
"土石流が発生した伊豆山地区の上流部=2021年8月2日、静岡県熱海市、朝日新聞社ヘリから"
大規模な盛り土が起点となって災害関連死を含む28人が亡くなった静岡県熱海市の土石流災害などを受け、再発を防ぐための「盛土規制法」が26日に施行された。自治体が規制区域を指定し、危険な盛り土には緊急対応することや、悪質な関係者へはちゅうちょなく行政処分を出すことを求めている。
記録的な大雨に伴い、2021年7月に発生した土石流は、静岡県条例の基準の3倍を超える約50メートルの高さの盛り土が崩落して被害を大きくしたとされる。盛り土を所有・管理する側に対し、行政側の審査と指導が不十分だと問題となった。
これまで盛り土に関する包括的な法律はなく、取りうる措置や違反行為に対する制裁に限界があった。
こうした経緯から、国は昨年5月に盛土規制法をつくり、国土交通省が有識者会議を設けて施行までに自治体向けのガイドラインを検討してきた。
新たな指針では、都道府県などが人家などに被害が及ぶ恐れがある地域を規制区域に指定し、新たに盛り土をつくる場合は許可制とする▽警察などと情報共有、連携してパトロールなどを行う▽危険な盛り土を見つけた場合は周辺住民に知らせ、応急対策の工事を行う▽悪質な事業者にはちゅうちょなく行政処分を出して対応を促す、といった内容が盛り込まれた。