韓国エンタメ界の底上げぶりがエグい! Netflix『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の“レベチ”な化物ビジュアル

韓国エンタメ界の底上げぶりがエグい! Netflix『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の“レベチ”な化物ビジュアル

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  • 更新日:2021/02/22
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Netflixオリジナルドラマ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』独占配信中

韓国映像業界の“今”を見せつける「世界レベル」のドラマ

韓国映像エンターテインメントすごい……。感嘆のため息混じりにそう思う。Netflixオリジナルシリーズ『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の出来栄えの素晴らしさを目の当たりにして、韓国の映像エンタメ業界は、日本のそれがもう一生追いつかないのではないかと思えるほど、遠くに行ってしまったことを改めて痛感させられた。『パラサイト 半地下の家族』(2019年)が第92回アカデミー賞で作品賞・監督賞ほか4部門を獲った時点で、そんなことは明白なのかもしれないが、この『Sweet Home -俺と世界の絶望-』のようなSF娯楽作品は、創作の実力差をより明白に見せつける。

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時を同じくして話題になった日本の某作品の、いわば「ノワール系SF娯楽作品」的な古臭さが、よりこの国の映像業界への諦念を強くさせた。ただ、現在の韓国のように映像エンターテインメントの世界で、ハリウッドをはじめとする世界の国々と堂々と渡りあえたアジアの国が、過去にあったのだろうかとも思う。かつての日本や香港の映画界にはそういう作品があっただろう。しかし、国の映像業界全体が「世界レベル」に底上げされた例はなかったのではないだろうか。

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まるでゾンビ界の迷惑YouTuber!? 秘めた欲望ダダ漏れの個性的な化物たち

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』は、一応「ゾンビ物」に分類されると思う。人間が化物に生まれ変わり人間を襲うという点では、確かにゾンビ物である。しかし、ゾンビの最も重要なアイデンティティーである「噛まれた者が感染する」という設定が、同作品の化物にはない。鼻血が吹き出ることを予兆として、突然、人間が化物に変わる。従来のゾンビが「感染症」のメタファーであるならば、『Sweet Home~』の化物は「癌」のメタファーのように思えた。

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政府からの発表という形で「化物に変身してしまう因子は人間の欲望に関係しているらしい」という、非常にぼんやりとした説明が作中にある。いちばん最初に化物になってしまうのは、タレント志望の女子。彼女は売れるために必死に一人でがんばっている。枕営業をしていることも匂わせる。彼女は太らないように食事制限をしているので、変身した怪物は食べることに異常に執着している。異形の者になりながら「お腹すいた。何か食べたい」と、うめくように呟きながらウロウロとさまよう。欲望が原因で化物に変身するという設定は、承認欲求の塊と化した現代人を見る思いがした。迷惑YouTuberなど、まさに欲望が自らをモンスターに変えている(笑)。

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以上の設定により、登場人物が過去に抱えた闇が作品において重要となる。登場人物それぞれの闇が掘り下げられていくのだ。物語は、主人公の少年が一人暮らしをするために「グリーンホーム」という名の古いマンションに引っ越してくるところから始まる。彼は交通事故により父母妹を亡くし一人ぼっちになり、「自殺決行日」をスマホのカレンダーに打ち込んでいる。彼は、グリーンホームで様々な「いわくつき」の住人と出会うこととなるのだが、物語はこの古いマンションの「閉ざされた空間」で展開される。閉じ込められた住人の誰かが突然、ロシアンルーレット式に化物と化すのだ。

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化物はゾンビのような「ヒト型」ではない。身長3メートルを超える超人ハルクのようなマッチョな怪物、マンションの上層階まで届くほどの長い首の先に大きな目玉だけついている怪物、舌を十数メートル伸ばし剣のように人を貫く怪物などなど、非常にユニークである。この荒唐無稽さが鑑賞していて気持ち良い。もちろん「ゆっくり歩く」「知能はない」「頭を吹っ飛ばすと死ぬ」といった従来のルールは適用されない。また、すぐに発症して化物になるわけではなく、人間を化物に変えさせる「何か」との精神戦に打ち勝てば、人の姿を保っていられるようだ。

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米ハリウッドの特殊効果スタジオによるリアルな化物表現に驚愕!

『Sweet Home~』では、これらの化物がCGだけで表現されてはいないように見える。私は映像の素人なので実際のところはわからないのだが、化物は立体アニメーションのような動きをしている。CG時代以前に作られた『ロボコップ』(1987年)のような、ぎこちないが味がある動きをする。オープニングのアニメーションも非常にレトロなセンスである。

本作品の原作は、韓国の2人組の漫画家Carnby/Okomeによるウェブトゥーン(デジタルコミック)で、日本でもLINEマンガで読むことができる。この作品の絵柄は、日本の漫画と全く見分けがつかない。私は最近すっかり漫画に疎くなってしまったので、韓国の漫画シーンなど全く知らなかった。日本の漫画を手本にして、韓国に成熟した漫画文化が定着していることを知った。漫画を輸出できたのに、どうして実写はこんなに遅れをとってしまったのだろう。少し残念に思う。日本の映画がつまらなくなってしまったのは、漫画原作のせいだと思い込んでいたが、そうではないらしい。

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それにしても、Netflixにおいて韓国ドラマ史上最大の予算がかけられたという『Sweet Home~』の原作が、ウェブトゥーンであることに驚いた。ドラマの壮大さからするとさすがにちゃちで、まるでドラマ用の絵コンテのように見える。しかし、漫画は将来この形が主流になっていくのだろう。この分野でも日本は韓国の後塵を拝すことになるかもしれない。

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文:椎名基樹

『Sweet Home -俺と世界の絶望-』はNetflixで独占配信中

椎名基樹

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