エリートではないけれど...女子バレー・江畑幸子31歳「笑顔の引退」の理由

エリートではないけれど...女子バレー・江畑幸子31歳「笑顔の引退」の理由

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/04/09

3月25日、1人のバレー選手の引退がひっそりと発表された。江畑幸子、31歳。コロナ禍もあって、大きく報じられることはなかったが、彼女なくして日本女子の28年ぶりの銅メダルはなかった。

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2012年のロンドン五輪。メダルを懸けた天王山となったのは、準々決勝の中国戦だった。セッターの竹下佳江が「エバ(江畑)と(木村)沙織がどんなボールも上げれば決めてくれた」と振り返るように、木村と共にチーム最多の33点を叩き出し、フルセットの末に勝利する。

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銅メダルを獲得したロンドン五輪 ©JMPA

木村のように攻守に長けた選手が「エース」と呼ばれる日本で、超攻撃型の江畑は異彩を放った。

「セッターにレシーブが返った理想的な状況ではなく、むしろ守備が崩されてからの苦しいトスを打つのが抜群にうまかった。Vリーグでも対戦相手の監督が『荒れ球を打たせたら江畑の右に出る選手はいない』と絶賛したほどでした。エース木村の対角が埋まったことで、日本は世界でメダル争いができるようになった」(スポーツライター)

バレー・エリートでなかった彼女が、日本代表になれたのは、ここ一番の勝負強さがあったからだ。

通常、Vリーグに進む選手は、名門校で活躍しており、高校3年の夏には進路が決まっている。全国区の強豪とはいえない秋田の高校の3年生だった彼女は、秋に地元で開かれた国体で、エースとして大活躍。予想外の3位入賞を果たし、Vリーグ入りが決まったのだ。

“鈍感力”も武器だった。

「エバだから仕方ない」と許される“愛されキャラ”

「ディフェンスに課題があり、チームの怒られ役だったが、立ち直りが早い」(同前)

テレビ関係者が続ける。

「木村がミスをしてベンチに下げられた時、わざわざ『沙織さん、眞鍋(政義監督)さんが怒っていましたよ』と言いに来たそうです。さすがの木村も『私に言う?』と苦笑い。でもそれすらエバだから仕方ない、と許されるキャラクター。誰からも愛される存在でした」

ロンドン五輪後はけがに苦しんだ。15年に右アキレス腱断裂で手術、リハビリを経て再び代表に選出されるも、16年のリオ五輪は最終選考で12名から外れた。昨年も右膝を手術し、リハビリの末、コートに再び立つことはなかった。

3月29日に行われた引退会見。08年の日立入社以来、13年に及んだ選手生活を「名前にもある通り、幸せなバレー人生だった」と振り返った江畑。

「最後の最後、自分の身体の限界まで挑戦できたことを嬉しく思う。清々しい気持ちで引退できることを知ってほしい」

最後まで、江畑幸子は笑顔だった。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年4月15日号)

「週刊文春」編集部

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