菅政権の中心で「五輪」を叫ぶ竹中平蔵パソナ会長が「首相に捨てられる日」

菅政権の中心で「五輪」を叫ぶ竹中平蔵パソナ会長が「首相に捨てられる日」

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  • 更新日:2021/06/11
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竹中平蔵パソナ会長(C)朝日新聞社

「世論が間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違いますよ」

【写真】菅首相の成長戦略会議に6月、出席した竹中平蔵氏

読売テレビの討論番組「そこまで言っていいんかいNP」(6月6日放送)で、東京五輪に反対する世論を皮肉った竹中平蔵パソナ会長。この発言にSNSでは批判に染まり、「竹中氏、あなたは基本的に間違っている」(ミュージシャンの世良公則さん)など、著名人らも声を挙げた。

しかし、本人はどこ吹く風。9日には自身のユーチューブを更新し、「1918年から流行したスペイン風邪の時も五輪(1920年)は開かれた」などと開催を強調している。

なぜ、これほどまでに「五輪開催」を叫ぶのか。会長を務める人材派遣会社「パソナ」がオフィシャルサポーターであることはもちろん関係あるだろう。しかし、別の理由があるという。竹中氏と面識のある官僚が語る。

「小泉政権で総務相を務めた竹中氏は、安倍晋三前首相とそれを継承した菅義偉首相に『民間有識者』として重用されてきた。しかし、五輪が倒れ、安倍―菅ラインと距離のある政権ができれば、一挙に力を失いかねない」

あまり知られていないことだが、小泉改革時代から、竹中氏を快く思っていない自民党議員は多い。ある野党議員が笑いながら言う。

「予算委員会で、竹中氏を批判すると、あとから与党議員が『ありがとう』と声をかけてくることもある」

次期衆院選をにらみ菅政権が退陣に追い込まれれば、後任が「菅色」を一掃する。そうすれば、ただでさえ疎まれている竹中氏が干される可能性は高そうだ。

政府事業を数多く受注するパソナ会長でありながら、国家戦略特区諮問会議民間議員、成長戦略会議などの政府委員を務める竹中氏には、「我田引水」「自分で決めて、自分で儲ける」などと批判がつきまとう。

なかでも、これまででもっともあからさまな利益誘導のエピソードと言えば、国家戦略特区による規制緩和によって制度化された「外国人家事代行サービスの解禁」だろう。

2015年7月、日本でこれまで認められていなかった外国人の「家政婦」の雇用を特区に限り認めることが法制化された。竹中氏はこの決定をした戦略特区諮問会議の議員だ。そして翌年の16年7月、パソナが事業者として認定されることが決まった。この決定にパソナの株価が上昇したことが当時の新聞で報道されており、まさに「自分で決め、自分で儲ける」という竹中氏の真骨頂が示された形だ。

問題はそれだけではない。特区は、規制改革提案を民間から広く募り、それをワーキンググループで絞り込み、最終的に首相が議長の諮問会議で決定する仕組みだ。諮問会議の議員である竹中氏は有力な提案を本来ジャッジする立場のはず。

ところが、この「外国人家事代行サービス」は、なんと諮問会議の民間議員提案だった。14年5月の諮問会議で、竹中氏ら4人の民間議員が「追加の規制改革項目」として外国人家事代行サービス導入を提案。

この会議の場で、竹中氏は「スピード感が大事」と、安倍前首相を始め、居並ぶ閣僚に発破をかけ、その甲斐あって1年後の法制化へとつながっていく。つまり、「提案、決裁、受注」のすべてに堂々とかかわっていたことになる。永田町で”政商”と批判される所以だ。

そんな竹中氏が率いるパソナグループは2021年5月期で、過去最高の175億円の営業利益を確保する見通しとなった。東京五輪や新型コロナウイルス対応の人材派遣などを数多く受注しているのは周知の通り。

さぞかし機嫌がいいかと思いきや冒頭の「五輪発言」。我が世の春も菅政権の状況によっては先行き不透明だ。国家戦略特区にかかわった官僚が言う。

「新型コロナで菅首相も規制改革どころではない。国家戦略特区も下火になっており、案外、竹中氏が菅首相に捨てられる日が来るかも知れない」

(渡部俊輔)

渡部俊輔

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