世界初、古代エジプトの妊婦のミイラが発見される

世界初、古代エジプトの妊婦のミイラが発見される

  • カラパイア
  • 更新日:2021/05/02
No image

ポーランドの考古学者たちが、2000年前に亡くなった古代エジプト女性のミイラのレントゲン写真を撮ったとこえお、遺体に驚くべき秘密が隠されていることがわかった。

この女性は、死んだときに妊娠していたのだ。これまで同様の例は見つかっていないため、世界初の妊婦のミイラということになる。

【他の記事を見る】古代エジプトの秘密のミイラ工房が発見される。貴金属で飾られた仮面をつけたミイラも見つかる。

世界で初めて発見された状態の良い妊婦のミイラ

Journal of Archaeological Science』誌に掲載された研究論文によると、この妊婦は亡くなったとき20~30歳代で、そのときにお腹にいた胎児の頭部の大きさから、妊娠26~30週目だったことを突き止めたという。

No image

20~30歳で亡くなった妊婦のミイラ credit:O. Leydo

「これは、妊娠している女性をミイラにした唯一の例といえます」ポーランド科学アカデミーのボイチェフ・エスモント博士は語る。

妊娠しているミイラがこれほどいい状態で保存されている例はほかにないという。妊婦の埋葬例はいくつかあり、ツタンカーメンの墓では赤ん坊のミイラも見つかっているが、軟組織がきれいに残っている妊婦の埋葬例はほかになく、世界初の発見であるという。

エスモントはこうも指摘する。「同様の例がほかにもあるのではと思うかもしれませんが、きちんと記録されていなかったり、保存状態が悪かったりして、今回の発見のように研究をさらに進めるチャンスはありませんでした」

なぜ、死産の子どもの場合のように、胎児を取り出して単独でミイラ化するのではなく、母体に入ったままで保存されたのか、研究者たちはその理由を探ろうとしている。「まだ生まれていないので、胎児は母親の体の一部だと考えられたのかもしれません」

No image

レントゲンやCTスキャンにより、ミイラは妊婦であることが判明(image credit:Journal of Archaeological Science

この妊婦は誰なのか?

この妊婦のミイラは、古代テーベの王家の墓から発見されたものとされているため、研究者たちは、彼女は高貴な出なのではないかと考えている。織物で丁寧に包まれ、たくさんの護符に守られていたという。

この護符はホルスの4人の息子を表わしていて、ミイラを包んでいる布の内側にたくしこまれていた。

"ホルスの4人の息子"とは、古代エジプト信仰における4人の神、イムセティ、ドゥアムトエフ、ハピ、ケベフセヌエフを意味する。彼らはミイラの体と共に置かれるカノープスの壺を擬人化したものとして表わされることが多い。

とは言え、この妊婦の死因や身元はいまだ謎だ。

No image

妊婦のミイラと共に埋葬されていたホルスの4人の息子を表わす護符(image credit:Warsaw Mummy Project

男性司祭のミイラとして展示されていた

このミイラがテーベで発掘されたのは1800年代始めのこと。そのときの調査で、テーベが繁栄していた紀元前1世紀ごろのミイラだとされた。1826年にポーランド、ワルシャワに移され、現在は国立博物館の古代アートギャラリーで展示されている。

展示の説明では、このミイラは男性司祭ということになっていたが、スキャンの結果、このたびの驚きの事実がわかったのだ。

人類考古学者のマルツェナ・オザレク=ジルケはこう説明する。

「まず、驚いたのは男性器がなかったことです。その代わり、乳房と長い髪の毛がありました。そして、男性だと思われていたこのミイラが実は女性で、しかも妊娠していることがわかったのです。胎児の小さな足や手が見えたときは、本当に驚きでした」

このミイラは、「ワルシャワ・マミー・プロジェクト」でスキャンされた唯一のミイラだ。このプロジェクトの目的は、ワルシャワ国立博物館にある古代エジプトの人間と動物のミイラをすべて徹底的に調べることだ。

レントゲンやCTスキャンなどの先端技術を使うことで、古代エジプトの生活がどんなものだったのか、そのミイラの年齢、死因、病気、生活水準、生前のストレスレベルまで、もっと詳しく知ることができるという。

No image

スキャンによって、母親は妊娠26~30週目だということがわかった(image credit:Journal of Archaeological Science

古代エジプトにおける妊娠についての洞察

エスモントは、妊婦のミイラが見つかったことは、その特異な性質からただの驚きであるだけでなく、古代エジプトの周産期の子どもの健康についてほとんど知られていないため、エジプト学者にとっても大きな発見だという。

エスモントは、この発見はさらに多くの興味の扉を開けてくれると考えている。

例えば、医師は胎児の腸内環境を調べることで、当時の免疫システムの発達に関する情報を得ることができるでしょう。

この女性と子供の命を救うために施されたと思われる古代の医療処置の痕跡を調べることもできる。古代エジプトの医学書には、行われていたらしいいくつかの処置が書かれているが、さらに調査が必要です

この研究は、まだ特定されていないとはいえ、ほかにも古代エジプトの妊婦のミイラが埋葬されている可能性があることを示している。

もっと多くのミイラをスキャンしてみれば、古代のミイラの体を実際にいじくりまわすことなく、デジタル的に詳しく調べることができるだろう。

References:World First! 2,000-Year-Old Egyptian Mummy Was Pregnant | Ancient Origins/ written by konohazuku / edited by parumo

・あわせて読みたい→古代エジプトの猫のミイラの中身をCTスキャン、3匹の猫の体の部位が入っていたことが判明(フランス研究)

動画・画像が表示されていないときはこちらから

パルモ

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加