張りで、彼女がまた頑張ろうと思ってくれたらいいな」と涙ながらに語った青木。〝侍女子プロ〟が、これからも心を燃やし続ける。(高橋朝香)