大物アニメプロデューサーが語る〝売れる声優〟に共通する表現力

大物アニメプロデューサーが語る〝売れる声優〟に共通する表現力

  • @DIME
  • 更新日:2021/04/08
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劇的に膨らむ声優人口。だが、現在活躍するアニメ声優は300人前後にすぎない。狭き門を潜り抜け、スター街道を走るために必要な素質とは? アニメ制作現場の司令塔に話を聞いた。

活躍の場が増えても声優の基本は変わらない

昭和から平成にかけて、何度か起こった声優ブーム。令和の今が第何次のブームなのかは定かではないが、声優人気がこれまでにない盛り上がりを見せていることは間違いないだろう。本来は文字どおり、声だけの存在だったはずの声優は、今やテレビ番組への出演が珍しくなくなり、イベントやライブでは大勢のファンを熱狂させる。声優の主戦場であるアニメ制作の現場目線ではどうだろうか。アニメ制作に長年携わる轟豊太さんは厳しい見解を示す。

「最近は声優さんの活躍の場が広がりすぎているし、スマホゲームを中心にキャリアを積んでいる若手声優さんも増えています。でも、スマホゲームはセリフをひとりで読み上げることがほとんど。セリフの掛け合いがメインのアニメに対応できる人は本当に少ない」

声優がプロモーション活動を行なうことの多いスマホゲームや深夜アニメの場合、キャリアの浅い新人であっても、ルックス重視でキャスティングされるケースは珍しくない。しかし、現場におけるキャスティングの基本は、キャラクターの声質に合うかどうか。それは今も昔も変わらない。プロデューサーの業務は作品を制作するための予算確保、スケジュール管理、各所調整など多岐にわたる。

そのうえで大事なのは、監督ら制作スタッフの意見を尊重する現場ファーストの姿勢。声優を見る目は必然的に厳しくなる。

〝売れる〟声優になるために必要不可欠な要素とは?

では、轟さんが考える、声優が売れるための条件とは?

「一番必要な要素は、運ですよ。つまり、いいキャラクターを引き当てられるかどうか。いい役に当たれば、声優さんに注目が集まるようになる。ですが、アニメファンは声優さんとキャラクターを重ねて見る傾向が強い。実際のところ、本人の名前だけで売れた人って、ほとんどいないですよ」

しかし、当たり役を獲得することが難しい時代になってきた。

「10年前であればテレビアニメで1本主役を務めるだけで、芋づる式に役が決まることが多かった。ですが、今は作品数が多すぎる。主役をやったことを気づかれないケースもあるでしょうね」

コロナ禍は若手の躍進を妨げる一因になっている

「アフレコの現状を申し上げますと、昔は全員揃ってブースに入っていたのが、今は一度に3人までに制限しています。そうなると、若手がベテランの演技を学ぶ機会が極端に減る。今の若手の声優さんにとって、それは大きなダメージになっていると思いますね」

これから紹介する声優は、自身がプロデューサーとして実際に仕事をする中で「チャンスを掴みとれる逸材」と感じた5人。

「当たり役を引き当てるかどうかは運次第。でも、それをモノにするためには、声優としての高い表現力が不可欠です。うまい声優さんというのは、台本をきちんと読み込んで、ちゃんとした正解を導くことができる。一度伝えたことに対して、大体そのとおりの解答を返してくれるものです。実力が伴わない人は、『はい』という一言でも10テーク、20テークと重ねてしまう。完成されたアニメを見ているだけではわからない、本当の実力を知ることができるのが現場ですから。そういう意味では、現役のアニメ声優さんは全員がトップランカー。そうなれなければ生き残れない世界なんですよ」

完成されたアニメからでは本当の実力は伝わりません

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ドリームシフト取締役  轟 豊太さん
バンダイナムコアーツなどを経て現社設立。約20年間にわたりアニメーション宣伝、制作プロデューサーに従事している。アニメ業界にスポットを当てたアニメ『SHIROBAKO』葛城剛太郎役のモデルとしても知られる。

■ 近年のプロデュース作品

『幼女社長』

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©藤井おでこ・KADOKAWA/むじなカンパニー

『弱キャラ友崎くん』

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©屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

〝売れる〟声優は同時多発的に現われる! 轟さんが注目する5人と2021冬・春の共演相関図

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女子高生役を自然にこなす生っぽい声は劇場映画でも映える!

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市ノ瀬加那さん

「本当にスッと入ってくる感じの生っぽい声は、どちらかというと実写の役者系。劇場アニメなどにもハマる声優さんだと感じますね。『ひげを剃る。~』でヒロインの女子高生を演じていますけど、会話がすごく自然なんですよ」

PROFILE
2018年放送のテレビアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』でイチゴ役として初のメインキャストに抜擢。『ブギーポップは笑わない』織機綺役ほか、2021年春アニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』ではヒロイン役を射止めた。

〝声が立つ〟のは才能だ!主役声のツートップ

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小林裕介さん

「かっこいい声も出せるし、弱々しい声も出せるし、演技の幅は広いと思います。しかも声が立っているので、彼が主役として声を出してくれると作品全体がピシッと締まります。声質のせいかわからないけど異世界系の作品が多くて、何回も転生していますね(笑)」

PROFILE
会社員を経て2013年に声優デビュー。『賢者の孫』『Re:ゼロから始める異世界生活』『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』といった数々の人気アニメで主人公役を演じている。

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佐藤 元さん

「声優事務所・アイムエンタープライズの〝次期エース〟といわれている期待の声優さんです。粗削りなところはありますけど演技に関してストイックで、若い割に器用なところもあって、まだまだ伸びしろを感じますね。この先かなり仕事が増えるだろうけど、ぜひまた僕の仕事をがんばってもらいたい(笑)」

PROFILE
2017年よりアイムエンタープライズに所属。今期出演作品は『転生したらスライムだった件』『スケートリーディング☆スターズ』『灼熱カバディ』ほか、『弱キャラ友崎くん』でテレビアニメ初主演を飾る。

小悪魔系のキャラ声は女子×趣味作品で大化けしそう!?

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日岡なつみさん

「声に不思議と惹かれるというか、特徴的な声にハマりそうなタイプ。小悪魔的な美少女役が向いているなと思います。一点突破型だけど器用な表現力もある。ヒロインのひとりを演じる『スーパーカブ』ではがんばってほしいと思っています」

PROFILE
『くまみこ』雨宿まち役で初主演。『三ツ星カラーズ』琴葉役、『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』猿飛忍役など多数のテレビアニメに出演。『Re:ステージ!』、『ときめきアイドル』など、ゲームでも活躍している。

モブ役も抜群にうまい!ヒロイン常連組の最右翼

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長谷川育美さん

「今後もヒロイン役は増えると思います。モブの演技をしてもキャラクターの画を伝えられるのだから、表現力は高いですよ。花火大会を見に来た男の子の声を演じてもらった時は、昭和のガキ大将みたいな画が浮かんで思わず噴き出しました」

PROFILE
2016年デビュー。2020年から準レギュラー出演が増え、現在放送中の『弱キャラ友崎くん』でヒロインのひとり、七海みなみ役に抜擢。春アニメ『86-エイティシックス-』ではヒロインのレーナ役を演じる。

取材・文/仲上佳克

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