映画『スパイスより愛を込めて。』主演の中川翼「デビュー作で藤原竜也のクセを研究」「菅田将暉はスター」

映画『スパイスより愛を込めて。』主演の中川翼「デビュー作で藤原竜也のクセを研究」「菅田将暉はスター」

  • fumufumu news
  • 更新日:2023/05/26
No image

中川翼さん 撮影/松嶋愛、ヘアメイク/高橋幸一、スタイリスト/小林美月

2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、若くして命を落としてしまう北条政範を、また、同年に公開された映画『耳をすませば』では、中学生時代の天沢聖司を演じて注目を集めた若手俳優の中川翼さん。そんな中川さんの2回目の主演映画となる『スパイスより愛を込めて。』が6月2日より公開されます。

この記事のすべての写真を見る

新型ウイルスが蔓延した影響で、抗ウイルス作用があると噂されたスパイスが不足し、日本からカレーが消えてしまった。そんな中、母のカレーをこよなく愛する高校生・山本蓮が、希少なスパイスの香りをまとう少女・端目莉久と出会い、ともにスパイス不足の謎を追う青春群像ミステリーです。

本作で、カレー好きな高校生・蓮を演じた中川さんに、作品を通して感じたことや見どころのほか、デビュー作で演じた役の思い出や目標の先輩についてなども伺いました。

ミステリーに青春に、ただの「カレー映画」じゃない!

――今回は2回目の主演作となりますが、本作のオファーを聞いたときの気持ちを教えてください。

映画『光を追いかけて』(21年)で一度主演を経験しているので、当時よりは緊張しないのかなと思っていたんです。もちろん嬉しさもあったのですが、それでもやっぱり緊張と不安はありました。

ただ、前作が中学生のときに撮影にした作品だったので、今作ではそのころとはまた少し違った、ちょっと大人になった僕で演じられたかなと思います。

No image

中川翼さん 撮影/松嶋愛

――本作で演じた山本蓮とご自身に共通点と違う点はありましたか。

蓮は少しジェンダーレスなところがあるのですが、誰とでも仲良くなれるところが自分と近いかなと思いました。僕も今通っている高校のクラスメイトとは男女関係なく仲がいいですし、家族とも仲がいいので、そういうところが似ているかなと思います。

僕自身と違うところは、走り方です。野球の試合でヘッドスライディングするシーンがあるのですが、最初はいつもの自分の感じで走ったら、監督から「ちょっとカッコよすぎるから、ちゃんと蓮に見えるように“へにゃへにゃ”した感じで走って」と言われたんです。それが個人的に面白かったし、くすっと笑えるポイントでした。

──本作のどんなところに面白さを感じましたか?

最初にこのお話をいただいたときは「カレー」というワードしか聞かされてなかったので「どんな映画になるのだろう?」と思っていました。それで実際に脚本をいただいて撮影に入ってみたら、わりとミステリー的な部分があって、世の中から消えてしまったスパイスの謎を解決していくところは演じていても面白かったです。

「ジェンダーレスは当たり前」と思ってもらえるきっかけになったら

――ただ「カレーがたくさん出てくる映画」ではなく、ウイルスのことや、蓮と幼なじみの沙羅がSNSで誹謗中傷されるなど、世情を踏まえた深いテーマも組み込まれていましたね。

そうなんです。特に、SNSでの誹謗中傷やジェンダーレスといった部分は今の高校生にも関わりがあることだし、この映画に出てくることはニュースにも取り上げられやすい、今の社会全体の悩みだと思うので、見ていただいた方それぞれにどこか気になることや考えることがあるんじゃないかと思います。

ジェンダーレスに関しては、人によっては苦手意識みたいなものを持っているかもしれませんが、それが「当たり前」という感覚になったらいいなと、この作品を撮っている中で強く思いました。

No image

中川翼さんとフムフムニュースのマスコットキャラクター・フムッフィー 撮影/松嶋愛

──そのほかに、特に中川さんが推したい映画の見どころを教えてください。

作中に出てくるいろいろなカレーや、ロケをさせていただいた金沢の街並みなど、どれも見どころ満載なので絞りきれないのですが、蓮と女の子たちの青春ですかね。恋愛面でも友情面でも、高校生でしかできない体験が詰まっているので、そこにも注目してもらえたらなと思います。そういう甘酸っぱいところと、スパイスのようにピリッとしたミステリーな部分がいいバランスで入っている作品になっているし、今の社会と重なっている部分もあるから共感しやすいと思うので、きっといろいろな人に刺さるんじゃないかと思います。

俳優としての覚悟ができたデビュー作と役との出会い

──役者歴は8年ほどになりますが、最近は次々と話題作にも出演されています。これまでのキャリアを振り返ってみていかがですか?

