ブラジル代表らしいアプローチが決め手。サイドと中央、それぞれを崩す術とは?【カタールW杯】

ブラジル代表らしいアプローチが決め手。サイドと中央、それぞれを崩す術とは?【カタールW杯】

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  • 更新日:2022/11/25
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【写真:Getty Images】

●前後半で別人だったリシャルリソン

FIFAワールドカップカタール・グループG第1節、ブラジル代表対セルビア代表が現地時間24日に行われ、2-0でブラジル代表が勝利した。先制点は中央から、2点目はサイドを起点に相手守備網を打ち破った。ブラジル代表は中央からでもサイドからでも攻撃を完結させる術を持っているという。(文:西部謙司)
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前半はほぼ何もしていなかったリシャルリソンが後半に2ゴールをゲット。CFらしい仕事ぶりだった。

リシャルリソンは技巧派ぞろいのブラジル代表の中では不器用そうにみえるが、ネイマールとルーカス・パケタの上手くいっていたコンビに代えて起用されたのはそれなりの理由があってのことだろう。しかし、前半は全くといっていいほど絡まず、いるのかどうかもわからないぐらい存在感が希薄だった。ボランチにポジションを下げたパケタが攻守に安定したプレーをしていたので、こちらが理由なのかと思えたほどだ。

しかし、後半のリシャルリソンは見違えるような存在感を示す。ペナルテイーエリアのすぐ外でクサビを収めて捌くプレーがまず出てきた。シンプルなプレーなので目立たないが、これが出てくるとブラジル代表のリズムになる重要な役割だ。

そして62分に先制ゴール。バイタルエリアでパスを受けたネイマールが左へドリブル。密集地帯の中へ突入していくドリブルは人に向かっていない。2人のDFの中間点へ向かう。こうされると2人のDFは間を狭める。さらにネイマールの後方からも寄せて、袋のネズミにしようとする。つまり、それがネイマールの狙いだ。

●決め手となったブラジル代表らしいアプローチ

相手が圧縮してくることで周囲が空く。この場面ではネイマールの左側にいたヴィニシウス・ジュニオールへのマークが解けている。ネイマールはさらにフェイクを入れてシュートコースを探そうとしたところで、フリーになっていたヴィニシウスが戻ってきてネイマールのドリブルを横取りするようにシュート。GKが弾いたところをリシャルリソンが押し込んだ。

このゴールはネイマールの密集への突入というブラジル代表らしいアプローチが決め手だった。ネイマールが突っ込むことでヴィニシウスだけでなくリシャルリソンもDFの視野から外れていた。このケースはドリブルで相手を圧縮させたが、リシャルリソンへのクサビも同じ原理といえる。圧縮させて隙を作って破る、ブラジル代表らしい攻め手だった。

リシャルリソンの2点目は73分、こちらもブラジルらしいゴールだ。左サイドのヴィニシウスが仕掛ける素振りをみせながら右足アウトサイドで中央へ鋭いパスを入れる。受けたリシャルリソンは左足でコントロール。浮かせたボールを反転しながらジャンピングボレーで突き刺した。

ビーチサッカーのようなアクロバチックなシュートもブラジル的だが、ここで出ている特徴はウイングの優位性だ。

●ネイマール負傷は深刻な問題にはならない?

右のハフィーニャ、左のヴィニシウスは圧倒的なスピードとキレのあるテクニックで1対1に優位性がある。さらに交代で登場してきたアントニー、ガブリエウ・マルティネッリも同様。サイドを突破できるタレントが揃っている。

サイドを突破できてクロスボールが入って来るなら、中央でそれを決めるFWが必要だ。DFと競りながらクロスのコースへ入ってシュートできるリシャルリソンはクロスボールのターゲットとして有効なのだ。それが2点目に表れていた。

5バックで守備を固めたセルビアは、攻撃では両サイドのクロスボールで攻めていたが、ブラジル代表のように突破できる選手がいないので遠目からのハイクロスが多くなる。アレクサンダル・ミトロビッチというターゲットはいるものの、ブラジル代表のCBコンビであるチアゴ・シウバとマルキーニョスは高さもあるのでさほどの効果はない。

ビルドアップの向上でサイドまで運べるチームは増えたとはいえ、そこから有効な形に持っていけるチームは少なく、その点で突破できるタレントを複数抱えているブラジル代表には他国にない優位性がある。中央から崩す術を知っていて実行する力があり、さらにサイドにタレントもある。両方揃っている数少ないチームだ。

負傷交代したネイマールは替えの効かない選手でありケガの状態は心配だが、ロドリゴがいて、フレッジをボランチに入れればパケタを前に出すこともできる。ガブリエウ・ジェズスもいる。選手層が厚く、ネイマールが欠場してもかつてのような深刻な事態にはなりにくい。優勝候補らしい磐石なスタートだった。

(文:西部謙司)

西部謙司

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