
作家の北方謙三氏と、写真家の長濱治氏によるトークイベント「老犬2匹は、十字路で奴と出会う」が26日、大阪・梅田の蔦谷書店で開催された。大阪出身の女優で作家・中江有里も参加。小説にとどまらず、音楽やキューバ旅行の思い出など、約1時間にわたりトークを展開した。
「表現」「大阪」「ブルース」などをテーマに、テンポ良く話す3人。32歳の頃から北方氏の写真を撮っている長濱氏は、キューバ旅行の思い出について「行けなかったんだけど、大使館の役人さんが北方謙三のファンで本国に打診して了解してもらえた」とにんまり。また、道を歩いていると大勢の女性が寄ってきたとも語り、北方氏は「座頭市が人気。大きなアメリカに対抗するというのが重なっていたんだろうね。勝新太郎さんが行った時は赤いじゅうたんが敷いてあったらしいんだけど、我々はなかったね」と笑いながら振り返った。
中江も小説を書いており、来年には新作を出版予定。「ものを書きたいという夢を持ちつつ芸能界に入って、演技する方に回ったんですけど、台本を読んでいたら想像力が働いてしまう。ちょうど仕事が2か月あいた時に、向き合ってみようと思って書いた本がNHKのラジオドラマになりました」と、小説を書くきっかけとなった出来事を語った。北方氏から厳しい批評もあるそうだが「読んでくださっているだけでもうれしい」と笑顔。北方氏も「新しい老犬の友達」の誕生を歓迎した。
長濱氏は首からさげたカメラで、来場者や北方氏、中江の写真を撮るなど終始リラックス。北方氏は「書店から私の小説がなくなることを願っています」としっかりPRした。