甲子園出場校の名将たちが語る“極意”(3)「競技性の理解」から始まる野球論

甲子園出場校の名将たちが語る“極意”(3)「競技性の理解」から始まる野球論

  • ベースボールチャンネル
  • 更新日:2022/08/06
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産経新聞社提供

第104回全国高等学校野球選手権大会が2022年(令和4年)8月6日から17日間、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)に開幕。今年も49代表校が夏・王者をかけて熱戦を繰り広げる。甲子園に出場する監督たちは、どのような思考をもって、強いチームを作り上げたのだろうか。その“極意”を紹介する。《仙台育英・須江航監督編》

【表】夏の甲子園2022 勝ち上がりトーナメント表

系列の仙台育英秀光中で全国優勝を果たし、2018年から仙台育英の監督に就いた須江航氏。中学時代から、走塁を絡めた攻撃を突き詰め、ロースコアの展開を勝ち切る戦いを見せていた。中学でも高校でも変わらぬ考えは、「得点圏を作るために、どんなプレーを選択するべきか?」。野球という競技の本質と向き合いながら指導にあたる指揮官に、走塁論を聞いた。(7月21日発売『高校野球界の監督が明かす! 走塁技術の極意』より一部抜粋)

春夏合わせて42回の甲子園出場を誇る仙台育英。2018年1月1日からは、系列の仙台育英秀光中等教育学校を全国制覇に導いた実績を持つ須江航監督が就任し、2019年夏の甲子園、2021年センバツでベスト8に勝ち進んだ。悲願の日本一に向けて、チームの強化を進めている。

須江監督は、前任の秀光中時代から機動力を絡めた攻撃を得意にしていた。2014年に西巻賢二(千葉ロッテマリーンズ)を擁して、日本一を成し遂げたときには、「3球以内に走る」を徹底して、全4試合で10個の盗塁を成功させた。

二塁盗塁の際には、左足を伸ばすスライディングをチーム全員が採用。キャッチャーからの送球が外野方向に逸れたときに、左足を伸ばしたほうがそのままの流れでボールを追え、「瞬時の反応が早くなる」という考えを持っていた。右足を伸ばすと、顔を外野に向ける時間が必要となり、一瞬の反応が遅れてしまう。両足でスライディングができるように練習を重ね、先の塁を狙うための技術と考え方を磨いた。

須江監督が、中学でも高校でも必ず伝えているのが、「野球の競技性」に関する話だ。

野球は陣地取りゲームであるが、ノーアウト一塁から、アウトひとつを引き換えに進塁しても、得点は入らない。ノーアウト一塁→1アウト二塁→2アウト三塁→チェンジとなる。どこかで、塁をまたぐ必要が出てくる。

それがヒットエンドランのときもあれば、盗塁のときもあれば、長打のときもある。ノーアウト一塁から盗塁を決めて、ノーアウト二塁を作れれば、送りバントで1アウト三塁。この状況であれば、スクイズや内野ゴロ、犠牲フライなど、アウトを引き換えに進塁することで得点が入る。

言われてみれば、当たり前のことである。ただ、バッティングに目がいきすぎると、攻撃側が第一に考えなければいけない「得点を取る」から、離れてしまうことも多い。試合の打席は、バッティングセンターとは意味合いが違う。だからこそ、「野球の競技性」を繰り返し説く。

試合中、須江監督はよく動く。「グリーンライトの盗塁も含めれば、ランナー一塁から、何も仕掛けないことがないかもしれません」と自ら口にするほどだ。2021年秋の宮城大会では、初戦から決勝までの4試合で25盗塁を決め、東北大会に勝ち進んだ。

大利実

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