釣りを百倍楽しくする方法:緊張をいかに解くか

釣りを百倍楽しくする方法:緊張をいかに解くか

  • JBpress
  • 更新日:2021/06/11
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朝マズメの堤防の風景

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釣りで味わう至福の時間と人の記憶

釣りにのめり込むきっかけとなったビギナーズラックの記憶。長い時間が経っても不思議とその時の情景は鮮明に覚えています。

また陸釣りでは、たまにたくさん釣れてクーラーが賑やかになる日や、遊漁船の沖釣りでも稀に、「入れ食い・クーラー満タン・早あがり」という日に出会います。

そんな日に味わう高揚感は、釣りライフの中でも忘れがたい「至福の一日」です。

それにしても好きなことは、いつまでも鮮明に覚えているものだと思っていましたが、ある時出会った釣りに関する1冊の本で合点がいきます。

今回は少し趣向を変えて、釣り人の記憶と心理や感情のメカニズムを紐解いた著書の一説に注目し、自身が経験したよくある釣りの光景と著書にある釣り人の思考特性を検証してみます。

そしてこれをもとに、「量」や「大きさ」だけにとらわれない「至福の一日」ついて、実釣交えて考察してみます。

釣り人の記憶と心理・感情のメカニズム

釣行日前日、眠らなければ・・・と思うほどに、釣りの情景が浮かんできてなかなか寝付けない。

私もそうでしたが、久々に期待した釣行前日に、このような現象に見舞われる方も多いのではないでしょうか。

この状態を人間の脳の特性と紐づけた『釣りの科学(森秀人著)・昭和56年初版』という面白い著書があります。

そこでは人が釣りにハマる(熱中する)特性、釣行時の心理状態を、人間の神経生理学上の「興奮」と「記憶」の関係から紹介。

そして釣行時の釣り人の脳は、「緊張→陶酔→解放」というプロセスで脳に鮮明に情景を記憶として焼き付いていくとしています。

1.緊張

釣れた瞬間、特に実釣での最初のヒットや予想外に強い引きがある時などは、慣れた人でも上げてくるまでは、「バレるなよー」と祈りながら強い緊張状態に入り、水面にお魚が顔を出した時に最高潮を迎えます。

釣り人なら誰しも味わう、お魚が手元に来るか来ないか、落胆と勝利の瞬間です。

2.陶酔

お魚が手元にまたは船の中に入った瞬間に「陶酔」がやってきます。「やったー」と思わずガッツポーズが出たり、一気に脱力してへたり込んだりします。

私の友人に至っては希少な大型魚を釣り上げた時、いきなりお魚を持って走り出し、勝利のポーズで叫んでいました。

本人曰く、「あまりの嬉しさに、気がついたら走っていた」とのことでした。

3.解放

興奮が冷めやると、やがて周囲が見えてきて、「解放(余韻)」に浸る時間がやってきます。

釣れた魚を眺めながら「まずは1匹釣れて良かった」と思ったり、「危なかった。針が皮一枚で外れるところだった・・・」とか、「いいサイズだ」など、ひと息ついてドリンクを飲んだりする場面です。

この「緊張→陶酔→解放(余韻)」という釣りの起承転結のようなドラマは、1匹の釣果、はたまた1日の釣行の中で起こります。

経験を踏まえた理解としては、蓄積された記憶は、あるきっかけで「緊張」という形で釣行前や釣行時に呼び起され、前日に寝つけなかったり、慣れた人でも最初のヒットはつい焦ってしまうようです。

一方、「解放(余韻)」は、夢や浪漫・・・という形で中長期的に作用し、釣りへの熱中となって現れると解釈しています。

釣行を最大限に楽しむためには、自身の中で起こる「緊張」と「解放(余韻)」と上手に付き合うことがヒントになりそうです。

記憶の「トリガー」を引いて緊張しないコツ

一定の条件でトリガーが引かれると、鮮明な記憶としてよみがえり、余計な時に「緊張」が再生されてしまうようです。

私は知らずと経験的にトリガー引かないよう工夫していました。ご参考に対策をまとめてみました。

1.久々の釣行のときは、釣果の確度が見える釣りモノを選択する

2.情報は釣果予測ができる程度は集め、「平均的釣果が出れば充分」と高い期待は避ける

3.前日の準備は30分で終えるように普段から道具を整理し、前日にバタバタしない

4.道具はユニット化して保管、仕掛け等は釣行別にパッケージ化して準備を簡素化

5.前々日に充分な睡眠を取っておき、前日は仮眠が取れれば充分と焦らない環境づくり

釣果に偏重しがちな記憶情報を 「余韻」で書き換えてみる

先の著書を参考にすると、釣りは「数」や「大きさ」に対する感動が「記憶」として強く刷り込まれる特性があり、過去を越えることにとらわれがちで、インフレーションを起こしやすい遊びのようです。

