【日本ラグビーを支えるスペシャリスト】名将達の財産を継ぐ次世代指導者。サンウルブズの佐々木隆道FWコーチ

【日本ラグビーを支えるスペシャリスト】名将達の財産を継ぐ次世代指導者。サンウルブズの佐々木隆道FWコーチ

  • J SPORTS|コラム(ラグビー)
  • 更新日:2021/06/10

名将達の薫陶を受け、日本ラグビーの王道を歩む次世代のコーチだ。

FL/NO8として日本代表13キャップを重ねた2007年ワールドカップ日本代表、佐々木隆道。

大阪府出身の37歳は日野で現役引退後、キヤノンのFWコーチに就任し、トップリーグ2021でチームの8強進出に貢献。コーチ1年目のシーズンを終えた。

大阪・啓光学園(現常翔啓光学園)では記虎敏和監督に出会い、主将として高校日本一に。

早稲田大学では清宮克幸監督のもと、トヨタ自動車さえも破る最強時代のカリスマ主将として君臨した。

サントリー、日本代表ではエディー・ジョーンズ元HC(ヘッドコーチ)の指導を受け、現在はキヤノン沢木敬介監督のもとで働く。

名指導者たちの指導を受けてきた佐々木コーチは、再結成したサンウルブズにFWコーチとして参加。

6月12日、静岡・エコパスタジアムで日本代表(JAPAN XV)と一戦に挑む。

名将達の財産を受け継ぐ次世代コーチに、激動の2021シーズン、日本代表戦への意気込みを訊いた。

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──再結成したサンウルブズにFWコーチとして参加しています。

毎日がすごく新鮮です。直弥さん(大久保/ヘッドコーチ/元サントリー)ともご一緒させてもらい、大久保さんの良さをあらためて感じています。

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──サンウルブズでの担当領域は?

メインではラインアウトのアタックです。キヤノン同様、チームアタックではフォワードのブレイクダウンなどをやっています。ただ基本的に選手のリーダー達が上手くまとめてくれているので、自分が、という感じではないですね。

──6月12日(土)の静岡・エコパスタジアムでどんな試合を見せたいですか?

やるからには勝ちたいです。サンウルブズに来てくれて戦うメンバーは、これからインターナショナルの世界にどんどん送り込んでいきたい選手たちです。

この試合でジェイミー(・ジョセフ日本代表HC)にアピールをしてもらい、チャンスを掴んでほしい。そのために僕らがいます。

──まずは日野で現役選手を引退後、キヤノンのコーチに就任した経緯を教えてください。

日野で自分の置かれた状況が変わった時、ひとつの選択肢として、これまでと違うところでコーチキャリアをスタートしても良いのではと考えました。

最初は絶対に誰かから学ばなければならないと思って、昔から信頼している敬介さん(沢木/キヤノン監督)に自分から連絡し「今年で引退しようと思います」「もし出来るのであれば参加したい」とお願いしました。信頼している人と仕事がしたい、キヤノンで学びたいと思ったからです。

──コーチ業を始めて生活は変わりましたか?

選手時代は、自分の身体とパフォーマンスのことだけをやっていればよかったんですが、コーチは朝5時に起きて6時にはクラブハウスに入ります。同じラグビーですけど、選手とコーチは全く別物です。

最初はコーチングも結構できてしまうんではないかと思っていたんですけど、まったくそんなことはなかった。本当にイチから勉強をし直しました。

──キヤノンではどの分野を担当していたのですか?

ラインアウトのアタックとディフェンス、アタックのブレイクダウン、アタックの中のフォワードのシェイプ。最後はディフェンスも少しサポートさせてもらいました。

──トップリーグ2021でキヤノンは開幕3連敗から4連勝。ドラマチックな展開でベスト8を達成しました。

神戸製鋼に大敗して(第2節/10-73)、そこからみんな変わろうとしてスイッチが入ったと思います。次の試合(第3節)はパナソニックに0-47で負けるんですが、その負け方が全然違いました。

そこに僕らは少しの変化を感じていて、チームが良くなるのではと思いましたが、その次の試合(第4節)でヤマハ発動機に勝って勢いに乗っていきましたね。大きな変化があったのは神戸製鋼戦、パナソニック戦でした。

──サントリーの元チームメイトでもある沢木監督の指導で、印象的だった言動は?

