中山雄太はサイドバック、センターバック、リベロにも即適応。「フォワードをやれと言われたら、やれる自信はある」

中山雄太はサイドバック、センターバック、リベロにも即適応。「フォワードをやれと言われたら、やれる自信はある」

  • Sportiva
  • 更新日:2022/01/15

昨年11月16日、日本代表は敵地でオマーンを1−0で下し、ワールドカップアジア最終予選でグループAの2位に浮上した。

中山雄太(ズヴォレ)は長友佑都(FC東京)に代わって62分からピッチに入ると、三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)と息のあったプレーを披露。伊東純也(ゲンク)が81分に決めた決勝ゴールは、中山が敵陣左サイドの深い位置でデュエルに勝ってから三笘に出したパスが起点だった。

【写真】中山雄太は1年ぶりの代表戦ではボランチとしても光るプレー

中山は試合後の記者会見で「ある程度の期間、しっかりと連続して(左サイドバックとして)プレーできている。手応えを掴んでいる」と語った。今季、ズヴォレでも左サイドバックを主戦場としており、「所属先と代表でのプレーにつながりができている」という好循環が生まれていた。

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日本代表でもズヴォレでも新ポジションで活躍する中山雄太

オマーン戦後、中山は"理想の左サイドバック像"をこう語っていた。

「ただ守れるだけ、ただ攻撃できるだけじゃなくて、守れて、攻撃もできて、なおかつゲームメイクもできる。世界でも本当に少ない、希少なタイプのサイドバックだと思います。それができたら、誰と組んでもバリエーションが出せる。そこが僕のなかの、理想のサイドバックなのかなと思います」

オマーン戦当日、ズヴォレのアルト・ランゲラー監督はオランダリーグ最下位の責任をとって辞任。2日後、クラブはフィテッセのコーチを務めていたディック・スフローダーを監督に招くことを発表した。彼はアルフレッド・スフローダー(前バルセロナコーチ→現クラブ・ブルージュ監督)の実兄だ。

スフローダー新監督はチームの苦境を打破するため、これまでの4−3−3から5−3−2にフォーメーションを組み替えることを決断した。そして中山は、センターバックにコンバートすることになった。

スフローダー体制の初陣となった11月21日のフェイエノールト戦は、ぶっつけ本番で新システムを試す形となった。中山は3センターバックシステムの左サイドを任された。この試合はズヴォレの右サイドが崩壊してしまい、35分までに0−4と点差を広げられてしまって大敗を喫す。

【1試合で3つのポジション】

ぶっつけ本番のフェイエノールト戦では、中山のパフォーマンスも決して高かったわけではなかった。だが、スタンドから見ていて新ポジション(3センターシステムの左)の適性を感じとることもできた。

このポジションは、ピッチの上で起こっている現象によってセンターバック、左サイドバック、ミッドフィルダーと目まぐるしく振る舞いを変えることができる。「もしかすると、"3センターバックシステムの左"が中山にとって最適のポジションかな」と私は思っていた。

しかしスフローダー監督は、さらなる中山のコンバートを練っていた。11月27日のRKC戦(0−0)から、中山はリベロに定着したのだ。

3センターバックシステムの中央をオリジナルポジションとして取りながら、最終ラインからのビルドアップ時には真っ直ぐに一列上がって、アンカーの位置に陣取る。さらに敵陣にスペースがあるのを見つけると、彼はスルスルと右へ左へと上がっていき、ワンツーやドリブルを試みながらアタッキングサードへ姿を現す。守備面でも、より自らイニシアチブをとって味方を動かし、陣形を整える意思が強く感じられるようになった。

中山はフェイエノールト戦、RKC戦と続けて歯を折るアクシデントに見舞われたため、直接話を聞くことができたのはスフローダー体制になって4試合目、"リベロ中山"が誕生してから3試合目のフォルトゥナ戦(12月11日/0−1)後だった。「新しいポジション、リベロはどうですか?」と聞いた。

「楽しいですよ。しかも、攻撃に関してはけっこう自由ですし。オランダに来てから初めてのポジションでもあるので、楽しみながらチャレンジできています。今日の試合では3つのポジションをやりました」

「3つのポジション」とはリベロ(5バックシステム)、左サイドバック(4バックシステム)、ボランチを指す。彼の言葉が興味深かったので、ここからは一問一答形式で紹介しよう。

【そこができれば最高の選手】

---- フェイエノールト戦の中山選手は3センターバックシステムの左でした。「これまでやってきたことが、あのポジションに集約されているのかな」と思っていましたが、その後は真ん中(リベロ)でプレーしています。

「僕が真ん中に入ったほうが、バランスを見ながら自分で(組み立てや攻撃を)クリエイトできる。逆に左に入ると、僕が(本来のポジションから)抜けた時にバランスをとる選手がいないので、左偏重になったりする。僕が真ん中から抜けていけば、非対称にならないし、しかも僕が至ることに顔を出せる。僕は真ん中が好きですね」

---- 日本代表でもズヴォレでも左サイドバックを務めることで「つながりができている」と言っていました。今はリベロになって、これまでやってきたことの応用として"つながり"ができていると感じます。

「人生で起こることすべてが、僕にとってつながっていると思います。いいことも悪いことも、すべて理由があって起こっている。だから、トライするだけ。新しいことにチャレンジして、新しいものを発見して、自分の成長につなげていく。それが今、ただ真ん中のポジションなだけであって、またポジションが変われば、またチャレンジするだけです」

---- 日本代表の会見で「ゲームを作れて守備も攻撃もできる、これまでにない左サイドバックになりたい」と言っていました。今、リベロではどういうイメージを持っていますか?

「変わらないですよ。ゲームが作れて、守れて、攻撃もできて。攻撃に関しては、僕のアイデアを監督が尊重してくれています。見ていたらわかると思いますが、前線に駆け上がったり、いろんなところに顔を出している。究極を言えば、守れて、攻めれて、ゲームを作れて、走れて......」

---- 点も取れて。

「そうですね。そこができれば最高の選手になると思う。おそらくゴール(=終着点)はないので、突き詰めるだけです」

---- ゴールはない?

「わからないですよ。バロンドールでも取ったらゴールなのかもしれませんが。でも、自分に満足のいくことは僕の性格上、一生ないと思います。より高いものを突き詰め続けるということが、これまでやってきたことですし、これからも変わりません」

【応用問題をピッチで解く能力】

---- 代表から帰ってきたら、新しい監督からリベロを任されました。どういう話があったのですか?

「なかったです。監督がやりたいサッカーを僕が理解してやっているだけです。今までやってこなかったことを要求されても、僕にはやれる自信がありますし、その自信がなければいけない。『フォワードをやれ』と言われたら、やれる自信はあります」

中山を見ていると、「彼はサッカーの応用問題をピッチの上で解くのが得意だな」と感じる。

たとえば、日本代表では試合途中からピッチに入り、同サイドのチームメイトに応じてプレーのアクセントを変えて、試合の流れを効果的に引き寄せることがある。そして、スフローダー監督のリベロ抜擢に、「なるほど、もっともなことだな」と思うのだ。

中田徹●取材・文 text by Nakata Toru

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