マイクロソフトが「大復活」...会社を変えた「3代目社長」の経営哲学

マイクロソフトが「大復活」...会社を変えた「3代目社長」の経営哲学

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/11/23
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最近でこそ好調なマイクロソフトだが、一時期、業績が悪化したことがあった。そんなマイクロソフトを救ったのが、現CEOのサティア・ナデラだ。「BtoBビジネスの王者」という肩書に固執せず、新しいことに挑戦する。彼の真骨頂はそこにある……。著書『2025年を制覇する破壊的企業』を発表したベンチャーキャピタリストの山本康正氏が、マイクロソフト復活の秘密について解説する。

マイクロソフト vs アマゾン

マイクロソフト365に代表されるように、BtoB、法人向けビジネスの王者として、マイクロソフトはこれまで長きにわたり君臨してきました。そしてこれからもビジネスのやり方は変わらないでしょう。アマゾンやグーグルといったライバルがBtoC向けのサービスに注力しているからです。

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注目しているのは、都市OSの獲得を狙っていることです。クラウド化が民間では当たり前になっています。国や自治体のシステムにおいても同様で、以前は自前の設備で構築していたシステムを、クラウド化しようとの動きがあります。

実際、日本政府の一部のシステムは、アマゾンが担うことが決定。今秋にも、デジタル庁準備室が設置され、脱はんこや、人工知能を活用した顔認証の導入、クラウドシステム化に向けた動きが活発化するでしょう。

公共機関システムの受注において、アマゾンとマイクロソフトはライバル関係にあります。日本のシステムはアマゾンに決まりましたが、アメリカ政府(アメリカ国防総省)のクラウドシステムでは、当初はアマゾンが優勢でしたが、結果はマイクロソフトが受注。入札で勝ち取りました。

政府の基幹システムを受注することは、金額的にもちろん、かなりのインパクトがあります。そして次に狙っているのは、ライバルがすでに参入している日本のマーケットです。

クラウドシステムの受注はOSに限らず、システムの稼働に必要なさまざまなアプリケーションもまとめて受注しますから、かなりのビッグビジネスになります。いわゆるスマートシティにつながるわけですが、そのスマートシティのOSの覇者を、マイクロソフトは虎視眈々と狙っているのです。

アマゾン対マイクロソフトに限らず、もともとシステムを手がけていた日本のシステム会社も含め、裏では激しい攻防戦が繰り広げられていることでしょう。ただ残念ですが、請負意識の強い日本のシステム会社の中で、クラウドや人工知能が強くないところが受注し、競争力が劇的に強まることは、ほぼないと考えています。

なぜ一時期、凋落したのか?

最近は業績が好調なマイクロソフトですが、一時期は凋落したこともありました。2代目社長のスティーブ・バルマー氏が、トレンドを読み間違えたからです。

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創業者であるビル・ゲイツ氏とハーバードで同級生であったバルマー氏ですが、彼の専門はテクノロジーではなく、ビジネス。そのためテクノロジーの未来を予測することができませんでした。

バルマー氏は大きく2つのミスをしました。一つは、グーグルドキュメントやオープンオフィスなど、他のライバル企業がクラウドを活用するなどして無料サービスを提供していく中、Officeをパッケージで消費者に買ってもらうビジネスモデルに執着したことです。

モバイル対応も遅れました。当初バルマー氏は、iPhoneやアンドロイド端末にはマイクロソフトのアプリは絶対に搭載しない。パソコンでしか動かさない。そのようなスタンスでした。しかし世の中の流れは完全にモバイルにシフト。クラウドも台頭し、パソコンとモバイルでアカウントやドキュメントが共有するのが、当たり前の世の中になっていきました。

マイクロソフトも慌ててWindowsを搭載した携帯端末を出しましたが、時すでに遅し。利用者はマイクロソフトから離れてしまった後でした。

このような窮状を救ったのが、現CEOのサティア・ナデラ氏です。ナデラ氏はバルマー氏の方針を刷新。BtoBビジネスの王者との肩書に固執することなく、モバイルにもパソコンにも、法人にもエンドユーザーにも誰にでも、どこでも使えるオープンなデバイスやソフトウェアを提供する体制に経営をシフトします。

オープンイノベーションへのシフト

ナデラ氏の手腕の象徴ともいえるのが、サブスクリプションサービスの導入です。

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それまでワンパッケージ10万円ほどで販売していたソフトウェアを、単年ごと1万円ほどの契約にシフト。コンシューマが払う金額はトータル的には以前とさほど変わりませんが、ソフトウェアは最新の機能が備わっていますから、支持されていきます。

次第にマイクロソフトは信頼を獲得し、気づけば株価は10倍に。時価総額も100兆円を超えるまでに業績が回復しました。

独占の帝国からオープンイノベーションにシフトしたマイクロソフトの動きは、他のサービスでも見られます。

「Xbox(エックスボックス)」というゲーム機を独自開発していますが、人気ゲームのマインクラフトやフォールアウトの制作会社を買収したり、近年はソニーと提携しています。「Surface(サーフェス)」というオリジナルパソコンも開発。アンドロイドを搭載した2画面スマートフォンも9月から発売されました。

できることには何にでも手を出す。このような経営はeコマースサービスを基軸としながらも、ソフトウェアサービスも手がけたいと考えるアマゾンと同じような経営方針とも言えます。

マイクロソフトは価値あるソフトウェアを持っていると思っています。その価値あるソフトウェアがモバイルなどあらゆるデバイスに広がり、暮らしが便利になる。そのような未来を過去の成功体験にとらわれず、自己否定をしながら追求し続けるところは日本企業にも大きな示唆があります。

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