自身の経験からもこれだけを追いかけてしまうと、周りが見えなくなったり、楽しむために来ているはずの釣行が、つまらなく感じてしまいます。

以前にも書きましたが、ある船宿の船長が教えてくれたハッとする一言。

「釣りは遊びなんだから、楽しまなきゃ」

たまには立ち止まって「遊び」の原点に立ち返り、釣り方をはじめ、釣り全体のプロセスの中で好奇心をそそるもの、違う楽しみ方をしている人の「遊び」を垣間見てみるのも、面白いことです。

私は最近、いろんな釣りの「旬」や、釣り方、釣行前後で道具や余韻の楽しみ方を組み合わせた「至福の一日の作り方」に興味があり、その仮説・実証が実に面白いと感じています。

前回の「時短釣行実践編」同様、「新しい遊び」を見つけて、実釣編としてご紹介できればと思います。

今回の釣行

4か月ぶりの沖堤防。海は快晴ベタ凪。

今年は例年と異なり、夏に接岸する小型のアジが春から釣れ始めています。例年は6月頃のキス狙いを皮切りに沖堤防に乗りますが、今年は早々と4月半ばにアジとキスの両方を狙っての釣行です。

アジはまだ回遊性が高いと仮定し、短時間勝負を想定。

朝マズメにサビキで手返しよく新鮮な食材を確保できたら、仕掛けを変えてサイズアップや終盤のメバル、稀に出る黒鯛を狙う作戦です。

開始早々から狙い通り20センチ弱のアジが掛かり始め、1時間ほどで15匹ほどの釣果。

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今回の釣果(一部)

早々にアタリが遠くなってきたので、仕掛けを変えて型狙いにします。

丁寧に潮の流れを見ながらコマセ・仕掛けを同調させる時間を作っていくと、竿が強く引き込まれます。焦らずにゆっくりと竿の弾力を使って上げてくると、25センチほどの中アジ。

たまにメバルも掛かり良型のみ確保。2時間ほど、ポツリポツリと良型アジ4匹とメバル2匹を追加したところで海が静かになり、キスの試し釣りにポイント移動。

こちらはアタリがあるものの、活性が低いようで乗りが悪く、2時間ほど頑張って3匹。粘っても釣果は伸びないと判断し、納竿としました。

今回は普段より3時間ほど早上がり。

春も本番で少し初夏を思わせるような日差しがもったいなく、高速道路を使わずゆっくりと下道で帰ることにしました。

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釣れたてのメバル

ルートはたまに利用する川べりの道。都会の中にいるにもかかわらず、遮蔽物もなく、ビル群を遠望しながら、中州の広大な自然も目に入る2時間ほどのドライブ・コースです。

自然と都会が交錯する空間は実に心地よく、窓を開けてのんびりと車を走らせながら釣果のレシピを考えていると、今日の型の良いアジの引きが再び余韻としてよみがえってきます。

また、途中少しだけ休憩を入れて立ち寄った川沿いの景色。私と違う釣りを楽しむ人の光景を目にするに、海釣りとは違う味わいへの好奇心もくすぐられます。

回り道をしたおかげで、数釣りをした満足感とはまた違い、何とも言えない充実感で締めくくられた1日でした。

今回の料理は、メバルといえば美味しい煮付け。

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脂の乗ったアジとキスのお刺身

アジは驚いたことに例年より早く脂が乗っているため、大きいものはお刺身、小さいものはマリネやなめろうにしました。

珍しく今年は春と初夏の味が同時にやってきて、美味しく楽しませていただきました。

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春に美味しいメバルの煮付け

これまでの連載

第1回:ITが激変させた釣りの楽しみ方と釣果(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59294

第2回:SNSを駆使して釣りの楽しみ10倍増(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59542

第3回:ITを駆使してお金をかけずに釣りを楽しむ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59827

第4回:好奇心と予算コントロールで釣果を上げよう(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60091

第5回:手軽に楽しめる「江戸前小物釣行」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60560

第6回:シーズン到来、アジ釣りのタイプ別楽しみ方(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60891

第7回:繊細な引きが病みつきに、河口の手長エビ釣り(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61369

第8回:最盛期に入ったハゼ釣り、奥行きの深さを味わう(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62001

第9回:洋上の格闘技、初秋のカツオとキハダマグロ釣り(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62186

第10回:初心者もマニアも楽しいイナダ釣り(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62472

第11回:多数魚賑わう陸っぱりで、カワハギと頭脳戦を楽しむ(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62687

第12回:20センチの竿に釣りの奥義を知る(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63005

第13回:忙しいあなたにお勧め、時短釣行とは(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64400

第14回:釣れそうな日を決める「時短釣行」実践編(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64470

第15回:早くも始まった相模湾の大アジ釣り(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64887

濱田 淳二

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