
月着陸失敗について解説するアイスペース最高技術責任者の氏家亮さん(左)。右は代表の袴田武史さん=東京都千代田区の日本記者クラブで2023年5月26日午後3時42分、田中韻撮影
東京に拠点を置く宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」の袴田武史代表らが26日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。4月に挑んだ月着陸船の失敗について、機体の高度を推定するソフトの誤動作が原因だったと明らかにした。2024年にも計画している後継ミッションは予定通り実施するという。
同社によると、着陸船は月面の高度約5キロまで順調に飛行した。ところがクレーターの縁にある崖(高さ約3キロ)の上を通過した際、急激な高度の変化を感知したためにソフトが「異常」と認識し誤動作が生じたという。機体の実際の高度は5キロだったが、月に着陸したと誤認し、燃料を使い果たして墜落したとみられる。今後、ソフトの設計を見直すなどの改善を図る。
袴田代表は「月面まであと5キロに近づき、技術的にコントロールできるところまで来た。今回得た知見を生かし、今後も重要なテーマとなる月のミッションに挑みたい」と意気込みを語った。【田中韻】
毎日新聞