日替わりで世界各地の料理を堪能することができる、ある施設が実は沖縄の浦添市にあります。観光ブックにも載っていないものの、多くのファンが訪れる店の秘密を取材しました。
【写真を見る】“観光ブックにも載っていない”世界中の料理が食べられる沖縄の魅力の食堂とは
今井記者「ランチタイムに、毎日世界各国の料理が楽しめる食堂があるということ
なので行ってみたいと思います!」
訪れたのは、JICA沖縄。1985年の開設以来、JICA沖縄では、沖縄の技術を活かした国際協力事業を県内企業・団体と実施。その一環として各国から年間400人の研修員を受け入れ、人材育成を行っています。
向かったのはそんなJICAの食堂です。
今井記者「食堂の噂を聞いて来たんですけど」
従業員 「はい!世界の料理が味わえる食堂となっています」
迎えてくれたのは、食堂の主任さん。13人のスタッフのまとめ役です。
OIC食堂 小禄邦子主任
「きょうは20人くらいの浦添市のお客様が入っていますので。宜しくお願いします」
ランチ時には世界各国からの研修員、一般客で賑わう店内。皆さんのお目当てのひとつが日替わりで楽しめる世界の料理です。この日は、台湾料理・ルーロー飯。三枚肉に醤油、黒砂糖、オイスターソース、そして五香粉と呼ばれるスパイスを加えて。煮込んだらご飯にたっぷり!台湾屋台、定番の味です。
ウガンダからの研修員「豚肉がおいしい。私これ好き!」
一般客「ラフテーに似ている感じ。ラフテーが好きなので美味しかった」
1年間で提供する海外の料理はおよそ80種類。研修員に喜んでもらいたいと、各国の記念日にはその国の料理を提供するのだそう。またムスリムの研修生向けにイスラム教の戒律にのっとった食材を使用したハラルフードも用意しています。
小禄主任「お客様が食べたいメニューを出すのが一番だと考えているので、本人た
ちが食べたいメニューを出したいなと考えまして」
その分、覚えることも多く、食品庫には世界の調味料・香辛料がずらり。実はまだ勤務歴3か月という小禄さん、前職のレストランとは勝手が違うようで…
小禄主任「モロッコって書いてあります。パスタですね。多分パスタだと思いま
す。アチェートバルサミコっていう…。これは何だろうと思いますね。
アチェート…、自分なりに調理している方の横で見たり、味付けもなめ
てみたり、この年になって勉強するなんて」
海外の食材に苦戦するのは食堂の通過儀礼。全てのメニューを考案している、調理師の新里宜央さんもかつて苦戦しました。
OIC食堂 新里宜央調理師
「行ったこともない国、食べたこともない料理なので大変難しかったです」
書籍やインターネットを参考に料理を作っては『研修員に食べてもらう』、これを繰り返してきたといいます。
新里調理師「研修員さん達に、美味しかった?とか聞いて。判断しますね」
そんな食堂を研修員はどう思っているのか、ブラジルからの研修員に聞きました。
キンジョウ ビアンカ ヒカリさん
「沖縄にいるとき、ブラジルの料理が恋しく感じるので、食堂で自分の国の料理が出てくるからとても嬉しい気持ちになります」
テルヤ ブルーノ ヒトシさん
「台風の時も、(料理が)来るからめっちゃ嬉しいですね。本当に感動する」
そして研修員にとって嬉しいことがもうひとつ―。
キンジョウ ビアンカ ヒカリさん
「いつも体調のことを聞いたり。何が好き?とか何が食べたい?とか。いつも聞いてくれるんですね。だから家族みたいな感じですね」
小禄主任「(研修生は)ずっと長いこと滞在していますので、子供みたいな感じで
すね、私からすると。(今後も食堂を)楽しく盛り上げていきたいと思
っています」
浦添市のJAICA沖縄内の『OIC食堂』は一般の方も利用できます。
https://www.jica.go.jp/okinawa/office/restaurant/menu.html