二代目お坊ちゃん夫に翻弄されて。望まない別居のジレンマ

二代目お坊ちゃん夫に翻弄されて。望まない別居のジレンマ

  • CHANTO
  • 更新日:2021/05/03
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父親が経営する会社の二代目と知り合って結婚した女性がいます。とはいえ、当初はそのことを知らず、おっとりふわふわと生きている彼に惹かれただけでした。結婚後、彼女はさまざまな苦労をすることになりました。

穏やかな性格の彼に惹かれて結婚

「彼とは、共通の知り合いが開いた絵画展で知り合いました。意気投合して、知り合って半年で結婚したんです。結婚生活は…」

そう苦笑するのは、トシコさん(40歳・仮名=以下同)です。同い年のケンさんと結婚して7年たちますが、彼女は“苦労”の連続だったと振り返ります。

「今まで、あんなにおっとりした男性は見たことがありません。私が何を言っても『そんなに怒らなくてもいいじゃないか』と笑うタイプ。この人となら穏やかな生活ができると感じて結婚を決めたんですけどね」

当時、彼女は保育士、彼は居酒屋でアルバイトをしていましたが、結婚が決まったとき、実は彼の父親が会社を経営していると知りました。

「しかも彼はひとりっ子。結婚を機に、父親の会社に入ると宣言したんです。“次期社長の妻になるんだから、しっかりしてね”と、義母からはいきなりプレッシャーをかけられてびっくりしました」

厳しすぎる義父、甘やかす義母のはざまで…

結婚に際して、彼の両親からマンションをプレゼントされました。トシコさんは、彼から「居酒屋でバイトをしているのは、いつか自分の店を持ちたいから」と聞いていたので、結婚後の生活は想定外。戸惑っているうちに新生活がスタートしました。

「ケンちゃん、いきなり営業部に配属されたんです。彼にとって、もっとも苦手なのは営業じゃないかと思うんですが、お義父さんからみれば厳しい現場で修業しろということだったんでしょうね」

根はまじめなケンさん。頑張りすぎて3か月後には激やせ、そして倒れてしまいました。営業部から総務部へと配置転換。でも、そこでもうまくいきません。

「こういう言い方はよくないかもしれないけど、彼は歯車になるのが向いていないんだと思います。義母はそのあたりをわかっていたようですが、義父は跡取りだからどうしても厳しくなったんだと思う」

義母は息子夫婦の家にたびたびやってきて、ケンさんを激励していました。誕生日にはハイブランドの洋服を贈ってくるような、甘い母親なのです。

「そういうとき、義母は悪いと思うのか、私にもプレゼントしてくれるんですが…、それが地元スーパーで買ったようなTシャツで(笑)。そんなに差をつけるなら、むしろもらえないほうが傷つかないと思うことも多々ありました」

会社をクビに!そこから怒涛の展開が待っていた

2年後、父親はケンさんをクビにしました。会社では使えないと判断したようです。その後、義母が「ケンに店をもたせたいから、あなた、段取りしてね」とトシコさんに言い出しました。

「保育士の仕事が好きでしたから、それはケンちゃんがやればいいと思ったんですが、店探しも書類作成も彼にはムリ。お膳立てしないと動けない人なんで。おそらく義母が甘やかしたせいだと思うんですが、私自身も、この人は私がいないとダメだなと感じていました」

結局、彼女は保育士を辞めて開店に向かって奔走します。義母は相談には乗ってくれない、夫は一緒に見て回ったりはしますが、店のビジョンをはっきり持っているわけではなく頼りになりません。

「そんなことなら私が経営するつもりでやるわ、と頑張るしかなかった。予算にかなった場所がやっと見つかり、結婚から4年たった、ケンちゃんの誕生日に店を開きました」

トシコさんの必死の宣伝や友人たちの協力で、最初は集客もできたのですが、日が経つにつれ、賑わいは減っていきました。

「ケンは接客がうまくないんです。黙々と料理を作るだけで…。接客業は、私たち夫婦のもてなしで、お客さんが来てくれるはずなので。無口でもいいけど笑顔を見せてほしい、と何度も言ったんですけどね」

店に対するふたりの情熱や考え方も一致させていなかったと気づき、トシコさんは何度も夫と協議しようとしました。でもケンさんは、“料理を作れればいい、あとは任せるよ”と言うばかり。そこにすきま風が吹くようになっていきます。極めつけはトシコさんが流産したこと。妊娠がわかってアルバイトを雇いましたが、ケンさんはバイトさんをうまく指導できなかったのです。

「ムリして店に出て、私がバイトさんと一緒に働きました。体に負担がかかって流産したとき、義母に『母親になる意識が低かったのよ』と言われ、夫もかばってくれず、キレましたね。その後、収入が上がらない店を義母が勝手に閉店して…」

店は2年ほどしか持ちませんでした。トシコさんは保育士に戻り、自分で部屋を借りました。夫は「戻ってきてほしい」と泣きましたが、ここで夫の求めに応じたら、何も変わらない。本当は夫と一緒に暮らしたい気持ちもありますが、それを抑えて今は別居しながら夫の変化を待っているところです。

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文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。

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