スイス金融最大手UBS、クレディ・スイスの買収で合意

スイス金融最大手UBS、クレディ・スイスの買収で合意

  • 毎日新聞
  • 更新日:2023/03/21
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スイス金融大手UBS(左)と同クレディ・スイス(右)の本店=スイス・チューリヒで18日、AP

スイス金融最大手UBSは19日、経営危機に陥っていた同国金融大手クレディ・スイスを買収することで合意した。英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。買収総額は20億ドル(2630億円)以上。両社が完全に合併すると、欧州で最大規模の金融機関となる。クレディ・スイスは信用不安で預金の流出が続いていたが、スイスを代表する2大銀行による大型再編が実現することで市場に安心感が広がる可能性もある。

「クレディ・ショック」に市場混乱

報道によると、金融不安の拡大を早期に収拾するため、スイス国立銀行(中央銀行)と金融監督当局が買収交渉を後押ししていた。市場での取引が始まる20日までに方向性を示すよう求めていたという。

クレディ・スイスは、2021年に米投資会社「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」との取引で巨額の損失を出すなど業績が悪化。22年6月には、ブルガリアの麻薬組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止できなかったとしてスイス連邦刑事裁判所から有罪判決を受けるなど不祥事も相次いだ。22年10月には経営再建のため、従業員を3年間で9000人削減する計画を発表するなど混乱が続いていた。

今回の買収劇につながったのは、クレディ・スイスが今月14日に公表した年次報告書で、過去の財務報告の内部統制に「重大な弱点」があったと明らかにしたことだ。15日には筆頭株主のサウジナショナル銀行が追加投資を否定したと報じられ、同日の株価は一時、前日比で30%超下落。預金の流出も続き、経営危機に陥った。世界的な大手銀の経営が揺らいだことで金融システムそのものに対する不信も高まり、世界同時株安を招いた。

スイス国立銀行と同国で金融監督を担う連邦金融市場監督機構(FINMA)は15日、「必要があれば流動性を供給する」と支援を表明。クレディ・スイスは16日、スイス国立銀行の資金供給枠から最大500億スイスフラン(約7兆1000億円)を調達する計画を発表したものの経営不安は収まらず、最終的にUBSの買収を受け入れた形だ。【ブリュッセル宮川裕章】

毎日新聞

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