TKO木本、“善意”の返金で贈与税が発生?若手芸人を狙う投資詐欺問題

TKO木本、“善意”の返金で贈与税が発生?若手芸人を狙う投資詐欺問題

  • Business Journal
  • 更新日:2022/08/06
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「TKO木本武宏のキモトゥーブ」より

元国税職員、さんきゅう倉田です。好きな投資は「積立NISA」です。

少し前から、お笑い芸人・木本武宏(TKO)さんの投資トラブルが話題になっています。木本さんは、自らが勧誘した方に対してお金を返すという意思表示をしました(報道によれば、すでにお金を返している可能性もあります)。そして、この行為が贈与に当たるのではないかと、専門家から指摘が出ています。

Twitterやネットニュースなどで「贈与になる」と知っても、なぜ贈与になるのかわからなかった方が大半かと思います。

「お金を返す」「弁済する」と表現されていますが、木本さんが実際にお金を借りていたわけではありません。お金を出した方々は、木本さんから投資の話を聞き、木本さんの仲介を受けて、“投資家”にお金を渡しました。ちなみに、ここでは便宜的に「投資家」と表現しますが、金融商品取引法で定められている事業者としての登録を行っていなかったそうです。

だから、仲介を行った木本さんは出資金を受け取っていないし、預かってもいない。お金をもらってもいないし、借りてもいない。だから、お金を返すべき当事者ではないように思います。

ただ、ご本人が責任を感じ、返金する旨の意思表示をしたことで、「贈与に当たるのではないか、それならば贈与税がかかるのではないか」と取り沙汰されているのです。

借りたお金を返すわけでなく、知人が投資で損をしたから(詐欺である可能性もありますが)、その損をした分のお金を渡す。つまり、お金をあげているに等しい。

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。お金やモノをもらえば、贈与税がかかります。だから、今回のような方法でお金を返せば、受け取った側は贈与税がかかり、贈与税の申告が必要であると指摘されています。

投資の損失は自己責任です。投資した方々は、そのことを理解していたと思います。それでも木本さんは仲介者として責任を感じ、返金するという。それほどまでに自分の行為に対して責任を感じる方なので、周囲の人々からの信頼が厚く、出資する方も多かったのかもしれません。

もし受け渡しが現金であったなら

どのような形でお金の授受が行われたのかは定かではありませんが、仮に現金での受け渡しだった場合、詐欺の可能性が高いように思います。

高額な取引において、現金を用いることはまずありません。出金や持ち運びにリスクがあるし、合理的な理由がないからです。もし、出資の際に現金を指定されたのなら、現金でなければ都合が悪い“なんらかの理由”があります。

例えば、取引をした記録を残したくないのかもしれません。銀行振込にすると取引記録が残るので、行政機関から容易に捕捉されます。国税局や税務署は銀行調査によって預金口座を復元できますし、金融庁なども必要があれば同様の調査ができるのかもしれません(この辺りは元金融庁の方に話を聞きたいところです)。

脱税をする人が現金や金を自宅に隠すのは、銀行に預けておくと税務調査によって簡単に見つかってしまうからです。現金で受け渡しを行えば、行政機関に見つかる可能性が下がります。現金を受け取った証拠がなければ、後から出資金の返却を求められた際に知らないふりをすることもできるかもしれません。

若手芸人が巻き込まれた投資トラブル

以前、ぼくの同期の芸人も投資トラブルに巻き込まれていました。彼は、別の芸人の紹介で出会った人物から、「外車を輸入するビジネスに投資すれば、3カ月後に3倍になる」と言われ、借り入れをして100万円ほど投資しました。

その100万円は喫茶店で渡し、受領証や契約書はなかったそうです。当然、3カ月経っても連絡はなく、電話をしても繋がらず、借金だけが残りました。

そのような都合の良い話があるわけがないし、現金を渡して書面を交わさないのは明らかにおかしいです。スーパーで100円のお菓子を買っても、ちゃんとレシートをくれるこの国で、100万円を受け取って「はい、確かに預かりました」と口頭だけで済ませるなんて、常軌を逸しています。

彼は金融リテラシーが低いことでトラブルに巻き込まれてしまいました。日常的に、信頼できる人とお金の話をして、知識を増やすことが重要だと感じた出来事です。

(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

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