僕が最初に言われたことは「ただ優しいだけのコーチングは選手の成長に影響しない」「愛情を持って厳しいことを言い、その結果選手が成長すればそれでいいのではないか」ということです。

コーチも自信がなければ厳しいことを言えないですよね。その点はすごく印象的でした。

──2006年に早大からサントリーに入団した時、沢木さんは現役のSO/CTBでした。

激しくて厳しい人でした。フィールド上では、タックルのサポートに来た相手選手も一緒に倒してしまうくらいの凄いタックラーでした。

オフ・フィールドでは、若手選手で飲みに連れて行ってもらったりしましたね。一緒にカラオケに行ったりした思い出があります。

──佐々木コーチだからこそ知っている、沢木さんの“柔らかい一面”は?

いやいや、敬介さんは一見怖いんですけど、根はめちゃくちゃ優しい人なんです。こんなことを言ったら営業妨害かもしれませんが(笑)。

サントリーから日野に移籍する時も、背中を押してもらいました。本当は優しい人だということを知りつつ、厳しい部分を楽しんでもらえたらと思います(笑)。

──影響を受けた指導者はどなたでしょうか?

それはもう皆さんですね。

高校の記虎監督には「ラグビーの楽しさ」。清宮さんには「リーダーシップ」や「人を惹きつける」という部分。エディーさんからは「厳しさ」「準備の大切さ」。

そして沢木さんからは、日本人コーチとしてどう成長していくかを高いスタンダードを見せてもらっています。今回参加しているサンウルブズでも大久保さん(直弥HC)から、スタンダード高くシンプルなことをやりきる部分を勉強させてもらっています。

──本当に日本ラグビーの財産と言えるような方々ばかりですね。

僕はむちゃくちゃラッキーだと思います。皆さんから受けた指導について、自分の中で溜めておく意識もないので、僕の経験をいろんな人に伝えられたらいいなと思っています。

──今季、キヤノンの新任コーチとしてトップリーグを経験しましたが、嬉しかった選手の言葉は?

引退していく選手たちが「僕とやれて良かった」「僕と出会って自分の強みを知ることができて、また自信を持つことができた」という言葉をもらった時に、指導者冥利に尽きるなと思いました。

──改めてコーチ業に魅力を感じましたか?

僕のコーチングの哲学は「学び続ける」ことで、そこ一番大事にしています。興味がなければこの仕事は続きませんし、僕にとっては夢中になれることです。

これからも変わらず学び続けたいですね。自分の未来にもワクワクしていますし、今いる選手達と時間を過ごせることにもワクワクしています。

──キヤノンは2021年度日本代表に4選手を送り出しています。まずフォワードの2選手はHO庭井祐輔(追加招集)、NO8アマナキ・レレイ・マフィですね。

庭井の良さは、まずはセットプレー。後はディフェンスですね。そこを日本代表でも存分に活かしてやってほしいです。

──NO8アマナキ・レレイ・マフィはシーズン途中の加入でした。

本当に素晴らしいプレイヤーで、チームにエナジーを与えてくれました。インターナショナルな選手で、高いスタンダードみんなに示してくれて、コーチとしては助かります。

チームの選手達は、彼が途中から入ってきても、すぐに仲間として受け入れて、自然にみんなの輪の中に入っていきました。そういう雰囲気をチームとして持っているキヤノンは素晴らしいなと思います。

──SH荒井康植(こうき)、キャプテンを務めたSO田村優についてはいかがですか?

康植(荒井)は沢木さんと出会って、判断の質、クイックネスなどすべてのスキルがもう一段レベルが上がりました。そこを評価されて今回選ばれたと思いますし、チームとしても嬉しいことです。

優(田村)はすべてのスタンダードが高い。ディフェンスもしっかりできますし、スキルのレベルも高い。やっぱり日本で一番ですね。

文:多羅 正崇

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