4月には劇場版も公開 改めて振り返る『オッドタクシー』ブレイクの軌跡と3つの魅力

4月には劇場版も公開 改めて振り返る『オッドタクシー』ブレイクの軌跡と3つの魅力

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  • 更新日:2022/01/15
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『オッドタクシー』(c)P.I.C.S. / 小戸川交通パートナーズ

2021年の12月25日——作中で“オッドタクシー作戦”が決行された日付に合わせて、クリスマスプレゼントと言わんばかりに届けられた『オッドタクシー』映画化の報は大きな反響を呼んだ。その映画の公開前に、改めて2021年を代表する傑作の現在までの軌跡と魅力を振り返ろう。

参考:動物なのに“人間らしさ”を感じる? 『オッドタクシー』が視聴者にもたらす親近感

『オッドタクシー』の放送/配信開始当初、キャスティングこそユニークではあるもののオリジナル作品だったこともあってか注目度は決して高くなかった。作品をご覧になった人であれば、(2周目であればともかく)第1話や第2話は異質さこそ感じられるもののまだ物語のほんの序章であり、その時点で多くのファンを惹きつけなかったことも理解できるだろう。しかし4月末の第4話「田中革命」辺りからディープなアニメファンの間で人気が上昇し、サスペンス色が濃くなる中盤以降にSNS上で口コミが広がってその人気は不動のものとなった。

作中の承認欲求旺盛なSNS大好き大学生の樺沢太一ではないが、Twitter公式アカウントのフォロワー数の推移を見るとこの流れはわかりやすい。

4月1日時点:約6,000人
5月1日時点:約12,000人
6月1日時点:約18,000人
7月1日時点:約26,000人

このように開始前後で毎月約6,000人ずつコンスタントに増えている。驚きなのが、2022年1月上旬現在のフォロワー数が約53,000人とTVシリーズ終了直後から倍増していること。1クールの物語を終えた7月以降も評判を聞きつけてチェックし始めた視聴者を次々に虜にし、多くのファンを獲得していったのだ。

なお、この高評価は国内に限定されたものではない。月間1800万人以上が利用する世界最大級のアニメ・マンガデータベース「MyAnimeList」において、『オッドタクシー』はユーザーによる平均評点(スコア)で10点中8.77点と、2021年TVアニメでトップ5入り。歴代アニメ作品でも34位となっている。

この異例の盛り上がりをもっとも体感できたのが、Blu-ray BOXに関するプロジェクトだ。当初はBlu-ray BOXの発売予定がなかった『オッドタクシー』だが、最終回直後に300セットの申し込みがあれば発売決定、さらに申し込み数に応じて特典が追加されるというプロジェクトをスタートする。しかし300セットの申し込みは申し込み開始当日に早々と達成し、最終的には6038セットの申し込みがあったそうだ。

ほかにも、ヒット作らしいグッズ展開や他作品などとのコラボレーションが現在に至るまで行われている『オッドタクシー』。こうした人気の広がりに一役買ったのが、そのユニークな見た目だろう。動物をモチーフにしたキャラクターは全体的に線が少なくシンプル。このおかげで、普段アニメを観ない層にとっても親しみやすいというのは現在放送中の人気作品『王様ランキング』と同様だ。

もちろん多くの人を夢中にさせた物語の魅力も、このヒットを語るのに欠かせない。タクシードライバー・小戸川を主人公としたどこか不気味な雰囲気の群像劇から徐々にミステリーテイストが強くなり……未見の人のために詳細の記述は避けるが、さまざまな伏線が回収される終盤の怒涛の展開を2021年アニメのハイライトのひとつとして挙げることに異論がある人は少ないはずだ。本作の脚本を手掛けたのは、おもにマンガ家としても活躍してきた此元和津也。ドラマ化や映画化もされた代表作である『セトウツミ』でも、『オッドタクシー』の物語と似たテイストは味わえる。本作のファンで未読の方はぜひ手にとってほしい。

また群像劇をより楽しく魅せるための演出も際立っていた。決して動きまくるわけではない、ややダウナーな会話中心のアニメだが、ラッパーを声優に起用したキャラクターのラップ調の発言や芸人キャストによる漫才のような会話、作中のアイドルグループ・ミステリーキッスの楽曲といった飛び道具が視聴者を飽きさせない。さらに本編と同時にYouTubeで展開されたオーディオドラマ(特に最終回は必聴!)やアニメ開始の半年も前から始まっていた樺沢のTwitterアカウント(@kbsw_t)など、作中外にも驚きの仕掛けが用意されていたのも印象的だ。

4月1日に公開予定の『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』は、TVアニメのエピソードを再構成しつつ最終回のその後も描かれることが発表されている。あれだけ見事な構成の物語を楽しませてくれた作品だけに蛇足を懸念する声もSNS上では見られるが、ここまで巧みに演出された『オッドタクシー』だけに、映画でも新たな驚きを提供してくれることに期待してもいいだろう。未見の人はもちろんだが、その驚きを存分に味わうために、すでに作品を観ている人も改めて極上の“2周目が面白い”物語を楽しんでみてはいかがだろうか。(はるのおと)

はるのおと

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