ドラマ『ハコヅメ』から見る「シスターフッド」 女同士の連携は脆くなどない!

ドラマ『ハコヅメ』から見る「シスターフッド」 女同士の連携は脆くなどない!

  • wezzy
  • 更新日:2021/09/21

9月15日に最終回を迎えるドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ系、以下『ハコヅメ』)。『ハコヅメ』は新人警察官・河合麻衣(永野芽衣)と、河合とペアを組む元刑事課のエース・藤聖子(戸田恵梨香)を中心に、交番の警察官の日常が描かれるコメディ作品だ。

今クールのドラマの中では高視聴率を維持しており「幅広い世代にウケるコメディ」「笑えるのに泣かされる」「続編希望!」など、すでに続編を望む声も。

そんな『ハコヅメ』の魅力のひとつは、女性同士の連帯「シスターフッド」が描かれている点だ。「シスターフッド」とは『フェミニズム大図鑑』(三省堂)によると、<女性の権利を向上するための集団行動に基づいて、女性の間に結ばれる強い連帯>と定義される。元々は女性解放運動の中で用いられた言葉だが、昨今はシンプルに女性同士の連帯を示すことも少なくない。

「女の敵は女」嘲笑されてきた女性同士の結びつき

女性同士の関係は何かと「女の敵は女」という文脈でエンタメコンテンツにされてきた。

たとえば、不定期で放送されているバラエティ番組『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)はその一例だ。スタジオの女性タレントたちが自分の嫌いな女性の愚痴を言い、それを男性タレントたちが傍観するという内容。

「男性にモテる女性VSそれに嫉妬する女性」という構図もあり、古典的な「女の敵は女」を嘲笑するコンテンツだ。

また、2020年1月には複数のニュース番組が、「女性専用車両に乗りたくない女性」の意見を特集。「香水の匂いがキツイ」「場所の争奪戦」「マウントの取り合い」など女性同士の対立を煽り、物議を醸した。

このようにテレビ番組で「こんな女は嫌い」といった企画が行われたり、週刊誌やネットニュースでは、女性タレント同士の不仲説が報じられたり……日常生活でも「女の嫉妬は怖い」「女の友情は薄い」など、「女の敵は女」論は嫌でも耳に入ってくる。

しかしこれらは、メディアが作り上げたミソジニー(女性蔑視)の一種ではなかろうか。現実世界でも「異性にモテた方がよい」という恋愛至上主義や、会社の人員不足によって既婚と未婚の女性との間に溝ができたりと、社会の構造によって女性同士の対立が作られる瞬間はあるが、実際には女性同士で助け合いながら生きている人は多いし、親身になってくれる女友達や先輩もいる。

『ハコヅメ』を見ていると、私たちが日常で感じたことのある女性同士の連帯・助け合いを思い出させてくれるのだ。

唯一無二のペアである河合と藤

『ハコヅメ』では女性同士でペアを組む河合・藤のほか、刑事課の女性警察官・牧高美和(西野七瀬)や、藤の同期の女性警察官が登場するが、「女の敵は女」という描き方はされない。むしろ河合と藤は仕事で息ピッタリであり、プライベートでも飲んだりマッサージをしたりと仲良くする姿が見られ、河合は藤を尊敬し、藤も河合を可愛がっているのがよく伝わってくるのだ。

シスターフッドが見られる場面をいくつか紹介する。

「警察官になれば一生安泰」という安易な発想で警察官になった河合は、交番に配属されてから二週間で辞職を考えていたものの、藤とペアを組むうちに警察官としての意識に変化が生じる。

第3話では「肩固め」を実践で上手くできた河合を誉めたり、性犯罪被害の聴取が上手くできなかった河合を叱ったり、河合の似顔絵捜査官としての才能を開花させたり……教えるべきことは厳しく指導しつつも、河合の成長を優しく見守る藤の視線が温かい。

恋愛に絡ませて友情が壊れる描写も「女の敵は女」の定番だが、第5話で河合がイケメン消防士の武田(小関裕太)に恋をした際には、藤が積極的に応援する姿も。

第6話では、アイコンタクトや「あれ」の一言だけで意思疎通がとれるようになっており、周囲からも「パーフェクトペア」と言われるほどになった。

終盤では、河合が子どもを庇い、車に衝突されてしまう一幕があった。幸い軽傷で済んだものの、藤は同期の刑事・源誠二(三浦翔平)に事故の状況を話しているうちに涙が止まらなくなってしまう。河合と藤、お互い欠かせない存在になっていることが伝わってくる。

だが、二人の関係に亀裂が入る出来事が起きる。藤の同期の女性警察官の一人である桜しおり(徳永えり)は、3年前公務中にひき逃げ事故に遭っていた。犯人はまだ捕まっていないものの、容疑者として浮上しているのが、長年、新任女性警察官を遠くから眺める不気味な中年男性・通称「守護天使」。「桜と雰囲気の似ている河合の前に守護天使は現れるのではないか」——藤が交番に異動希望を出したのは、桜を轢き逃げした犯人を捕まえるためだったのだ。

そんな話が河合の耳に入り、河合と藤の間にはぎこちない空気が流れる。第8話で二人は、刑事課の源、山田武志(山田裕貴)と共に自動車盗難の対応にあたる。身動きの取れなくなった盗難車から出てきた男の手には拳銃が。男は河合たちに拳銃を向け、藤も対抗して拳銃を構える。

引き金を引く藤に対し、源と山田は「発砲した警察官は人生が変わってしまう」と引き留める。だが、藤の口からは次の言葉が発せられた。

<そんなこと、拳銃を託された日から覚悟してる。不安と危険に晒される住民と、大事なペアっ子の命、私の残りの人生かけるにはそれで十分>

犯人を取り押さえることに成功し、無事事件は解決。交番に戻り、藤は河合に全てを打ち明ける。桜のひき逃げ事件の捜査資料を集めていること、手詰まりになっていたとき河合の存在を知ったこと、桜と似ている河合の側にいれば守護天使が現れると考え、犯人を捕まえるために河合を利用したこと。

そして、河合と過ごすうちに「守護天使が目の前に現れてほしくない」と思うようになったこと。「こんな形でペアを組んだことを後悔している」と藤は語った。これに対し河合は次のように話す。

<何をやっても藤さんに言われたことが頭に浮かぶんです。私の体には藤さんの教えが染み付いているんです。藤さんが後悔しているなら、その何倍も「ペアを組んでよかった」と思ってもらえるような警察官になってみせます>

二人の間のわだかまりは解消され、河合が描いた似顔絵をきっかけに、守護天使の逮捕に向けて刑事課に動きが。結果的にお互い大切な存在であることを再確認した河合と藤。女同士の連携は、けっして脆いものなどではない。

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