振り返ってみると、あっという間でした。本当にいい経験ばかりさせてもらってきたので、一言で言うなら「運がいい」と思っています。

最近思うのは、自分が小学生のころからこのお仕事をしていることもあって、小さい子を見ると初々しいなと思います。「僕もこんなだったな」「助けてあげなきゃ」という思いが芽生え始めました。

これからやってみたいのは、キラッキラした高校生たちの恋愛青春系ですね。見ている方をキュンキュンさせたいです。と言いながら、僕自身もキュンキュンしすぎて緊張しちゃうかもしれないので、演じきれるかちょっと不安ですが(笑)。

No image

中川翼さん 撮影/松嶋愛

──「これから役者でやっていこう」という覚悟ができた作品や、ターニングポイントになった役はありますか。

デビュー作の映画『僕だけがいない街』(16年)です。藤原竜也さんが演じる主人公・藤沼悟の小学生時代を演じたのですが、そこで平川雄一朗監督と出会って演技を叩き込んでもらいました。当時は夏休み中毎日レッスンをやっていたんですけど、嫌で嫌で仕方なかったんです。でも、今思えばそのときの経験があったから演技が好きになったし、他人として生きることの楽しさを覚えたのは初めてでした。

当時は「藤原竜也さんになりきれ」「お前は藤原竜也だ」ということを毎日言われていました。そこで「藤原竜也さんという役者になれる」嬉しさみたいなものを知って、「これから役者としてやっていきたいな」という思いが生まれたので、今の仕事を続けていきたいという気持ちは最初の段階から感じていたかもしれないです。

No image

中川翼さん 撮影/松嶋愛

──実在する、しかも俳優の大先輩を演じるというのは難しそうですね。

難しいんですけど、実在する人のほうが見本や参考になる材料がある分、特徴をとらえやすいところはあります。そのときは藤原さんが出演された作品を全部見て、クセを研究しました。

──そのときに見つけた藤原さんのクセをこっそり教えてください。

当時からちょっとクセのある声というか、藤原さん特有の言い方や、声の出し方、あとは話す前にちっちゃい「っ」が入ることが時々あったんです。そういうところを1回マネして、さらに藤沼悟という役も合わせて撮影に入ったのですが、もう楽しくて仕方なかったですね。

──すごく研究されたんですね。そうやってどんどんキャリアを重ねて俳優としての力をつけてこられましたが、今目標にしている俳優さんはどなたですか?

昔からずっと変わらないのは、事務所の先輩である松坂桃李さんです。あとは先日、菅田将暉さんの武道館ライブを見させていただく機会があったんですけど、もうスターのようにキラキラしていて、ステージ上でも演じているのかなと感じるくらいだったんです。ご本人としてはそれが「素」なのかもしれないですが、あんなに輝いて見えるのは、演じているからこそ、その先にあるものなのかなと。僕もあれくらい輝ける存在になりたいなと思います。

◇  ◇  ◇

後編では、中川さんの「愛してやまない食べもの」や、最近デビューしたある大会のことなど、気になる素顔に迫ってみたいと思います!

(取材・文/根津香菜子、編集/福アニー、撮影/松嶋愛、ヘアメイク/高橋幸一、スタイリスト/小林美月)

【Profile】
●中川翼(なかがわ・つばさ)
2005年12月6日生まれ、神奈川県出身。15年に俳優として活動開始し、16年にドラマ『わたしを離さないで』で連続ドラマデビュー、21年に映画『光を追いかけて』で映画初主演を果たす。その他に、映画『耳をすませば』や、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など話題作に出演。

【Information】
●映画『スパイスより愛を込めて。』
監督:瀬木直貴
脚本:アラン・スミシー
出演:中川翼、茅島みずき、福山翔大、萩原聖人、田中美里、加藤雅也ら
2023年6月2日(金)より公開

根津香菜子

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加