「ベビーカーの赤ちゃんを......」昨年も発生した“連れ去り”未遂事件。犯罪が起きやすくなる「条件」とは?

「ベビーカーの赤ちゃんを......」昨年も発生した“連れ去り”未遂事件。犯罪が起きやすくなる「条件」とは?

  • BuzzFeed
  • 更新日:2022/09/23

ベビーカーに乗っていた1歳の男児を連れ去ろうとしたとして、警視庁は自称40歳代の男を未成年者略取未遂容疑で逮捕した。

男児にけがはなかったが、ベビーカーに乗った子どもが連れ去られそうになったり、暴行されたりする事件は過去にも起きている。

犯罪に遭遇するリスクを減らすために考えるべきことは何なのか。BuzzFeed Newsは立正大の小宮信夫教授(犯罪学)に取材した。

「自分の子どもがほしかった」

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毎日新聞によると、男は9月21日午前11時半頃、東京都足立区の歩道でベビーカーに乗っていた男児を連れ去ろうとした疑い。

男は男児を抱き抱えようとしたが、ベビーカーのベルトが引っかかって持ち上がらなかった。

通行人らが男を取り押さえ、警察官に引き渡した。男は「自分の子どもが欲しかった」などと供述しているという。

男と男児の母親は面識がなかった。

最近もベビーカー関連の事件が発生

神戸新聞によると、JR芦屋駅の改札口で昨年10月、ベビーカーに乗った3歳の女児を連れ去ろうとしたとして、大学生の女が未成年者略取未遂容疑で現行犯逮捕された。

このほか、2007年にも幼児を連れ去り、ベビーカーに乗せていた中学2年の女子生徒(当時)が補導されたケースもあった。

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保護者やベビーカーに乗った幼児が暴行される事件も発生している(いずれも読売新聞)。

千葉県のJR我孫子駅では2019年4月、ベビーカーに女児を乗せた女性が後ろから近づいてきた男に突然足蹴りされた。

2015年9月には東京メトロ有楽町駅で、ベビーカーに乗っていた男児が男に殴られた。

この事件で現行犯逮捕された男は「歩くのにベビーカーが邪魔で腹が立った」と供述したという。

また、大阪府では2013〜14年、ベビーカーを蹴ったり、ベビーカーを押していた母親が後ろからボールペンで刺されたりする事件が相次いだ。

どうしたら子どもや自分たちを守れるのか

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こうした犯罪はどのようなところで起きやすいのか。そして、どうすれば子どもや自分たちの安全を守れるのか。

安全・安心なまちづくりを推進する警察庁の調査研究会座長などを歴任し、防犯にも詳しい立正大の小宮信夫教授に話を聞いた。

ーーベビーカーで赤ちゃんを連れ去ろうとする事件が発生しました。周囲の人の行動などで連れ去りを防げましたが、過去にも同様の事件が発生しています。

今回は周囲にいた人の行動で大事には至りませんでしたが、暴力は基本的に弱い人に向かいます。

例えば、赤ちゃん、女性、お年寄りです。

ーーベビーカーに赤ちゃんを乗せて押す人、特に女性は犯罪者の標的になりやすいということですね。どう防衛したらよいのでしょうか。

ベビーカーでは赤ちゃんにベルトをしっかりとりつけることや、目を離さないなど、基本的な対策がもちろん重要です。

また、犯罪に遭遇するリスクを減らすために、ベビーカーを押している時は家族や友人などと一緒に行動することも一つの対策です。

「入りやすく、見えにくい場所」に注意

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小宮信夫教授提供 小宮信夫教授

ーーとはいえ、1人でベビーカーと共に移動しなければならない場合も少なくありません。どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

犯罪者は「入りやすく、見えにくい場所」を狙います。

どんな人であれ、「入りやすく、見えにくい場所」では犯罪に遭う危険性が高まります。

1人でベビーカーを押している場合、このような場所では早期警戒に努めることが大事です。

周囲の人も、まずは自分のために早期警戒をするべきです。結果的に、「お母さんとベビーカー」に近づく犯罪者にも、いち早く気づけるでしょう。

ーー自分がベビーカーを押していなかったとしても、危険性を認知し、自らの周りを警戒することが、結果として当事者の安全にもつながるということですね。

では、どのような条件が揃うと犯罪は発生しやすいのでしょうか。また、注意すべきポイントはありますか?

犯罪は基本的に日常活動の中で生まれます。

動機を持った犯罪者、犯罪者からしたらふさわしい標的、被害者を守る人の欠如、このような条件がそろえば犯罪が発生しやすい状態になります。

例外はありますが、ベビーカーを押している人が大きな男性だったり、複数人で歩いたりすれば、犯罪者側の条件がそろわず、事件に巻き込まれるリスクが減ります。

1人でベビーカーを押している場合は、「入りやすく、見えにくい場所」で早期警戒に努める。

周囲の人も同様で、その心がけが犯罪者の接近にいち早く気づけるポイントになります。

「傍観者効果」とは

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ーー行く場所を選ぶ際に、人通りの多い場所を歩くほうが防犯的にはいいのでしょうか。

よく「人がいる場所は安全」と言われますが、逆に言えば人が多いから犯罪者もいるということが考えられます。

また、「傍観者効果」もあります。

例えば、事件現場に10人、100人いたら、「自分ではなく誰かが助けるだろう」と思って110番などをせず、結局誰も行動に出ません。

その点から「ぜひ人通りが多い場所を」といえない難しさがあります。

ーー事件に巻き込まれた際、人はどうなってしまうのでしょうか。

いきなり事件に遭遇すると、普通はびっくりして体が硬直してしまいます。

今回の事件では、周囲の人の支えもあり、赤ちゃんを守ることができました。けがもなく、不幸中の幸いでした。

ベビーカーを押している時はできれば家族や友人などと一緒にいたほうがいいですね。

ーー万が一事件に遭った時の対処法は何かありますか?例えば防犯ブザーを持ち歩いたり、特定の人を指定して110番を呼びかけたりすることはどうでしょうか。

先ほど申し上げた通り、事件に遭ってしまうと体が硬直して防犯ブザーを鳴らせない可能性が高いです。

それよりも赤ちゃんの安全確保を優先してください。

傍観者効果のことを考えると、110番は自分で行うことが一番確実です。

もし自ら110番ができなければ、特定の人を指定して、「110番をしてください」と呼びかけてみてください。

Keita Aimoto

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