ベテラン記者コラム 羽生結弦を慕う「4回転王」マリニンのジャンプに注目

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  • 更新日:2022/09/23

伊藤みどりさんが長野五輪を前に現役復帰したことがある。1996年1月の全日本選手権で4大会ぶりに優勝したのだが、その直前の練習を取材しに行ったのがフィギュアスケートを間近で見た最初の機会だった。

練習だったのでリンクサイドで見ることができたのだが、そのとき伊藤みどりさんがトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んだときの高さ、着氷したときの衝撃音の大きさは、今でもありありと思い出される。もう四半世紀も前のことだ。今では女子選手の多くがトリプルアクセルを跳ぶ時代になった。9月17日に女子フリーが行われたロンバルディア杯(イタリア)でも渡辺倫果が冒頭でトリプルアクセルを決め、坂本花織を逆転して優勝した。

それが男子になると、米国の17歳、イリア・マリニンが世界で初めてクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を国際スケート連盟(ISU)公認大会で成功させた。

9月14日に米ニューヨーク州レークプラシッドで行われた「USインターナショナルクラシック」男子フリーの冒頭で決め、出来栄え点(GOE)は1・00点を獲得した。観衆は100人ほどだったようで観客席はガラガラだったが、熱心なファンがスマホで撮影した動画をインスタグラムやツイッターに投稿。すぐさま世界中に拡散した。マリニン自身もインスタグラムのストーリー機能でこれらの動画を紹介する形で、世界初の快挙を誇った。米国フィギュアスケート協会(USFS)を通じて「とても気持ちがよかった」と喜び、「ユヅ(羽生結弦)が間違いなく僕を刺激した」とコメントした。

マリニンは今年4月にエストニアで開催された世界ジュニア選手権で優勝し、大会後からクワッドアクセルに取り組んだという。強化合宿中にマリニンがクワッドアクセルを成功させた動画を、USFSが公式ツイッターで公開したのが5月12日のことだ。それから4カ月。ついに試合で成功させた。

さらに興味深いのが、マリニンが演技後半の最後のジャンプを連続にして、3回転ルッツにトリプルアクセルをつなげたことだ。この連続ジャンプでGOEを含めて17・21点をマークしている。今季からのルール変更で、「ジャンプの着氷後にただちにアクセルを跳ぶ」ことの扱いが変わって、2つめのアクセルの基礎点が従来の0・8倍から1・0倍に増えた。昨季までは、前向きで踏み切るアクセルを連続ジャンプの後半に跳んだ場合、易しいと判断されていたが、これが変更されたわけだ。

たとえば羽生結弦が2018-19年シーズンに世界で初めて成功させた4回転トーループ―トリプルアクセルの連続ジャンプの基礎点の合計は14点だったが、今後は17・5点になる。このルール変更により、マリニンのように2つめにアクセルをつける連続ジャンプを跳ぶ選手が増えると予想されている。

インスタグラムのアカウント名を「クワッドゴッド(4回転王)」にしているほどジャンプに自信を持つマリニン。今季のグランプリ(GP)シリーズは第1戦スケートアメリカ(10月21-23日)と第2戦フィンランド杯(11月25-27日)に出場を予定している。どんな躍進を遂げるのか、楽しみだ。(牧慈)

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