大相撲の「荒れる春場所」が現実となった。兵庫勢110年ぶり2人目の横綱昇進に挑んだ大関貴景勝(芦屋市出身)が7日目の18日、左膝のけがを理由に休場した。仁川学院小の恩師、前川和裕教諭は「今回は本人もチャンスと思っていた。気持ちが心配」と教え子を思いやった。

芦屋市出身の貴景勝=大阪市浪速区、エディオンアリーナ大阪
貴景勝は大阪入りした後、リモート取材を含めて報道陣に対して沈黙を守り、友人が宿舎を訪れても丁重に断っていた。綱とりに集中するための決断とみられるが、またしてもけがに泣かされた。
2019年春場所で大関昇進を決めて以降、首や胸などの負傷が相次ぐ。今場所は3勝3敗で休場となり、再出場の意向がないため、5月の夏場所は6度目のかど番となる。
試練が続くが「彼は何回も乗り越えてきた。すぱっと休んだのはいい判断」と前川教諭。不屈の精神で大関を務めてきた26歳が、左膝の状態をさらに悪化させる前に退いたことをたたえる。「ゴールを目指して何度でもチャレンジしてほしい」と、最高位到達へエールを送った。